コンビニの値引き
今年卒業した初めての「獨協クラス」のメンバーにコンビニの息子がいました。彼は卒業論文のテーマを、そのコンビニにしたのです。コンビニのシステムが、大手でずいぶんと違うことを私は彼の論文で知ります。卒業論文を指導していて楽しかったのは、とにかくこういう私が知らないものを、高校生たちがもたらしてくれることです。その中でもこのコンビニについての情報は新鮮でした。
どのコンビニも本部との契約で成り立っています。この契約の仕方がコンビニ各社により少しずつ異なるようです。営業時間についてであるとか、商品についても違いがあるようです。あるコンビニはどこに店舗を構えようと二十四時間営業でなければならなかったりするようです。店舗側の裁量に委ねられているところもあるようですが、大手になればなるほど縛りが強くなるようです。
今回はそうした縛りの強さが、公正取引委員会の排除勧告へとつながってしまったようです。独占禁止法違反と判断されました。今回の主な対象商品は弁当です。弁当は「デイリー品」と言われ、本来は価格設定を各店の店長に委ねられるべきものなのだそうです。ところが賞味期限が迫り、値引きをしようとするとフランチャイズの契約を打ち切るとの通達をし、結果として値引きを認めないとものです。賞味期限の過ぎた弁当は廃棄せざるを得ず、この廃棄による損失は各店舗が負うことになるのです。この損失がなかなかバカにならないもののようです。
そこで各店舗、つまり加盟店は自分たちが不当に不利益を被っていると訴えたわけです。今回の排除措置は、あくまでも現行のように廃棄損を加盟店側が被るのならばと言う条件がついています。つまり会計方式を変えるのならば、値引きを認めずにいることも可能なわけです。ところが本部側はその部分を変更するつもりはないようです。結果として排除勧告が出されることになりました。
実はこの問題を考えるための視点は二つです。一つは不当に不利益を被っている加盟店側の権利をどのように守るかという点、もう一つは廃棄されたものがゴミとなってしまう点です。国内でのこうして本来なら食べられるはずのものがゴミとされてしまう量、金額共に深刻な数字となっているようです。先進国の多くではこの問題は無視できないようで、以前にたまたまつけたテレビで、深夜にこうしたまだ食べられるものを、食材として再利用しようというアメリカのエコツアーが放映されていました。それほどまでに無駄になっている食べ物がありそうです。問題の発端としては廃棄損だったと思われるのですが、値引きをして買われれば弁当、残って廃棄されれば資源の無駄遣いとなり環境問題にまで発展していくわけです。
そこで提案されているのは、廃棄がより深刻な都内の店舗のものを飼料化する案です。本部提案ですから、それが一つ目の問題を回避するための方策のように思われなくもないのですが、それでも無駄に廃棄されるくらいなら再利用されることはいいことですよね。実際にリサイクルされて、豚の飼料とされているようです。「もったいない」という感覚を改めて確認する必要があります。ただリサイクルにも費用がかかることを考えれば、弁当が弁当として消費されるべきですよね。
コンビニ最大手に対する排除勧告ですから、これまでのコンビニのあり方そのものに疑問を投げかけたことになります。経営方針の転換を迫られることになります。他のフランチャイズにも影響がありそうです。消費者に目が向いている経営体制を期待したいですね。これからはコンビニでも値下げ商品が見られるかもしれませんね。

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