毎日、痛い練習をしていると、どうしてもあちこち傷むものです。それは経験的にも分かっています。夏というのは、そういうものだと自覚するのは2年目からかもしれません。ですから1年生は連日、あっちが痛い、こっちの調子が悪いと言っては、見学したり、病院に行ったりです。そりゃあ無理もありません。こんな風に擦り傷、切り傷ばかりでなく、体がバラバラになるのではと思うほどに筋肉が硬直するような痛みやだるさを抱える経験はこれまでになかったのですから仕方ないですよね。自分の体はこのままで大丈夫なのだろうかと心配になって、病院に行くものです。今日もそうした1年生が二人です。もちろん病院に行った部員に無理は言いません。
だから氷を取りに来た1年生には伝えました。練習を休みたければ、病院に行きなさいと。そうでないのなら、病院にではなく私たちに相談しなければなりません。というのは、骨折のような明確な状態ならともかく、捻挫や肉離れの状態は、ラグビーという競技をしていなければ、当然のことながら安静にすべきものです。ところがラグビーという競技において、捻挫や肉離れで完治するまで休んでいたら、おそらく3年間ほとんどラグビーはせずに過ごすことになるでしょうね。そうなのです、ちょっと乱暴な言い方になりますが、ラガーマンにとっては捻挫や肉離れの状態にもよりますが、必ずしも安静にして休む状況ではないのです。それでも病院に行けばある期間、休めと言われますし、そう言われたら私たちもそれに従わざるを得ません。もちろん症状からするとそれほど深刻ではないかなと思われるようなもので、時に重大な怪我であったということもありますから、病院に行くなと言うつもりもありません。だからこそ練習が終わって、調子の悪い部分はしっかりとアイシングをして、違和感があれば相談に来てほしいのです。
こちらも怪我についてのアンテナを下げている訳ではありません。コンタクト練習の際にはできるかぎりその瞬間を確認して、その後の対処を瞬時に選択します。これまで多くのラガーマンを見てきました。その意味では修羅場もくぐってきたと言えます。救急車の中で、自分の将来を覚悟したこともあります。そういう覚悟ができなければ、ラグビー部の顧問なんかしていられないのかもしれません。だからこそ練習で痛い思いをするのです。自分の身を守ることを教えねばなりません。
私たちにとっては、練習を休みたければ病院に行くのです。次の試合、どうしても出たければ、あえて病院には行かないという選択肢になります。スポーツマンに理解のある医師がまだまだ多くありません。この痛みと、この症状を何とかしたいから病院に来ているという患者の気持ちを汲める医師は皆無です。ですから休息を勧めます。治したければ、とにかく休みなさいと…休んで待てるなら、病院にわざわざ来ないのだという理屈を理解している医師が少ないことを知らねばならないのかもしれません。

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