2005/12/3
私たちは目に見えるものについては気にしますが、目に見えない、または見えにくいものを軽んずる傾向があります。たとえば食事によって私たちの体は作られるわけですが、外見のことばかり気にして、体の中がどのようになっているかを気にしません。ダイエットが代表例ですね。過度なダイエットのために、体の内部が破壊されてしまうケースは少なくないようです。先日、テレビのレポートでは小学生の高学年で実に二〇%の女生徒が高脂血しょうの疑いがあるというのです。つまり生活習慣病予備軍が小学生段階で大勢いるということになるわけです。
その主たる要因は、やはり食生活にあります。自分の好きなものだけを口にしているわけです。もちろんその好きなものがバランスの取れたものであれば問題はないのですが、現実にはバランスも悪く、成長期の子どもに必要なものを補えるようなものではないようです。そのため成長を助けるどころか、かえって成長を抑制するものともなっているようです。このことは何も小学生に限った話ではありませんね。あなたもまだ成長期です。運動部に所属している人は、運動をする自分の体を支えるのは骨や筋肉や血の循環といった目には見えない部分で、その源が食事なのです。そしてその食事はただ何かを食べていればいいというものではなく、その中身が問題になります。必要な栄養素の整ったバランスのいい食事を摂って初めて意味があるわけです。
女の子の場合、この時期には自分の外見に対して、過敏とも言えるほどに飾り立てたい欲求に駆られるようです。そこには様々な意味が隠されていますが、飾って単純にきれいなどというばかりでなく、どこかで自分の何かを隠そうという意識もはたらいているのかもしれません。過度に自分の外を意識し、過剰なダイエットも外の目を意識しすぎるために起こり、そこから時に摂食障害にもつながる場合も少なくないようです。
やはり内と外のバランスが大切だと言えそうです。成長期に無理なダイエットをすると、必要な栄養が足りず、それを補うために栄養分が骨から溶け出すと言われています。骨という私たちのまさに土台とも呼べる部分が揺らぐことになります。骨を犠牲にして、どんなに外を飾っても自ずと限界がやってくるでしょう。まだまだあなたたちはこの土台作りに専念すべき時期なのです。
そして体ばかりでなく、心も中身を磨く時期なのです。心も骨や筋肉、血と同様に外から見えるものではありません。心は脳の中にしまわれていますが、たとえば知識のように試験などで点数にできるものでもありません。そのため試験の点数だけが、自分にとって大事なことで、それ以外のすべてのものは意味がないなんて極端な考えになってしまう人がいないとも限りません。目に見えるものは分かりやすく、目に見えないものは分かりにくいし、実感しにくいために軽視してしまうというのは悲しいことです。人間的な魅力を高めるためにも、やはり目に見えないものに目を向け、大切に育んでほしいのです。目に見えない部分はジワジワと効いてきます。大切にした人は徐々に頭角を現しますし、軽視した人の体と心をむしばんでいくものです。気付いたときには手遅れだったなんてことにならないように体も心も磨きましょう。そのために今は制限することなく、心にも体にも栄養を与えましょう。心は、知識、経験といったものが絡み合って育っていくものです。どんなものも吸収して栄養にしていい時期です。是非、見えないものを大切に。

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