肉眼と言うのは不思議なもので、無意識のうちにいろんな角度からの情報を統合して全体像をつかみます。それに対し、写真の場合は一方向からの情報だけをなかば機械的に取り出します。そのため写真に撮るとどうしても魅力が伝わらない、確かにそれはそうなんです。でもそれを逆手に取るのも一興です。

この龍の大きさは25cmぐらい、龍の前にいる人は1.5cmぐらいの紙細工です。大きく見せたかったらそれ比較対象を小さくせよ、特撮における初歩の初歩です。
カメラは一番広角(=ズームダウン)にして机の外から机の面ぎりぎりの高さで撮影しています。写真の中の人物の目線の高さで撮るのが臨場感を出すのに適します。手前の翼がカメラらの直前まできてぼけているのがさらに遠近感を強調します。
背景は、本やらなんやらが雑然と置かれた机の上に大きな紙をしいて、紙の起伏も利用して撮影しています。もちろんしわが写りこむのは興ざめのもと、なるたけしわを作らないようにするのがコツでしょう。紙の色が黄色なのはたまたまあったからと、砂漠を表現するのに適するから。実際はある材料に応じてストーリーを作り上げる。ストーリーを考えるのが面倒、いえいえやっぱし感情移入していただくにはストーリーはあった方が楽なんです。同じ方向を向く、見つめあう、別な方向を向く、どれをやっても画面にストーリーが生まれます。

ちょっと変えてみたのがこの作品。フィギュアはガンダムに登場するミーアちゃん(可愛いんでコンビニでつい買っちゃいました)。視線を大柄な大人の男性の目の高さに設定してます。おごそかだったドラゴンが、なんかかわいらしくなっちゃいましたね。
撮り方次第でこれだけ世界はかえられる、あなたもチャレンジしてみてね。

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