このところ、挿絵の仕事で女性のイラストを描いていた。
僕が描く人物は、ギョロ目というか、アーモンド型の目をした人が中心で、絵というものをすべて「萌えるもの」「萌えないもの」に分別するとしたら間違いなく夢の島行きなのだが、僕としてはそれなりにけっこう色気があるんじゃないかと思っている。
そんな人物イラストの原点になったのは、たぶんこの少年。
もう8年も前に描いたものなのだが、僕はこの絵が好きでたまらない。
以前、グループ展に出したとき一人のお客さんに「ぜひ買いたいので値段を付けて欲しい」と言われた。そのとき僕は絵を売ることにまだ慣れていなくて、どう値を付けて良いものかわからないこともあって断ったのだが、それ以上に手放したくなかったのかもしれない。僕は自分の描いた原画にはあまり思い入れがなくて、ほかの人が飾ってくれるならそのほうがずっと嬉しいのだが、この絵だけはなんとなく手元に置いておきたかった。
人間との付き合いがそうであるように、人間を描くということは実に奥が深いものだと思う。僕はこれからも生きものを多く描いていくと思うけれど、ヒトを描くということも、より楽しめるような気がしている。

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