2009/12/21

『ローズ5/10 気高き薔薇の宴』 覚書その6  しばいデイズ


この休日はクリスマスプレゼント関連と年賀状で忙しく更新できませんでした。
年末ですからいつも以上に時間と戦っております。

さて、本当なら最後のコントとなる「どんな肉でもええやろがい!」
数年前世間を騒がせた食肉偽装事件が元になっているコントです。
「ああ、そんなことあったね。」と思うほど古くもなく、だからと云ってつい最近の出来事でもありません。
どうも題材としては時期的に微妙です。
ただ、運の良いことに品川公演と京橋公演の間、NHK総合でミートホープ牛肉偽装事件をドキュメンタリードラマにした「たったひとりの反乱 “食品偽装”を告発した男」が放送され、結果的にはこれ以上ないタイミングで披露されたことになりました。
あの事件と比べたら「どんな肉でもええやろがい!」なんてまだ可愛いものですね。






H どんな肉でもええやろがい!


食品会社社長水木ひろし=浅越ゴエ
社長の母親(着物にちゃんちゃんこを羽織った老婦人)=なだぎ武
新聞記者=ヤナギブソン
音響=お〜い!久馬


記者会見会場。
白いクロスを掛けられたテーブルに社長と社長の母親が並んで坐っている。
その前にはパイプ椅子に坐って取材中の記者1人。
記者の背後には音声機器とそれを操作する音響さん。
一見して高級料亭「船場吉兆」の謝罪会見のパロディと判ります。

食肉偽装の謝罪(というより釈明)会見中の水木ひろし社長。
深々と社長と隣に坐るお母さんが記者に向かって頭を下げて会見スタート。
三田の業者に牛肉の大量発注を断られたため、仕方なく九州の業者から卸したと釈明。
記者に偽装について知っている人物を訊かれ、自分と専務で弟の水木せましだけが知っていたと解答する社長。
やがて記者による追及が進むに連れ、口が重くなる社長。
そのたびに社長の隣に坐ったお母さんが小声で助言するのだが、その声をマイクが拾って丸聞こえ状態。
しかも肝心のアドバイスは「金玉が千切れそう。」といったくだらないものばかり。
とうとう記者に会場から追い出されるお母さん。
社長の方はというとお母さんが退場した途端挙動不審になってしまう。
それでも何とか続けられる謝罪会見。
一旦上手く進むかのように思えたが、突如会場に去っていたはずのお母さんの声が聞こえ始める。
原因は音響さんがピンマイクを外し忘れたため。
どうやらお母さんは現在羽田空港に向かうタクシーの中らしい。
何とかするように命じる記者に音響さんは自分が友だちの代理でしかなく音量の調整ができないことを告白。
そんな音響さん、ふだんは水球の審判をしているとのこと。
会見続けるもどうしても邪魔になるお母さんの声にいらつく記者。
そんなことになっているとは思ってもいないお母さんの声が会場に響き渡る。
結局、ピンマイクのスイッチをOFFにしてもらい、社長には地声で喋ってもらうことに。
ところが、マイクをOFFした途端、今度は社長の声が全く聞こえなくなる。
「全然聞こえませんよ。何これ?」と、首を傾げる記者に「そうなんですよ。この人地声がメチャメチャ小さいんです。ですから、マイク最を高レベルに上げたらあのお母さんの声があんなに入ったというわけです。」と、説明する音響さん。
聞こえないことをいいことに発言しているうちにどんどんエキサイトしていく社長。
困り果てた記者、音響さんと相談してボリューム上げてもらう。
ボリュームを上げた途端、「客が美味い美味いって食うてるんやからどんな肉でもええやろうがい!」と、社長の罵声。
「…偉いこと云ったぁ!」と、驚く記者。
我に返りすっかり縮こまった社長は必死で謝罪。
そのとき再び飛行機の搭乗を済ませ座席を探すお母さんの声が。
「どこまで入ってるんや。どんだけ電波強いん?」と、驚く記者。
代理の音響さんではこれ以上どうすることもできないので、そのまま会見を続ける記者、牛肉以外の偽装がなかったか問い出す。
社長はきっぱり否定するが、記者がこれまで取材したところでは、どうも怪しい。
そこに「ああ、喉渇いた。喉渇いた。」というお母さんの声。
またも肝心なところで中断を余儀なくさせられ怒る記者。
スチュワーデスさん改めケビンアンダーソンさんに飲み物を頼むお母さん。
リアルゴールド、オロナミンC、デカビタCはなく、あったのはごくごく飲めるローカロリー!のドデカミンのみ。
喉も潤い、落ち着いたところで、隣に坐っているらしい専務のせましに重大な告白をするお母さん。
思わず記者が耳を立てたところやはり他のも偽装があった様子。
慌てまくる社長。
ところが、いきなり飛行機に異常発生。
どうやらピンマイクの電波があまりに強すぎたせいで飛行機の計器に乱れが出たらしい。
その後なすすべもなく飛行機は墜落。
しばし、呆然となる記者と音響、そして、顔面蒼白になる社長。
マイクも壊れてしまったようで無反応。
その時、携帯の着信音が鳴り響く。
鳴っているのは音響さんの携帯。
神妙な面持ちで電話に出る音響さん、電話を切ると「来年から水球のルールが変わりました。」
飛行機関連の電話でなかったことに怒る記者。
音響さんの携帯を使って飛行機事故のニュースをチェックする。
乗客全員死亡というニュースを聞き、足元から崩れ落ちる社長。
大声で泣き叫んでいるのだが、記者の耳には「全然聞こえへん、こいつ!」
その時、お母さんの声が会場に届き「私は何も悪いことはしてないの。許してください、閻魔大王様。」
記者「何で聞こえてんねん!」とツッコミ。





終演後、このイベントに関するアンケートが集められたのですが、その中の質問「一番面白かったコントはどれですか?」という質問に私が答えたのがこの「どんな肉でもええやろがい!」でした。
このところのザ・プラン9のコントは「ジンジャエールはない」に見られたように明らかに見た目怪しいキャラクターや奇抜な格好や言動をするキャラクターの起用率が非常に高いのですが、今回のローズは比較的「普通の人」たちが織りなす笑いが多かったように思えます。
特にこの「どんな肉でもええやろがい!」は、ほんの少し人と違っているだけでどれもごくありふれた人々ばかりでコントが進めれているので安心して見ることができました。
これまでも「ピンマイクの外し忘れ」が巻き起こすコントは他にも多々ありましたが、ストーリーがとてもキレイに流れていてかなり面白かったです。
中でもピンマイクの電波が強すぎるという伏線が後の墜落事故に繋がるアイデアは素晴らしいです。
また、浅越さんの科白は途中からは殆ど「無音」、灘儀さんの科白は影マイクと、演者の負担が少ないよう極力科白を減らした痕が見られます。
ギブソンさん作ということでピンの仕事で忙しいお二人を気遣ってのことでしょうか? こういうところにギブソンさんの優しさがにじみ出てますね。

難を云えば、オチがちょっと…。
二段オチで落としていますが、最後のオチは蛇足に思えました。
1つ目のオチだけですと、「ちょっと笑えないオチ」になりますが、そのほうが潔く締めることができたように思われます。
他のコントとは一線を引きたかったのか、それともお客さんに気持ちよく笑ってコントを見終わって貰いたかったのか判りません。
2段オチにしても「これだよ!これ!」と手放しで納得できるオチではなく、いかに「蛇足」という感じがするオチだったのが残念です。
面白いからといっていろいろ付け足していくばかりではなく、思い切ってばっさり削ったり、筆を止める力も必要なのではないでしょうか?
これからR−1も控えておりますし、ここでギブソンさんは一皮剥けても良かったように思います。
あ、でも、そこまでやると、細かい伏線の張り方だけでなくオチのつけ方までが久馬さんの二番煎じになってしまう可能性も…。


さて、残りは「消化試合(時間的にも用意したコント的にも正に消化ですね!)」の2本とエンドトークです。

一旦、仮エンドトーク。
出演者全員整列。
その後ローズ全作品のタイトル紹介。
ここでギブソンさんが「嫁の書いた奴択ばれへんかった!やりたかった!」と嘆いたため、急遽、ヨメギブソン作「F薩長同盟」を披露することに。

生着替え開始。

その間、「こちら商品開発部」の「AYUMUすごろく」で使用した「あさごえ」号、「やなぎたに」号、「なだぎ」号を観客にプレゼントすることになり、じゃんけん大会開始。
じゃんけん大会が終わったところで生着替えも終了。

なんて云いましょうか、4人になってから堰を切ったかのようにこういう「本日来てくださったお客様に一度挙手をしてもらい、じゃんけんなどのゲームで勝った方に舞台で使用した小道具をプレゼント」という趣向が増えましたね。
こういうときのザ・プラン9はファンが「キャーキャー」となるのを見越してやっているようでなんか見ていて気持ちが落ち着きません。
俗に云うところの「客いじり」なのでしょうが、ザ・プラン9のはどうも単なる「客いじり」というより「ファンいじり」に見えてしまいます。
この宴のみならず単独イベントと云うと、客といえば「ファンしかいないようなもの」ですから、「お客さん」を喜ばせるというより、イベントに来てくれたファンを喜ばせているんですよね。
だからこそ、見ているファンは楽しい方もしれませんが、厳しい云い方をすれば、この状況に甘んじていると「ファンにしか相手にしてもらえない。ファンしか相手にできない」そんなユニットにはなってしまうのではないでしょうか?
(というかもう片足突っ込んでいるような気も…)

次のコントもファンなら誰でも知っているヨメギブソンさんがお書きになっていますが、やっていることといえば、素人さんに書かせたものをお金を払ってお客さんに見て貰っていることになります。

そういう点から見てもこの宴は残念ながらファンの集い以上には見えません。
ファン視点ではそれでもよいのですが、大局的に見るとどうしてもザ・プラン9はファン(の好意、優しさ。しかも大半が彼らより年下の)に甘えているように見えちゃうんですよね。

それも芸能界で生き延びる処世術ではありますが。


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