渡邉恒雄:ナベツネ
大っ嫌いな爺だ。
傲慢不遜な態度。
特にプロ野球選手会に対し、
「たかが選手が」と言い放ったことは、
まるで社員を使い捨てる悪しき経営者の典型だと思った。
だから、これほど「老害」を体現した奴はおらんと思っていた。
今でも嫌いだ。
先日、たまたま、NHKの特集「独占告白 渡辺恒雄」を見た。
平成編だったと思う。
そこで、彼の「靖国観」に触れた。
曰く、
「日本の首相の靖国神社参拝は、私が絶対に我慢できないことである。
すべての日本人はいずれも戦犯がどのような戦争の罪を犯したのかを知るべきである」
「今後誰が首相となるかを問わず、いずれも靖国神社を参拝しないことを約束しなければならず、これは最も重要な原則である。
「もしその他の人が首相になるなら、私もその人が靖国神社を参拝しないと約束するよう求めなければならない。
さもなければ、私は発行部数1000数万部の『読売新聞』の力で、それを倒す」
へえ、この爺、まともなこと言うてるやん。
おまけにこの問題については、朝日新聞と共闘するとまで主張している。
んで、ちょっと調べみた。
「
渡邉恒雄」
「旧制高校の記念祭では上級生らと夕闇の中蜂起して、軍国主義を吹聴する校長をはじめ教職員を襲撃して殴っている」
「勤労動員された航空機の工場では、密かに不良品を作り、抵抗した」
何、これ?
よく特高に目ぇつけられへんかったね。
「学徒出陣時代に受けた暴行などから天皇制ファシズムに嫌悪していた」
「東京大学在学中の1945年12月、反天皇制を掲げていた日本共産党に入党を申し込む。
日本青年共産同盟の同盟員としてビラ貼りや演説会の勧誘など下積み活動を経験して、1947年頃、正式な党員として認められる」
え? 日本共産党員やったの?
安倍晋三に対しても、
「安倍さんとは歴史観が違うんだ。
僕は少年時代から反戦でね。
A級戦犯が合祀されている靖国には参拝しない。
彼は戦争を知らないから、仕方ないけどね」
かなり認識を新たにした。
まあ、今でも好きにはなれんけどね。
1926年〈大正15年〉5月30日生。
旧制中学5年で海軍航空隊に志願し、厚木302航空隊で終戦後も徹底抗戦に巻き込まれた僕の親父の1学年上にあたる。
実際の戦争を経験した人間は「反戦」を唱える。
そんな彼が「政界のフィクサー」であったことは、
この国の「極右化」のブレーキになっていたのかもしれない。
僕の親父も亡くなり、彼と同学年の僕のお袋は、今年9月に亡くなった。
彼に残されている時間も多くはないだろう。
戦争を知っている人間の政権への影響力が消えたとき…。
まもなくそんな時代が来る。

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