独白(もしくは毒吐く)
(週末に行なう講演のメモ代わり)
最近、創業50周年の企業が目立つ。
50年前、1964年は東海道新幹線が開通し、東京五輪が行なわれた年だ。高度成長の真っ只中に創業した企業が50周年を迎えたということだろう。
そんな時代、わが国はインフラが急速に整備された。
鉄筋で骨組みを作り、セメントと砂利と砂を混ぜてコンクリート構造物を作る。
山が切り崩されて生み出された土砂だけでは間に合わず、海岸の砂が使われた。
砂に含まれる塩分は当然、骨組みとなる鉄筋の腐食を早める。腐食し、体積を大きくした鉄筋は、コンクリートを割り、強度を損なわせる。
ただでさえ、コンクリート構造物は100年持たないと言われているのに、これら突貫工事はその寿命を著しく短くしていることが予想される。
それにも関わらず、恐るべきことに1964年10月の開業以来、東海道新幹線は1日も休まず運行を続けている。ある意味驚異的なことだ。
JR東海がリニア新幹線の開通を推し進めたいのには、東海道新幹線を一刻も早く止めてメンテナンスしたいというのが本音のところだろう。実際、現状で東海道新幹線をメンテナンスのために一定期間運休することは、わが国経済に大打撃を与え、現実的に不可能なのは自明のことである。
つまり、わが国の次の50年は、高度成長期に整備したインフラを再度構築しなければならない必然が存在する。
それでは、現政権の成長戦略に見る「コンクリートへの回帰」は正解なのか?
写真は2060年のわが国の推計人口である。
第二次ベビーブーマーが就業年齢に達したとき、わが国はバブル崩壊後の景気低迷期だった。氷河期と呼ばれた就職環境に加えて、有料職業紹介事業と派遣労働者法が大きく緩和されたことで非正規労働者は急増し、経済的に余裕のない若者が溢れたことによって第三次ベビーブームは起こらなかった。
少子化は歯止めが利かない。つまり、日本の人口は早晩急速に減少する。
人口が減少するのに今と同じインフラを整備する必要があるのか?
しかし、老朽化が進む構造物を放置するわけにはいかない。
さらには震災などの備えも可及的速やかに行なう必要が叫ばれている。
一方で、3K4Kと言われた建設業界の若者離れは深刻だ。職人がいない。
となると外資の建設業が参入してくることになる。
過去の高度成長期には、「談合」というシステムが外資の参入を阻んできた。
元請け、下請け、あるいはJV(共同企業体)が、公共投資を地元企業の法人税という形で還元するシステムが機能していた。
「閉鎖的」と批判されてきたこのシステムもTPPへの加入で全く機能しなくなる。
2007年の商法改正に伴い、三角合併が認められたことで、外資系企業による国内企業の乗っ取りは、建設業に限らず加速するかもしれない。
そうなると今までのわが国の雇用慣行そのものについても崩壊することになる。
TPPは、国内法よりも締結内容を優先する。
ホワイトカラーエグゼンプションはTPPの元では合法になる…


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