ここ数年、一番力を入れている原宿クロコダイルでのライヴが終わった。特に今年は「JAPAN NEIL FEST」としてのイベントだったから、プレッシャーも大きかった。
JNFも4年目だ。失敗は許されへんからね。
ニールファンのためのイベントとして始まったJNFだけど、例年と異なるのは、レイナード・スキナードのカバーバンドであるFirst-AID SprayとLAZY HORSE、2バンドだけの出演だったことだ。普段はステージに立つことの少ないニールファンが、思うままに“ニールになりきることを楽しむ”という昨年までのイベントではなかったわけだ。
理由はある。
ひとつはクロコダイルという老舗のライヴハウスは、基本的に出演者のテープ審査がある。僕らも5年前、最初に出演したときはテープの提出を求められた。
実際、東京の多くのアマチュアバンドにとって、クロコダイルは今でも憧れのハコのひとつなのだ。そのハードルは決して低くはない。
そこでイベントを行うためには、クロコダイルそのものを借り切る必要がある。それだけの経費なんてない。クロコダイルの許可を得たライヴとして行うためには、JNFの出演希望を募り、それをさらに集約して、クロコダイルの審査を受ける必要があった。今回、それだけの余裕は僕にはなかった。
2デイズにして場所を変えて実施することも考えられた。だけど、2日間続けて集客を見込むことが困難なのは、一昨年に実感しているし、正直なところ、それだけの労力とリスクを抱え込むだけの余裕はなかった。2デイズってのはリスクを拡大するってことは昔絡んでたライヴイベントで懲りている。
その点においては、第1回から参加している方々の意向に反する内容で実行せざるを得なかったし、その結論を僕から主催者であるA*mberさんに申し入れたのは、独断専行と批判を受けても仕方ないと思っている。
だけど、11日クロコダイルには、朝から冷たい雨が降る1日であったにも関わらず、多くのお客さんに集まってもらえた。バンドスタッフを含めると約100名。ほぼ満席状態だった。
少なくともイベントの運営者として最低限の責任は果たせたかな、とホッとしている。
イベント運営者としての反省点は以上だ。細々反省はあるけれど、それぞれにそれなりのエクスキュースはある。
さて、個人的なバンドの反省点だ。
はっきり言って準備不足、練習不足。
音楽でメシを食ってるわけじゃなし、それぞれが別々に生業をもってるわけだから、練習時間を合わせ、スタジオを抑え、曲を選んで、アレンジを詰め、その演奏が自分たちの満足いくだけのクォリティを維持できるだけ錬度を挙げてくのは、簡単なことではない。それは分かってる。
だけど、人よりも一段高いところに立って、音楽をするってことは、金を払って見に来てくれるお客さんのあの熱い声援に応えるだけの準備は必要なはずだ。
LAZY HORSEというバンド名は、僕が中学生の時に考えた。以来、バンドなんて言えないレベルの時代から何度となくこのバンド名は名乗ったことがあるのだけれど、今のレイジーホースの原型となったバンドは1999年に生まれた。年が明ければ、結成8年になる。ジェイミーとゲイターだけがその当時からのメンバーだ。
2001年にジェイミーが芳野さんを連れてくるまで、3人のベーシストがバンドを離れた。このバンドがバンドに向けて動き出したのは、僕はこの時からだ、と信じてる。
それまではバンド、のようなもの、だった。
芳野さんが加入して7年目に入ったことになる。
よく付き合ってくれてると思う。
その間、ジェイミーがジャカルタに渡り、サドルバッグスが生まれ、まじさんやケンが加わった。
何となくバンドらしくはなったかな、と思う。
バンドを始めたときに見えてなかったものが僕に見え始めてるんだと思う。だから、いくら満席のお客さんから拍手を浴び、賛辞を受けても、今の僕には満足できない。美辞麗句は正直心地よいんだけど、それを鵜呑みにすることが、もっともっとある僕らの可能性を殺してまいそうな気がするんやな。
甘言は人を殺す。
数週間前、直近のライヴの映像と1年前の映像を見比べたことがあった。
僕にとってショックだったのは、1年前に存在してたグルーヴのようなものが、全くないダレた演奏をしている直近の姿だった。
何が原因か?
メンバーの意識にギャップがあるんだろう。
そうも感じた。
演奏をこなしてるんやな。だから、乗り切れない。
そのことにすら気付いてない。
JNFの演奏は、多くの人たちが評価してくれているように、良かったんだろう。
失敗はあっても、致命的ではなかったし、僕自身乗ってた。メンバーも充実感を感じてたと思う。
ひとつの結果は残せたとは思う。
だけど、これはゴールじゃない。ここからがスタートだ。
ようやくバンドになったのかもしれない。
だけど、バンドをやることが目的じゃなく、どんなバンドにしていくかが、目標だ。
ピークの直後には、必ず失速が来る。
次のピークを迎えるためには、何が必要なのか、今それを考えている。

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