最近流行らしい。
ものすごく違和感を感じる。
不良っぽいのに魅力を感じるなんてえのは、思春期のガキどもの特権なんて思ってたけど、中年にも通用するようだ。
それ以上に、「ちょいワルのすすめ」なんてテーマが雑誌に載ってること自体が違和感を感じる。不良にもマニュアルが必要ってことなのか?
そもそも「ちょいワル」ってのは何なんだ?
「分別のあるワル」てことか?
かつての仁侠道には、やっちゃあいけねえ不文律があった。ある意味、「分別のある悪行」を生業としてるのが、ヤクザだったわけだ。自らを「893」――ブタ札って蔑みながらも、自分たちの中での組織行動を維持し、社会に適合するために自らを律してきたことになる。
親父にヤクザのドスの刺し方を教えてもらったことがある。何で親父がそんな方法を知ってんのかは聴きそびれたが、命に別状なく、なおかつ戦闘能力は殺ぐという極めて合理的な方法やったな。
「イジメ」の延長でリンチした挙句、殺してまいよる素人よりは、性質がよかったわけやな。
どうもこの「ちょいワル」ってのはそういった類のもんやないんやな。
ふと考えてみると、これって「メンズクラブ」や「ポパイ」なんかと一緒やな。服からライフスタイルみたいなもんまで、「流行り」って奴を作って、商売につなげようとする商魂たくましい奴らの戦略なわけだ。
そう考えるといつの時代もターゲットは同じやな。数の多い世代「団塊」やな。
これを書くといつもバッシングの嵐にあうのだけど、はっきり言って僕は団塊の世代を無条件には信頼しない。やたら数が多いだけに性質の悪い世代だと認識してる。
何がって?
数が多いだけに「ほんまもん」以上に大したことない「贋もん」が数が多くって、しかも自分らを「ほんまもん」やと勘違いしてる方々が多いのですよ。
もちろん、ほんまもん、僕らの世代より多いですよ。しかも、僕らの時代には体験できない素晴らしい体験を自分のものとしてらっしゃる。本当に尊敬に値する方々も多いのですよ。少なくとも僕が個人的にお付き合いしてる方々はそんな方々ですわ。
ところが、それ以上に多いんですね。
その時代のムーヴメントに流されてただけで、「自分が」大したことをやってらした、と勘違いされて吹聴される方々もね。いつの世代にもそんな連中はおるのだけれど、数が多い分性質が悪いのですね。
だけど、商売人からしたらその世代が格好のターゲットなんでしょうな。
今の「親父バンドブーム」なんて正にそのとおり。金持ってるもんね。うまく踊らされとるな。
だいたい「ワル」なんてのは、根本的な性や業として枠から外れてまうもんなんやろな。ちょいと道を外すススメなんてマニュアルは、その枠の中の人間をターゲットにしてるわけだ。
放っておくとドンドン枠から外れてしまう、そんな人間をなんとか社会の構成員の隅っこで生かすのが仁侠道っていう規範なら、「ちょいワル」ってのはその対極にあることになる。
柔道やっとる連中の中には、暴れもんで手に負えず、警察に補導された挙句、「そんなに暴れたいなら道場で柔道やれ」といわれて始めた連中が結構多い。そんな奴で、今は「先生」なんて呼ばれとるのも結構おるのやな。立派に厚生しはったわけだ。
ゲイターの言うとった言葉を思い出したよ。
「砂場で遊んでるもんに、ジャングルジムの上で暴れたりブランコ立ちこぎして飛ぶようなこと教えたらあきまへんで」

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