レンタカーの車窓から見たサンセット・ストリップ。
ハリウッドやな。
思わず口をついてでたメロディは、
「There we were on the Sunset Strip, Playing our songs for the highest bid.」というニール・ヤングの「Don't Be Denied」の一節。
だけど、それ以上に、TVドラマ「サンセット77」のメロディも耳の奥底で鳴ってた。
昔々、親父が見てた印象が耳について離れない。1958年放映やから、1960年2月生まれの僕が耳にしたのは多分再放送やったんやろな。
「サンセット通り」ってのが「粋な場所」や、っていう僕の中での印象はこの探偵物語のすり込みによるものに恐らく間違いなかろう。
LAに移動したのが2003年9月24日。渡米したのが8月29日やったから、旅の行程も終盤に差し掛かった頃やったな。
日中の気温が摂氏40℃超、どの家の軒先からもミストが噴出していたパームスプリングスの荒野から、わずかレンタカーで2時間余り走っただけで、気温摂氏20℃前後のLAに着いた。
「あのあたりがローレル・キャニオン…。あれがコダック・シアター」
耳にしたことのある地名やランドマークを聞くにつれ、仕事で来るのが恨めしい街やったな。
しかも、週末にはニール・ヤングのコンサートが同じ州内で行われるってのに…。
SIR(Studio Instrument Rental)の建物が見えた。
そう、1973年、ニール・ヤングが「Tonight's The Night」を録音したスタジオやな。高校生の頃、テープが擦り切れるぐらい繰り返し聴いた、今でも一番好きなアルバムが、このスタジオで録音されたんやな。
思い通りの行動が取れなくって段々不機嫌になってた。
日曜日、みんながゴルフに行った間隙を縫って、タクシーに乗り、ハリウッドに向かった。
天気は良かったけど、この街は確かに「City In The Smog」やなと思った。
NYでブロードウェイを歩いた気分ともまったく違う。
ウイスキーが見えてきた。バーズに見出されたBuffalo Springfieldが、初めて6週間のショーを行った店やな。
ロキシーが見えてきた。1973年、杮落としでニールが「Tonight's The Night」を演じた場所やな。
ブーツ・ショップで1970年代製のトニー・ラマのブーツとストローのテンガロンを買った。
このテンガロンは今でも愛用してる奴やな。
その夜が、33日間に渡ったアメリカの旅の最後の夜やった。
ホテルの窓を開けて、ラスベガスで買った葉巻に火をつけた。
アメリカ滞在中、ずっと愛飲していたシェラネバダのペールエールを飲んでた。このビールを日本で飲むことは多分ないのかもね。
LAの夜は、相変わらずスモッグで曇ってたっけ。

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