重要な用件だから焼いている餃子が焦げても許してほしい (りく)
うちの餃子は皮は市販だけど中身は手作り。
それも義母のレシピです。
肉は豚。
野菜は生のままのキャベツとニラとねぎとしょうがとにんにく。
どれも細かく切っておきます。
で、調味して混ぜるだけ。
特別ではない……か。
焼く係は私。
厚みのあるフライパンをよく焼いて
少しの油をひいて餃子を並べます。
焦げ目が少しついたら
小麦粉を薄く溶いた水を加えて蒸し焼きに。
蒸発してほとんど水がなくなったら
ごま油を上から垂らしてさらにぱりぱりにします。
子供はこのぱりぱりが大好きで
パリッと割っては先に食べています。
で、このごま油を垂らしてからぱりぱりになる間は
フライパンのそばで見張っていないと
餃子が美味しいタイミングを逃します。
うまく焼けると
フライパンごとお皿にひっくり返せば
大きな花のようになった焼き餃子がお皿いっぱいに広がります。
餃子はぱりぱりで繋がっているので
はがしながら食べるわけです。
ところが、このぱりぱり製作中によく電話があるんです。
「お忙しいところ申し訳ありません」
と断りつつ、
マンションの購入や家庭教師のあっせんや……。
「不動産はやらない主義です」とか
「うちの子は天才なので必要ないです」とか
でまかせを言って切るわけですが
そういう電話はもう少し暇な時間にかけてほしいものです。
そしたら丁寧にお断りするのに……。
先日も、そんなタイミングでお電話もらいました。
またかー、と思いつつ電話に出たら
なんだかとても大切な用件で
餃子を焼いているのを忘れてしまいそうになりました。
たまたま台所を通りかかった娘に
「火を小さくして!」と言ったので
食べられない状態にはなりませんでしたが
仕上げ作業中の火加減管理が甘いと
ぱりぱりがうまくいかないんですよね。
あのまま娘に焼きを仕上げてもらえばよかった……。
で、
このぱりぱりのこと
世間では羽根と呼ぶようです。
一般的な呼び方なのかどうかよくわかんないけど。

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