渋谷最強伝説外伝 第三章 監視  特別企画もの



うおおおぉぉぉ・・・・

鈴穂>(薄暗い通路を歩く鈴穂。
着ているのは、きわどいデザインのワンピース水着で色はエメラルドグリーン。
同色のリングシューズをはいている。
背後からは歓声が・・地下リングでの試合を終え、控え室に戻るところだ。)
チッ・・・・
(軽く舌打ちをする鈴穂は左脇腹を押さえている。
今日の相手はベテランの地下ファイターで、かなりてこずった。
重いミドルキックを食らい脇腹を痛めたようだ。
ただし、試合は鈴穂の勝利。返り血が頬と水着に飛んでいる。)

(試合を終えて控え室に続く長い通路を歩く鈴穂を鋭い眼光で睨みつけながらたたずむ者が一人。
それは紛れも無く1週間前、鈴穂にアスファルトの地面に叩きつけられ壮絶な敗北を喫し、その後、姿を消していた真紀であった。

美香>真紀ちゃん・・・ちよっと・・・
(病室の外に真紀を連れ出す美香。)
留美のことなんだけど・・あの娘、もう一生、右手が使えなくなるかもしれないって・・・ 
真紀>留美はその事、知ってるの?
(首を左右に振る美香。
真紀は無言でドンと壁をたたき唇をかみ締める。)

美香>それであのオンナの事、わかったよ。
名前は姫川鈴穂・・・地下プロレスのトップエベンターで2年前に突如現れて現在まで無敗。
無論、引き分けすらないって言うとんでもないオンナだったんだよ〜・・・って、あ、真紀ちゃん!どこへ・・・?

(「やっぱり・・・あのヤロー・・・」そうつぶやきながら真紀は病院を後にした。
その後、真紀は姿を消しどうやら、ずっとこの日を待っていたようだ。)

鈴穂>・・・・(前かがみ気味で歩いていた鈴穂だが、何かを感じ視線を上げる。
その先に見える人影。
脇腹から手を離し、すっと背中を伸ばす。)
コツコツコツコツ・・・・。
(聞こえるのは鈴穂の足音のみ。
薄暗いせいで前に立つ人間の顔はなかなか見えない。
打撃の間合いすれすれで止まる鈴穂。やっと顔がわかる。)
・・・・何か用でも?
(真紀の顔を見ても表情は変わらない。
頬に点々とついている血が、その無表情とあいまって、凄惨さを引き立てる。)

真紀>おらぁっ!!グサッ!!
(「何か用でも?」無表情にそう語る鈴穂の股間を爪先でいきなり蹴り上げ髪の毛を鷲掴みにすると狭い通路を走り出した真紀。
そのまま控え室のドアに鈴穂を思いっきり叩きつけた)ドッガッシャ〜〜ン!!
(鈴穂を叩きつけたドアは見事に破壊されガラスの破片も飛び散る。)

鈴穂>(問答無用で襲いかかってくる真紀。とっさに反応しようとする鈴穂だが・・)
くうッ!!
(試合で痛めた脇腹に激痛が走り思わず動きが止まる。
そこに突き刺さる急所蹴り。)
があッ!!!!・・・・ダダダダダッ!!ドッガッシャアアァアン!!
(苦痛に歪む顔。上げられる叫び声。さらに、ドアに叩きつけられた鈴穂。)
ぐ・・くッ・・・・
(破壊されたドアとガラスの破片の上に倒れている鈴穂。
髪の生え際あたりから流血している。)

真紀>鈴穂ぉっ!!・・・お前、真紀の仲間、虫けらみたいに扱いやがって!!
フザけんなこの野郎ぉ!!
(起き上がろうとする鈴穂の流血した額に喧嘩キックを叩き込み再度床に寝かせると狂った
ように爪先蹴りを体中に叩き込んでいく。)
ボコッ!バコッ!ボコッ!

鈴穂 > ドガッ!!
(顔面を蹴られ控え室の中へ転がり込んだ鈴穂。さらに追い打ちが。)
ごふッ!! が!! ぐほッ!!
(肩へ、足へ、そして痛めている脇腹へ、容赦なく突き刺さる真紀の蹴り。
何とかガードしようとするが、この体勢ではどうにもならない。)
ぐぼッ!!
(強烈な蹴りが腹に突き刺さった。
反動で丸まる鈴穂の体。目を見開き、舌を突き出すようにしている。しかし、)
ガシッ!!
(必死の抵抗を示す鈴穂。
両手が、がっしりと足首を掴んだ。苦悶に歪んだ表情ながら真紀を見上げ)
ふ・・喧嘩を売ってきたゴキブリどもを・・・・・・・
ぐふッ・・踏み潰した・・だけよ・・・・
(この状況で悪態をつきニヤリと笑う鈴穂。
その暗い笑みには真紀が覚えている幼馴染の面影は、もはやなかった。)

真紀>がっ!!
(足首を掴まれ不気味に微笑む鈴穂に愕然となる真紀。
「鈴ちゃん・・・もう昔の鈴ちゃんじゃないんだ・・・」
幼い頃一番仲の良かった鈴穂だと確信した時、真紀の心の中に強い嵐が吹き荒れた。
そして友人の一生使えなくなるかも知れない右腕、自らの敗北。
もう今の真紀には迷いはなかった。)
鈴穂っ!!
(足を引っ張られ倒れる瞬間にニヤリと笑った鈴穂の顔面を蹴り上げた。)
バキッ!!
(そして自らも床に転倒する真紀。)

鈴穂>がふッ!!
(跳ね上げられる顔面。
すでにかなり流れていた額からの流血が血飛沫となって飛び散る。
後ろに倒れるかと思われたが)
ぐッ!!
(真紀の足首を強く握り踏みとどまった。
ぐんっとあごを引き真紀の方に顔を向けなおす。)
くっくっくっく・・・・・・やってくれる・・・・・・
(血にまみれた顔ながら、喉を鳴らす。そして)
ぐいッ・・・ビュッ!!
(少し身を起こすと、真紀の足を引き寄せつつ下腹部を狙ってエルボーを落す。)

真紀>ぐはっ!!
(倒れた所に鋭角的なエルボーが突き刺さる。
五臓六腑が飛び出しそうな衝撃が真紀を襲う。)
ごほっ!!・・げほっ!!・・
(苦しさのあまり咳き込む真紀。)

鈴穂>(さらにのしかかっていく鈴穂。
ダメージのため荒いものではあるがマウントポジションを取る。そして)
ギュギュギュギュッ!!!!
(両手で喉を締め上げる。
驚異の握力がそのまま攻撃力へと変換される、単純だが危険な殺人技だ。
唇の端をゆがめた鈴穂が真紀を見下ろす。)
ぽた・・ぽた・・
(額から流れる血液が、真紀の顔に滴る。)

真紀>ぐっ!!・・・
(鈴穂の額から滴り落ちる血が真紀の顔面を染めていく。
必死に手首を掴んで引き離そうとする真紀、徐々に意識が飛びそうになる。

「このままじゃ・・ヤバイ・・」

右の拳を握り締める真紀、指の関節を物凄い音で鳴らすと拳を開く。

パン・・パパンパン!!!!

中指、人差し指、親指の3本を鈴穂の痛めた左脇腹に突き刺した。)


ズボォォッ!!

ゴリ!!・・バキバキ!!・・ボキッ!!



鈴穂>死ね・・・・ギリギリギリギリ・・・・
(あらん限りの力で絞め続ける鈴穂。
ダメージが蓄積していなければ今ごろ絞め殺していただろう。
しかしハードな試合の後でもあり真紀に蹴りまくられ、しかも流血までしている為、パワーも落ちている。
この遅れが、勝負を決めた。)
ぎッ!!??
(突然、脇腹に激痛が!!
これまで経験してきた中でも最大級だ。
脇腹に真紀の指が突き立てられている。)
ぐがああぁああぁぁああッッ!!!!
(バキバキと音を立てて折れる肋骨。
あまりの痛みに真紀の上から転げ落ち脇腹を押さえて転げまわる鈴穂。
こんな姿は、地下リングの上でも晒したことはない。)

ジーーーー・・・・・・
(二人には聞こえていない機械音・・激しく戦う両者を監視しているものがあった。
通路と控え室の監視カメラだ。)

地下リングのオーナー>ほぉ・・あの鈴穂が・・・・
(異常に気付いた監視役がオーナーを呼んだのだった。
止めさせようかとも思ったが鈴穂を相手に互角以上に闘う相手、しかも地下ファイターではない真紀に興味を抱き監視だけを続けていたのだ。)

真紀>鈴穂・・本当に決別する時が来たようだね・・・
(脇腹を抑え苦しむ鈴穂を尻目にゆっくりと立ち上がる真紀、鈴穂の髪を掴んで無理やり引きずり起こすと頭を自らの股に挟み込み気合もろとも天高く担ぎ上げる)
ヴゥォォォォォォォォォォーーン!!!
(鈴穂の体が真紀の顔面で一旦制止し・・・)
ズッダ〜〜〜〜〜ン!!!!!
(床に渾身のパワーボムで叩きつる真紀。)

鈴穂>くあ・・かッ!・・
(脂汗を流す鈴穂<真紀が髪を掴んできてもロクに抵抗できない。
そのまま抱え上げられ)
くッ・・く・・そ・・・・
(身もだえするがまったく揺るがない。一瞬の静止の後、)
がほッ!!!!
(見事に叩きつけられる鈴穂。
まったくといってよいほど受身は取れずコンクリートの床に叩きつけられた。
全身を駆け巡る衝撃!!
大きく開かれた口からは肺の空気がすべて吐き出され目は大きく見開かれている。
さすがの鈴穂も・・・)
ぐ・・・が・・・
(ピクピクと動いていた両手が完全に床に落ちる。
白目をむき気絶した。
顔面血だらけの上、アバラをへし折られた鈴穂はもうまったく動かず真紀の前に横たわっている。)


地下オーナー>・・・・・・おい・・・
(横にいた黒服の男に何事か耳打ちする。)

黒服の男>・・・かしこまりました。

真紀 > はぁ・・はぁ・・はぁ・・
(気絶した鈴穂をじっと見つめる真紀。)
こんな形で再会したくなんかなかった・・・・
(鈴穂の返り血が点々としたTシャツとジーンズ姿の真紀。
もう迷いはないはずだったのになぜか釈然とせず控え室を出て行こうとする。
一瞬振り返って鈴穂を見やる真紀の目に光る物がみえたのは気のせいか? )




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渋谷最強伝説外伝 第二章 敗北   特別企画もの



真紀>なっ・・・なんだよ!!・・・これはいったい・・・

(駆けつけた真紀と美香だがあまりにも凄惨な光景に声を失う。
もう身動き一つ出来ない留美の肩に足を乗せ踏みにじりつづける鈴穂にダッシュすると物凄い勢いでタックルをぶちかます真紀。)

美香>留美!留美!しっかりしてぇ!!
(真紀も鈴穂の事など目もくれず留美を抱き起こす。)

真紀>留美ぃ!!

留美>あ・・・真紀ちゃん・・・ゴメンね。
留美、明日の真紀ちゃんの誕生日行けそうもないや・・・
(そのまま気を失う。)

真紀>留美ぃ!!
(目を真っ赤にして鈴穂の方を振り返る真紀。
だがそんな真紀を絶望においやる事実があらわになる。)

鈴穂>ぐうッ!!??
(突然、タックルで跳ね飛ばされる鈴穂。
きっちり受身を取るものの、ものすごいあたりだったため、かなり飛ばされるる。)
ギロッ・・・・
(すっと立ち上がり、自分に膝を折らせた相手を睨みつける。)

真紀>馬鹿ぁ!こんな時に何心配してんだよっ!
(重傷を追いながらも翌日に控えた真紀の誕生会を気にかける留美に思わず涙が滲む。
鈴穂に背を向けていた真紀だが目を真っ赤にしながら振り返ると)
絶対に許さない!
(握りこぶしをパッと開き5本の指をまるで昆虫の触覚のようにヒラヒラ動かし拳を握り締める真紀、両手を使わず片手で拳を握りなおしただけで5本の指の関節が物凄い音で鳴り出した。)
バキ
パン!・・パパンパン!!!
(ゆっくり立ち上がると紺ブレを脱ぎ捨て白いセーターの袖を捲り上げる。
しばし鈴穂と激しい視殺戦を展開する。)

鈴穂>(鈴穂の野生は、「こいつは違う」と直感する。
視線にも冷たさや硬さに加え、厳しさが混じリ出す。
手は自然と拳を形作り筋肉が緊張する。
真紀の隣にもう一人いるにもかかわらず、視線をまったく外さない。)

真紀>(凄まじい視殺戦を続け時計回りに円を描きながら鈴穂との間合いを詰めていく真紀。
数々の戦いを繰り広げて来た真紀だが今度ばかりは鈴穂の全身からほとばしる目に見えない何かを感じ、うかつに飛び込んで行く事が出来ない。
慎重に鈴穂の出方を伺っている様だ。)

鈴穂>すす・・・・
(真紀の動きに合わせて体の向きを変え正面に捉えつづける。
両腕を上げボクシングスタイルに構える鈴穂。
実戦で培われた構えに隙はまったくない。
ピンと張り詰めた空気・・・完璧に二人の空間が形作られた・・・と思われたが、)
チラ・・
(固唾を飲んで見守っている美香の方へ、ほんの一瞬視線を飛ばす。)

真紀>(その一瞬を真紀は見逃さなかった。
ほんの一瞬、美香に視線を送った鈴穂の腹に真紀の爪先蹴りがうなりをあげた。)
死ね・・こらっ!! グサッ!!
(目にも止まらぬ速さで鈴穂の腹をえぐる真紀の爪先。)

鈴穂>(視界の端で真紀の動きを捕らえていた鈴穂。
攻撃に出たことを認識し、唇の端がかすかに動く。
笑っているのか?
つま先が突き刺さる直前、ぐっと腹筋に力を入れる。)
ふッ!!(歯を食いしばる鈴穂、視線を外したのはわざとで真紀に手を出させるつもりだったのだ。
ただ、予想以上のスピードと威力に驚いている。しかし・・)
ガシッ!!
(自分の腹のところにある真紀の右足首を、両手で捕まえる。そして、)
パンッ!!
(ローキックが軸足を払い真紀を転倒させる。
足首は掴んだまま、スタンディングのヒールホールドを狙う。)

美香>ええ!!
(あの俊速の真紀の爪先蹴りが捕らえられ驚きを隠せない美香。)

真紀>うっ・・
(重いローキックが真紀の足に入り思わず転倒する真紀、そのままヒールホールドを狙おうとする鈴穂のすねを掴まれていない方の足で踏み抜くように蹴飛ばした。)
ガツッ!!

鈴穂>くっ!!
(すねを蹴られては鈴穂もたまらない。
ヒールホールドはあきらめ、足首を離して若干距離を取る。
はじめと同じようにボクシングスタイルに構え、いつでも飛びかかれる間合いで倒れている真紀をうかがう。)

真紀>(真紀の掴まれていた足は紺のハイソがずり落ちた形になってしまう。
そこから見え隠れする真紀のふくらはぎにはなんと鈴穂の手形が赤く、くっきりと残っていた。)
なんてパワーなんだよっ!・・・
(厳しい視線を送りながら身構える真紀、その時なぜか真紀の脳裏に幼い頃の突然姿を消したあの娘の顔がよぎった。
なぜ? こんな時に・・・その時、真紀の体全身に鳥肌が立った。)

真紀>す・・鈴ちゃん・・・?
(目の前で戦っているのは紛れも無くあの日、突然姿を消した幼馴染みの鈴穂だったのだから。
真紀の顔が見る見る硬直していく。)
  
鈴穂 > ぐんっ!!
(真紀の動揺を感じ取る鈴穂。
動揺の理由はわからないが、チャンスとばかりに一気に踏み込む。
全身の筋肉を躍動させ一動作で間合いに入ると)
ビュビュッ!!!シュッ!!フッ!!
(目にもとまらぬジャブにコンパクトなフック。
次々と早いパンチを打ち込んでいく。)

真紀>ドスッ!バキッ!ドガッ!
(鈴穂の矢継ぎ早に繰り出されるパンチに真紀のガードは弾き飛ばされ棒立ち状態、
サンドバックと化してしまう。)

美香>う・・嘘でしょ?!!
(美香には信じがたい光景が目の前で展開されていく。
渋谷のカリスマとして最強の名を欲しいがままにして来たあの真紀が手も足も出ず今まさに崩れ去ろうとしているのだから。)

鈴穂> バクッ!!バゴッ!!!
(威力のあるフックが顔面を左右に弾き飛ばした。)
ズドッ!!!
(次は、斜め下から打ち込まれるボディー、さらに)
ガシッ!!
(接近した鈴穂が真紀の後頭部で腕を組む。)
ズドンッ!!
(密着しての膝蹴り!!
真紀の腹筋に叩き込む。
そして、そのまま首を捕まえつつ)
どうしたの?・・隙だらけよ・・・
(真紀の豹変振りに、鈴穂もいぶかしんでいる。)

真紀>(首を捕らえられた状態で膝を叩き込まれ真紀の顔がこの上なく苦痛にゆがむ。)
はぁ、・・はぁ、・・はぁ、・・あんた・・鈴ちゃんだよね?
(棒立ち状態で鈴穂のなすがままになっていた真紀がついに口を開く。
と同時に真紀のセリフで緩んだ腕から首を抜くと足を引っ掛けて思いっきり鈴穂を突き放した真紀。)

鈴穂>!!(「鈴ちゃん」という言葉を聞き今度は鈴穂が固まる。)
ドサッ!!
(そのまま、いとも簡単にこかされてしまった。
尻餅をつき真紀を見上げる。
その顔は一見、無表情だ。 そして、何も言わない。)・・・・

真紀>真紀だよっ! 忘れたの?
(倒れて真紀を見上げる鈴穂に必死に訴える真紀。
だが鈴穂の表情は変わらない。
さらに動揺する真紀に今まさに鈴穂が最後の一撃を食らわそうとしていた。)

鈴穂>真紀・・・・
(ゆっくりと立ち上がり真紀に向かって手を伸ばしていく鈴穂。
旧友との再会を果たし、その体に触れようというのか?
しかし、それにしては表情が・・・)
ぐっ!!
(真紀の喉をわし掴みにする鈴穂、留美の手首を握り潰したあの握力で気道を握り潰す。)

真紀>鈴・・ちゃん・・・
(鈴穂が真紀の名を呼びやっと思い出してくれたのかと歩み寄る真紀、だがそんな甘い考えはすぐさま吹き飛ばされてしまう。
鈴穂の手が真紀の喉元をガッチリ掴んで絞り上げる。)
くっ・・苦しい・・
(喜びもつかの間、絶望感と共に意識が薄れ行く真紀。)

美香>真紀ちゃ〜ん!!
(美香の悲痛な叫びがこだまする。)

鈴穂 > ・・・・
(ギリギリと締め上げる鈴穂。
こうなれば、どんな抵抗も無意味・・鈴穂の顔からは、すべての感情が消えている。)
気安く呼ぶな・・・
(低い声で言い放つ。真紀の訴えに対する答えは・・・)
ヒュッ・・・
(鈴穂の筋肉が盛り上がり握り潰さんばかりにグリップが強められる。
と同時に、真紀の体が宙に吊り上げられた。
そしてすぐさま落下。)
ドッゴオオォオッッ!!!!
(ハイアングルでの喉輪落とし!!
真紀の後頭部が地面に叩きつけられ、あまりの衝撃にアスファルトが砕け散る。)

ずっしゃ〜〜〜〜ん!!!! 

真紀>(まるでボロ雑巾のようにアスファルトの地面に叩きつけられる真紀、飛び散るアスファルトの中、そのまま意識を失ってしまう。)

美香>真紀ちゃん?・・・真紀ちゃん!!・・・ねぇ、嘘でしょ? 嘘だよね?
(泣き崩れる美香、去っていく鈴穂の背中を睨みつけながら)
このままでは絶対に終わらせない・・・
(うわ言のようにつぶやく美香。)

(始めての敗北、それから1週間が経過した。)

留美>あっ真紀ちゃ〜ん^^
お見舞いに来てくれたのぉ?
(嬉しそうに微笑む留美の姿があった。) 

真紀>お見舞いも何も真紀も今日退院した所だし・・・。
(マジ顔になり)
留美のこと・・・守ってやれなくてゴメン・・・・
(申し訳なさそうに留美に詫びる真紀。
自分は、なんとか1週間の入院で済んだわけだが。
そこへ美香が病室に飛び込んで来た。)

美香>真紀ちゃん・・・ちよっと・・・
(病室の外に真紀を連れ出す美香。)
留美のことなんだけど・・・あの娘、もう一生、右手が使えなくなるかもしれないって・・・
 
真紀>留美はその事、知ってるの?
(首を左右に振る美香。真紀は無言でドンと壁をたたき唇をかみ締める。)

美香>それであのオンナの事、わかったよ。
名前は姫川鈴穂・・・地下プロレスのトップエベンターで2年前に突如現れて現在まで無敗。
無論、引き分けすらないって言うとんでもないオンナだったんだよ〜・・・って、あ、真紀ちゃん?

(美香の話に「やっぱり・・・」とだけつぶやくと病室を出て行く真紀。
その後、真紀は渋谷から姿を消した。
ぷっつりと消息を絶ってしまったのである。)



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樹来さんより残暑見舞い頂きました  頂きもの





イラストは樹来さんの作品に登場するアキラとバドゥーです

樹来さん、ありがとうございます。




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渋谷最強伝説外伝  第一章 瞬殺  特別企画もの



(真紀がまだ小学校4年生の頃、とても仲の良い娘がいた。
二人は何をするにもいつも一緒に行動していた。
そしてその日も学校の帰り道・・・)

真紀>〇ちゃん、じゃ〜また明日ね〜
(手を振ってその娘と別れ家路につく真紀。
だがその娘はその日を最後に突然姿を消した。
まるで神隠しにでもあったかのように・・・・

そして翌日、雨の中赤い傘をさしていつまでも待ち合わせ場所に立つ真紀がいた。
しかし彼女が真紀の前に姿を見せる事は二度となかったのである。)



それから6年の月日が経ち真紀は高校1年になっていた。
渋谷の街にはミニスカの制服、メイクをほどこした女子高生が溢れ返っていた。





岡田留美>あぁ、真紀ちゃん!(ファーストフードで芹沢美香と一緒にいた真紀に話し掛ける留美。)
なんかさぁ〜奈緒たちがトラぶったみたいでさ〜これからちよっと行って来るわ・・・

真紀>喧嘩ぁ? ふ〜ん、頑張りなね〜♪

留美>うん。
あ、明日は真紀ちゃんのバースデーのお祝いすんだよね?
楽しみにしてっからぁ〜・・・
あ、もうこんな時間、いかなくっちゃ〜
(手を振りファーストフードを飛び出して行く留美。)

真紀>大丈夫かな〜留美のやつ・・・(ちよっと心配顔の真紀。)



姫川鈴穂> ・・・・
(華やかな繁華街も路地裏に入れば、とたんに陰鬱になる。
そんな場所を黙って歩く女性が一人。
その表情には、なんの感情も浮かんでいない。
Tシャツにジーンズ、ノーメイクという格好でポケットに手を突っ込んで歩いている。
顔つきからすると、16、7というところか?
しかし、かもし出している雰囲気が尋常ではない。
そう、血の匂いがするとでもいえばいいだろうか?)

(一見したところ、行き先には誰もいない。
しかし、鈴穂は何かを感じ取ったようだ。
だが歩く速度も方向もまったく変わる事はない。)

奈緒>あいつだよね?
 
英美>うん。間違いないよ・・・あのオンナだよ。
(スマホを取り出し反対方向で待ち伏せするあゆみと由希にLINEで連絡を取る英美。)

あゆみ>了解 今、角を曲ったよ。

由希>じゃ〜始めよっか。
(突然、鈴穂の背後から声をかける由希。)
おい!!

鈴穂>(ピタリと足を止める鈴穂。ちらりと後ろを振り返る。
その目は冷たく硬い色を浮かべている。)
・・・・
(無言のまま首を前に向けると、何事もなかったかのように歩き出した。

背後から呼び止めた由希とあゆみを無視するかのように歩き出す鈴穂の正面から奈緒と英美が姿を見せる。) 

英美>待てって言ってんだろ! こらっ!
オマエさぁ1週間前、すれ違った時に肩ぶつかってトラぶったオンナいたじゃん?
あれ、ウチらのダチなんだけど!

奈緒>今、オマエにやられたその娘、入院しちゃってんだよね。

留美>(横から留美も姿を現し)
そんなフザけた、よそもんが大手振ってあるける程、ウチら甘くないんだよね。
(5人で一斉に鈴穂を取り囲む状態となる。

鈴穂>(自分を囲む女たちの顔を一通り見回す。
1対5で囲まれているというのに、眉一つ動かさない。)

・・・それで?
(初めて言葉を発した。両手はまだポケットに突っ込まれたままである。)



(その頃、ファーストフードでは・・・)

美香>そんでさぁ〜〇〇先輩がさぁ〜・・・って、真紀ちゃん、どうしたぁ?
(しゃべりまくる美香が先ほどから浮かぬ表情の真紀に問い掛ける。)

真紀>ん?・・・あ〜なんかさぁ〜留美の事が気になっちゃって・・・

美香>(苦笑いしながら)大丈夫だって。
留美だってあ〜見えても喧嘩強いしね〜
  
真紀>わかってるけどさぁ〜・・・胸騒ぎってやつ?
・・・やっぱ、様子見てくる。
(赤いショルダーバックを無造作に肩に引っ掛け席を立つ真紀。)

美香>あ〜ちょっ・・・ちょっと真紀ちゃ〜ん!!
(美香もあわてて真紀の後を追った。)


奈緒>それでだぁ?・・・ナメてんじゃね〜よっ!
(いきなり鈴穂の膝に蹴りを入れようとする奈緒、他の4人も臨戦体制に入った。)

鈴穂>(奈緒の放った蹴りが空を切る。
そこにあったはずの鈴穂の膝が・・・)
ガゴォ!!
(奈緒のあごを直撃していた。
一瞬のうちに跳躍した鈴穂の飛び膝蹴り、跳ね上げられるあご!!
骨も危ういかという様な威力で奈緒を吹き飛ばし地に降り立つ。
両腕が、ポケットからようやく抜かれた。だが残り四人に対しては背を向けたままの状態だ。

まるでスローモーションのように空中に舞う奈緒の体・・・
そのまま崩れ落ち痙攣を起こしている。) 

英美>なっ・・奈緒っ!!
(あまりにも突然の秒殺劇に驚きの表情を浮かべる英美だが体が震え出し怒りの表情に変わる。拳を握り締めかんだかい声を挙げながら鈴穂に突進、殴りかかっていった。)
この野郎ぉ〜〜!!

鈴穂> すっ・・・・
(振り返った鈴穂が体をスライドさせる。流れるような動きだ。)ばしっ!!
(英美の繰り出した拳を避け、手首を掴む。
一瞬、二人の目が合った。凍った視線が英美を射抜く。そのコンマ一秒後)
ドボォ!!!!
(鳩尾に叩き込まれるボディーブロー!!
拳が半分以上埋まり、衝撃で体が浮き上がる。)

英美>うっ!!・・・
(カッと目を見開き「信じられない」と言うような表情を見せる英美。
浮き上がった体が地面に降りた時、腹を抱えながら尻餅をつくように倒れ込む。)
くそったれがあぁ!!・・・
(立ち上がろうとするが足腰がガタガタと震え出し崩れ落ちてしまう。)
うっ・・ゲボ〜〜・・・(ついには吐き出してしまう英美。)

あゆみ>(あゆみと由希が同時に飛び掛って行く。
由希が鈴穂の背後からフルネルソンで押さえつけあゆみがミドルキックを叩き込もうとするが・・・)

鈴穂>ガシッ!!(由希に捕まった鈴穂。不快そうに顔をしかめるものの、)ガツゥ!!(思いっきり足の甲を踏みつけ、力が緩んだ隙に脱出。身を翻す鈴穂。そして、)ドスッ!!
(放たれていたミドルキックは勢いを止められず、由希の脇腹に命中する。
まさかの同士討ちに固まるあゆみの後ろから声が、)
いいミドルキックね・・・・
(嘲るような調子が含まれた声・・そして、次の瞬間には、あゆみは宙を舞っていた。)
ガシ・・・ブンッ!!
(投げっぱなしのジャーマンスープレックス!!
路上では危険すぎる技だ。
あゆみの体が宙にあるうちに立ち上がる鈴穂。飛んでいったあゆみには見向きもしない。)

あゆみ>きゃあああっ!! グシャ!!
(高角度の投げっぱなしジャーマンに頭から突き刺さるように地面に落下するあゆみ。
鈍い音と同士討ちで腹を抱えて七転八倒する由希のうなり声が聞こえてくる。
あゆみはピクリとも動かない完全に失神した状態だ。)

留美>・・・・(額から大量の汗が噴出す留美、震える手でポケットからナイフを取り出すと)
こ、こないでよ!
(表情一つ変えずに近づいて来る鈴穂にナイフをかざすがズルズルと後ずさりして行く。)

鈴穂>へえ・・・
(ニヤリと笑う鈴穂。あっという間に四人を叩き潰した彼女の笑みは、まさに獣の笑みだ。)
面白いものを出すじゃない。
(構わず距離を詰めていく。「刺してみろ」といわんばかりの態度だ。)

留美>・・・(ズルズルと後退して行く留美だがついにビルの壁際まで追い詰められてしまう。
もう後が無い留美、しばしの沈黙のあと口を真一文字にし意を決したかのように握り締めたナイフを前に突き出すと鈴穂に向かって行く留美。)

鈴穂>ひゅ・・・ガシッ!!
(かすりもしないナイフ。
かわした鈴穂は、左脇でナイフを持つ留美の右腕を挟み、手首を右手で掴む。)
ギシッ!!
(凄まじい握力で締め付けられる手首!留美の苦しむ表情を横目で見ている鈴穂。)

留美>あっ!・・・あっぁぁ・・・はっ、放せこのぉ!!
(留美のかん高い声があたりに響き渡る。掴まれた手首からナイフが零れ落ちた。
必死に暴れようとする留美だが掴まれた手首の痛みが激しくどうにもならない。
そして留美の手首から明らかに骨が砕け散る音がこだました。)
ゴリ!・・・バキバキ!!
ぎゃあああああああああああっ!!!!
(手首を押さえたまま狂ったようにあたりをのたうち廻る留美、だが次第に動かなくなっていく。)

鈴穂>ふん・・・
(いとも簡単に手首を砕いた鈴穂。手を離すと、まるで虫けらを見るような眼で留美を見下ろしつつ、ツカツカと近寄っていく。
そして、ほとんど動きを止めた留美の右腕を無理やり捕らえると)
ナイフを出すなんてなかなかやるじゃない?
ただし・・ミシィ!!
(自分も腰を下ろし、あっという間に脇固めを完成させる。)
それなりの覚悟はあるんでしょうね? 
ミシミシミシッッ!!
(肩の骨が悲鳴を上げる!手首に続き、肩まで破壊するか?)

留美>あっ!・・・あっぁぁぁ・・・お、お願い・・・もう止めて・・・
ぎゃあああああああああっ!!!!バキバキバキ!!!
(留美の絶叫と共に肩が破壊されていく。)




真紀>あの声・・あっちだ!!
(留美達を探していた真紀の近くから悲鳴が聞こえてくる。
声の方向にダッシュする真紀。 美香もあとに続いた。

そして、二人は壮絶な光景を目の当たりにする事となる。
あごを砕かれ、口から血を流しながら痙攣する奈緒。
吐く物がなくなってもまだ吐き気がおさまず吐しゃ物の真中で鳩尾を押さえて震えている英美。
泡を吹いて完全に気を失っているあゆみ。
一番ましな由希も、腹を抱えると同時に、足の甲の異常に気付き、泣きじゃくっている。
そして極めつけは・・・)

鈴穂>ナイフを出した以上・・・殺されたって文句は言えないのよ?
(砕いた留美の肩を踏みにじり、さらなる激痛を与える鈴穂の姿が。
静かな口調で、言い聞かせるようにしゃべっている。)

真紀>なっ・・・なんだよ!!・・・これっていったい?・・・

(駆けつけた真紀と美香は、あまりにも凄惨な光景に声を失った。)




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お知らせです  



いつもご来場、誠にありがとうございます。

厳しい暑さが続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。


さて現在、「シブイチ狂想曲」連載中ではございますがしばらくの間、お休みさせて頂きます。
第26話の更新を楽しみにされていた方、大変申し訳ございません。

代わりといっては恐縮ですが次回より夏休み特別企画として

「渋谷最強伝説 外伝」をお送り致します。

MAKIストーリーの中でも屈指のハード作品をリニューアルして掲載致します。

どうぞお楽しみに^^

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