第33話 回想 六角事件 2  新世代闇巣女子学園



六角が渋一と美香のアパートを襲撃したという話は瞬く間に広がった。

六角から間一髪、逃げ延びた美香は六角大包囲網を敷くべく渋谷じゅうのギャル達にメールを一斉送信したのである。

内容は
「渋一がノース・ザ・エンペラーの六角という女に襲撃され4人が重傷。
美香のアパートも襲われた。
六角が狙っているのはみちる。
ウチらは、なんとか脱出できたけど、六角は、まだみちるを探し回ってる。
六角を包囲してほしい。
特徴は銀髪で背の高い女。
異様な感じなのですぐにわかるはず。」
という物であった。

その頃、彼女(後に雫を名乗る少女)は牧野雫とその仲間と3人でお茶をしていた。

「闇女なんか辞めちゃえば?」と雫が言う。

「そこまで酷いことされてあんなとこ行く必要ないじゃん?」
雫の仲間も親身になって彼女の相談に乗っていた。

「でも・・・」
彼女は戸惑っていた。
言われなくても闇女なんかに未練は無い。
だけど今、高校を辞めたとして自分はどうしたら良いのかわからなかった。

「実はさぁ・・・そういうアタシも渋一辞めたんだよね。」
牧野雫が渋一を退学したことをカミングアウトする。

「えっ・・・どうして?」
ストローでグラスの中の氷を廻していた彼女の指先がぴたりと止まった。

「う〜ん・・・なんていうか・・・アタシ勉強嫌いだしさぁ・・・」
雫は髪の毛をぽりぽりとかきながら語る。

「マルキューのショップでバイトする事にしたんだ。
ねぇ、もう一人募集してたから来るなら今がチャンスだよ。
なんなら店長に紹介しようか?」

「アタシはショップスタッフは無理だよ。
センス悪いし・・・」

と、その時である。
美香からメールが届いたのは。

「美香からだ。」
牧野雫は美香からのメールに目を通す。
それまで穏やかだった彼女の顔つきが急変する。

「どうかしたの?」
彼女が尋ねると・・・

「ノース・ザ・エンペラーって知ってるだろ?
そのノースの幹部が渋一と美香のアパートを襲撃したらしい。
六角って奴?
銀髪で長身の女・・・
異様な感じだから見ればすぐわかるってさ。」

「4人重傷って・・・」
雫の仲間も怒りに手が震えている。

「巻き込まれないうちに早く帰ったほうがいいよ。」

「でも・・・」
躊躇する彼女に

「また連絡するから・・・ね。」
雫が彼女をうながすと渋々席を立った。
そして帰ろうとしたとき・・・

自動ドアが開き外から一人の女が入ってくる。
長身の銀髪・・・異様な雰囲気の女。
それは紛れも無く先ほど美香のアパートを襲撃したという六角に間違いなかった。

自動ドア前で固まる彼女。
そんな彼女には目もくれず奥の席に陣取る六角。

ウェイトレスが水とオシボリ、メニューを持って六角の所へ向かう。
「いらっはしゃいませ^^;
ご注文が決まりましたら・・・」
と言いかけるウェイトレスをギロリと睨みつける六角。
その瞬間、ウェイトレスも固まってしまう。

「サーロインステーキとグラスワインだ。
おい、聞いているのか?」

「あ・・はい。 サーロインステーキとグラスワインですね。
お肉の焼き加減はいかがいたしましょうか?」

恐る恐る尋ねるウェートレスに
「フ・・血の滴るようなレアーで頼むよ。」

「か・・かしこまりました。」

まだ雫とその仲間は六角がこのレストランに入ってきた事に気づいていない様だ。
会計を済ませた彼女は慌てて雫達の元へ戻った。

「ねぇ雫ちゃん・・・ノースの人ってあの人の事じゃない?」

「え?・・・あっ!!」
雫の指差す方向には六角が椅子にどっしりと腰を降ろしてタバコに火をつけていた。




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第32話 回想 六角事件 1  新世代闇巣女子学園



これは渋一とノース・ザ・エンペラーが抗争していた頃の話。

当時、池袋地区は蒲生由良が統治していた東地区、池袋ウエストゲートパーク(IWGP)を拠点とする西軍の根城である西地区、そしてノース・ザ・エンペラーが支配していた北地区にわかれてパワーバランスが保たれていた。

しかし渋一が蒲生由良、西軍を倒した事により一気にパワーバランスが崩壊してしまった。

ノース・ザ・エンペラーの首領である白鳥は一挙に池袋全土を制圧すべく総攻撃を開始したのである。

東の守護神・蒲生由良が倒れ、西軍も全滅状態に追いやられた事は言うまでもない。

そんな中、当時西軍の副将であった瀬川みちるが命からがら逃げ延び
渋一の芹沢美香に助けを求めたのである。

芹沢美香と言えば渋谷のギャルなら知らない者はいないほどの存在。
彼女が一声欠ければ渋谷中のギャルが集まる言わば顔役であった。

美香は、自分を頼ってきたみちるをかくまった。
かつて敵であった瀬川みちるを助け自分のアパートに引き入れたのである。

それから半年が経過した。

IWGPを襲撃したのがノース・ザ・エンペラー最凶と言われた六角璃瑠(りる)。

美香のアパートに来た当初は酷く六角の影に怯えていたみちるも徐々に明るさを取り戻していった。

だがそれもつかの間、ノースの密偵である赤松幸恵に美香の所でかくまわれている事を発見されてしまう。

六角は西軍最後の砦である瀬川みちるを抹殺する為に渋谷上陸を果たしたのである。

渋一の校門前に現れた六角は美香の居場所を尋ねたが渋一生徒がそんな事を教えるわけも無い。
六角は無視した生徒をうつろな表情で見つめながら手に持っていたウォッカのビンを口元に。

ゴクゴクゴクッ・・・

ウォッカを口に含んだ状態でライターに火をつけたのである。
そして霧吹き状にウォッカを吐き出すとビッグファイヤーとなり無視した生徒に!!

「きゃあああああああああああああ!!!!」
火だるまとなり転げまくる生徒。

なんと六角は無視した生徒をビッグファイヤーで焼き払ったのである。

残忍無比な六角の手口に怯えて逃げようとするもう一人の生徒を捕まえ、ついにアパートの住所を聞き出すことに成功する。

この生徒にしてみれば必死だ。
相手は正気ではない。
ここで美香の住所を教えなければ何をされるかわかったものじゃない。
必死に話す生徒。
「そうか・・・ありがとよ。」

「これでやっと開放される。」
安堵の表情で胸をなでおろした生徒だが・・・

「そうだ。 オマエに褒美をやらなきゃな・・・」
と呼び止める六角。

「褒美なんて・・・」
生徒が振り返った瞬間、六角は持っていたウォッカのビンでこの生徒の脳天に叩き付けたのである。

ぐわっしゃーーーん!!!!

砕け散るウォッカのビン。

「そ・・そんなぁ・・・」

と同時に脳天をかち割られた生徒も血しぶき上げながらその場に崩れ落ちた。

「フ・・・仲間を売る豚野朗が・・・」

六角の呟きである。

「校門で人が燃えてる!!」

数人の生徒が駆けつけるが時すでに遅く六角は去った後であった。

この後、六角は美香のアパートを襲撃、間一髪逃げ出した美香とみちるを追ってセンター街へ。

ここで白昼、50数名の犠牲者を出す前代未聞の大惨事 六角事件が発生したのである。



六角事件 本編はこちらです^^   池袋カーディス 殺戮祭より

@砕け散ったビール瓶

A六角渋谷上陸

B惨劇の始まり

C仲間を売る豚野朗

D止まらない胸騒ぎ

Eクローゼットの奥から

F決死の脱出

G六角大包囲網

H戦慄のセンター街

I酒臭さと血の臭い

J最強vs最凶

K眠りにつく六角




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第31話 雫を名乗る少女の悪夢 3  新世代闇巣女子学園



雫を名乗ることになる少女が欠席する様になったのは、それから数か月も後の事である。

あのトイレでの襲撃事件以来、彼女は闇女の生徒との一切の関わりを絶った。

わずかな希望は闇女執行部でのあ姫の側近、緑川泉の存在だったのだがあれ以降、彼女の前に泉が姿を見せることも無かった。

闇女総裁として絶大な権力を握り学園を思うがままに動かしていた、あののあ姫がクーデターに合ったのは、それから間もなくの事である。

クーデターを起こしたのは側近であった緑川泉。

雫と名乗る少女がトイレでフルボッコにされている時、

のあ姫は黙視し、側近の黒咲桜は

「オマエも闇女のはしくれなら自分のケツは自分で拭く事だ。」

と冷たく言い放った。

だがもう一人の側近、泉だけは彼女をいたぶっている連中に対し言い放った

「うせろ。」の一言。

彼女は緑川泉のこの一言にわずかな希望を託していた。

その泉がのあ姫に対して仕掛けたとされるクーデター。

学園における全ての権力を掌握するも生徒に対し氷のように冷たい執行部。

泉は闇女改革に乗り出したのだという。

だが泉はのあ姫に破れ学園を一人追放されてしまった。

当初、泉に賛同していた仲間達も泉側が戦況不利に追い込まれると掌をかえす様にのあ姫側に寝返ったのが最大の理由。

そしてのあ姫自身はクーデター終結を期に

「闇女に嫌気がさした。」と語り、勝手に闇女から姿を消してしまったのだ。

これでは闇女改革の為に決起し退学に追い込まれた緑川泉が不憫でならない。

「こんな事、あっていいわけない。」

彼女は強い憤りを覚えた。

側近の黒咲桜ものあ姫を跡を追うように退学していった。

雫を名乗ることになる少女が退学したのはそれから間もなくの事であった。

闇女とは一切関わりを持つ事は無くなった彼女だが中学時代の仲間達には頻繁に会っていた。

中でも親友 牧野雫とは。

牧野雫は渋谷第一学園に入学した頃からギャルに目覚め今ではセンター街でも、ちょっとは知られる存在になっていた。

ある時の彼女は雫に言った。

「アタシもギャルになろうかな・・・」

「やめときな。」と雫は応えた。

そんなある日、事件は起きた。

あのセンター街で50数名が犠牲になった大惨事 「六角事件」である。

この「六角事件」を期に雫を名乗る少女が誕生する事になるとはこの時点で誰が予想しえたというのだろうか?




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第30話 雫を名乗る少女の悪夢 2  新世代闇巣女子学園



それは彼女(雫を名乗る少女)にとって衝撃以外の何物でも無かった。

彼女に対する虐めを先導してきた者、

それは入学以来、一番仲良くしてきた子だったのだから・・・

数名の仲間達と笑いながらトイレを出て行こうとする少女達。

彼女はもう黙っている事など出来なかった。

「ちょっと待ってよ。」

彼女はずぶ濡れになったセーラー服のままトイレの個室を飛び出した。

「はぁ?」

悲しげな目で少女達を見つめる彼女に対して、まるで「なにか?」とでも言いたげに振り返る少女達。

「なんで? どうしてなの?
今まであんなに仲良くしてきたのに・・・」

必死に訴える彼女をあざ笑うかの様に見つめる少女達。

「オマエのような偽善者見てっと吐き気がしてくるんだよ。」

「偽善者? あたしのどこが偽善者なのよ?」

「うっせー!!」

「うぜーんだよ!!」

少女達の一人がいきなり髪の毛を掴んできた。

「ちょっ・・痛い・・やめてよ!!」

どぼっ!! ぼこっ!!

髪の毛を掴まれバランスを崩した彼女の腹に膝蹴り炸裂する。

さらに別の少女はお腹を押さえてうずくまりかける彼女に対してヤクザキックを叩き込む。

「ああっ・・・!!」

彼女の顔面には少女のヤクザキックで靴の痕がくっきりと残った。

無残にトイレの床に倒れる彼女。

彼女は必死に一番仲良かったあの子の姿を追うが

視界に写ったあの子は壁にもたれかかり腕組しながら薄ら笑いを浮かべていた。

彼女はトイレから引きずりだされ廊下に放り出された。

さらに数名によるリンチは続いた。

うずくまった彼女に笑いながら次々に蹴りを入れていく少女達。

どかっ!! どすっ!!

「うぐぐぐ・・・」

顔面を靴の裏で踏みにじられる屈辱。

と、その時・・・

突然、少女達の笑い声が止まり暴行がストップした。

少女達は緊張した表情で廊下の隅に立ち頭を下げた。

薄れ行く意識の中で彼女が見たもの・・・

それはこの学園を支配しているといっても過言ではない青木のあの姿であった。

のあ姫は右に黒咲桜、左に緑川泉という二人の側近を従えて歩いてきた。

彼女は必死に助けを求めた。

「お願いします。 助けて・・・助けてください・・・」

のあ姫はチラリと助けを求める彼女を見やったのだが・・・

「オマエも闇女なら自分のケツは自分で拭くことだ。」

側近の黒咲桜が冷たく言い放った。

のあ姫は歩を止めることなくそのまま歩いて行く。

自分が始めた見た闇女執行部・・・

だがこの学園に君臨する最高権力者は氷の様に冷たかった。

唯一、緑川泉(緑川蘭の姉)だけが虐めていた少女達に対し

「うせろ・・・」と告げてくれた。

少女達は強張った表情で、すごすごと退散するしかなかったのである。

「あ・・ありがとうございました・・・」

それだけ言うのが今の彼女には精一杯であった。




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第29話 雫を名乗る少女の悪夢 1  新世代闇巣女子学園



雫と名乗る少女が闇巣女子学園に入学したのは今から2年前の事である。

新生活に胸躍らせて入学した彼女。

当時の闇女は初代総裁 青木のあの政権下にあった。

のあと言えば「のあ姫」と呼ばれ彼女が廊下を歩けば生徒はおろか教職員までもが道を譲り頭を下げたという伝説の人物。

生徒会を操り全校生徒は全て、のあ姫の意向に従っていた。

一見、恐怖支配に見えるのあ政権ではあったが生徒会の意向に逆らいさえしなければ楽しい学園生活が送れた。

雫と名乗る少女に異変が起きたのは入学式から1ヶ月ほど経ってからの事であった。

彼女が下校しようとしたその時、鞄が無くなっている事に気がついたのである。

教科書等はロッカーにしまったまま帰るので鞄が無くなった事に対しては

「誰か悪戯したな・・・」程度にしか考えていなかった彼女。

だがそれはこれから始まる壮絶な出来事の序章にしか過ぎなかったのである。

翌日、登校した彼女の机には・・・

馬鹿 死ね 淫乱 キモイ 等と赤や黒のマジックで落書きされていた。

彼女が昼休みに教室を出て帰ってくると今度は机の中に弁当の残飯と思われるものが入っていた。

「ちょっと誰なの? いい加減にしてよ!!」

彼女は教室中に響き渡る声で怒鳴ったがクラスメート達は知らん顔を決め込んでいた。

知らん顔と言えば聞こえは良いがそれはシカトに他ならない。

さらに翌日からはクラス全員によるシカトが始まったのだ。

それまで仲良くしていた子でさえ、彼女が声をかけても完全無視だ。

日に日に机の上の落書きは酷くなり今では何を書いているのかもわからないほどマジックで塗りつぶされていた。

机の上に書けなくなると今度はチョークで黒板全体に渡るほどの誹謗中傷が始まった。

卑猥で見るに耐えない落書きも・・・

彼女はたまらずトイレの個室に駆け込んだ。

そして悔し涙を流した。

その時、数名の生徒がトイレに入ってきた。

彼女は息を殺し生徒達の話に耳を傾けた。

「あの女・・・マジうざいし。」

「でもさぁ、あれだけ虐められて、よく休まずに来るよな。」

「あたしだったら不登校になっちゃうね。」

「だよねぇ・・・」

「きゃははははははははははは!!!!」

トイレで話している生徒の声には聞き覚えがあった。

それは入学以来、一番仲良くしてきた子の声だったのだから・・・

彼女は愕然とした。

「なんで? 今まであんなに仲良くしてきたのに・・・」

虐めの正体・・・それは一番仲が良かったあの子が首謀者だったのだ。

「自分に何か非があったのだろうか・・・?」

彼女は必死に鞄が無くなる数日前の事を思い出そうとしていた。

しばらくするとその子達の声が聞こえなくなった。

トイレから出て行ったのか?

次の瞬間、バケツに水を汲んでいる音が聞こえてきた。

彼女は個室から出るに出られずにいた。

すると・・・トイレの上からバケツに汲まれた水がぶちまけられた。

ばっしゃああああああああ!!!!

「きゃああああああああ!!!!」

彼女は全身ずぶ濡れとなった。

「オメーが中にいたのは最初から知ってたつーの。」

「死ねよクソが。」

「きゃはははははははは!!!!」

生徒達はそう言うとトイレを出て行こうとした。

もう我慢の限界だ。

彼女は個室から飛び出した。

「ちよっと待てよ!!」

ずぶ濡れになった姿のまま彼女は出て行こうとする生徒達を呼び止めた。





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