第169話 安東明日美の悲劇  羅刹 第二部


香住>篠原さん・・お別れです。
元ギャルのあなたがこれまで撫子組に加勢してくれたご恩、終生忘れません。
(香住はみゆきに頭を下げると部屋を出て行った。)

みゆき>(しばらく香住の後姿を見つめていたみゆき。
みゆきの脳裏に4年前の記憶がまざまざと蘇る。


【4年前の記憶】


みゆき>・・・・
(やりきれない表情で明日美を見つめるみゆき。)

明日美>何と言う不条理・・・(首を左右に振り)
ただ遊ぶ金欲しさに真面目に一生懸命生きてきた父の人生を台無しにし、安東家を破滅へと導いたギャル2人組・・・
こんな腐った生き方をしている輩に父は殺された。
それから私達は心底、ギャルという人種を憎んだ。

みゆき>それで撫子組を結成したって訳か・・・

明日美>だからどんな事があってもギャルなどと言う不埒者の手は借りたくない。
私の信義・・察してくれ・・頼む・・・

みゆき>安東・・・
(みゆきの眼から熱いものがこみ上げてくる。)

ガガガガ!!!! ドドドドッ!!!!
(撫子組本部ビル完全崩壊の時が今まさに・・・)

ゴゴゴゴ!!!! ガタガタガタ!!!!

明日美>もうここも限界だ・・さぁ行くんだ!!
その扉を出ると数メートル先に非常階段がある。
そこから脱出しろ・・・

みゆき>だけど・・だけどさぁ!!



(ここでみゆきの回想シーンは終わる。
そしてみゆきはハっとした様に香住の後を追った。
胸騒ぎが止まらない。
必死に香住を追うみゆき。
だが、みゆきが追いつく直前に香住が乗った車のドアは無常にも閉められたのである。)

みゆき>香住!!
初代総長 明日美の悲劇を繰り返しちゃ駄目だ!!
明日美はこんな復讐劇なんか望んじゃいないよ!!

運転手>(バックミラーごしに叫んでいるみゆきの姿を見て)
安東様、降りられますか?

香住>・・・・
行って下さい。

運転手>かしこまりました。
(アクセルを踏み動き出す車。)

香住>・・・・
(みゆきの悲痛な叫びは香住にはっきりと聞こえていた。
だが香住は決して後ろを振り向こうとはしなかった。)

みゆき>香住・・・
(「香住・・死ぬなよ・・・」
香住の覚悟を悟ったみゆき。
心の中でぽつりとつぶやいた。)


第168話 みゆき決別の時  羅刹 第二部


とんとん!!
(沙夜の部屋をノックする香住。)

香住>お話中、ごめんなさいね。
(返事は無かったが香住はドアを開き中に入った。
そこには香住の姿をじつと見つめるみゆきと沙夜の姿があった。)
篠原さん、今、緒方さんから緊急連絡が入りました。
大西真紀が総本部に乗り込んだそうです。

みゆき>真紀が・・・

香住>(コクリとうなづく香住。)
これから総本部に戻ります。
(香住に何かを訴えかけようとするみゆきに)
あなたはここに居てください。
・・・姿をくらました赤松が何か仕掛けてくるやもしれません。

みゆき>・・・

沙夜>・・・・
(怯えた表情でみゆきの背後に隠れる沙夜。
今まで誰一人として彼女が心の扉を開く事は無かったのだが、どうやらみゆきにだけは心を許した様だ。
みゆきの様子も変だ。)

香住>(その光景を目の当たりにした香住は)
篠原さん・・・どうやらあなたは全てを知ってしまった様ですね。

みゆき>あんたと緒方が話しているのを聞いちゃったからな・・・


(みゆきが言う香住と緒方の話とは・・・

香住>4年前の風子なるマンバが刺された事件ですが・・・

緒方>あぁ・・マンバ通り魔殺人事件の事ですね。
暴漢に刺されたとはいえ自業自得ではないかと?

香住>私が独自に調査したところ、どうやら犯人は竜崎沙夜らしいのです。

緒方>なんですって!!
では通り魔殺人という話は竜崎理事長の改ざんなのですか?

香住>(コクリとうなづく香住。
緒方は驚愕の表情だ。)



香住>あの時の・・・
(驚愕する香住。
「あの時の会話・・聞かれていたのね・・・」と心の中でつぶやく。
初めて竜崎の娘を見たときから、みゆきの異変にはそれとなく感づいていた香住。)

みゆき>・・・もういいんじゃないか?
大半のギャル達は消えた。
撫子組は当初の目的は達したんだ。
これ以上、悲劇を繰り返しちゃ・・・

香住>(みゆきの台詞を遮るように)
最後にもうひとつだけやらなければならない事があります。
今は亡き先代総長・・・明日美姉さんの無念を晴らさなければなりません。

みゆき>!!
(それは大西真紀との最終決戦を意味していた。)

香住>篠原さん・・お別れです。
元ギャルのあなたがこれまで撫子組に加勢してくれたご恩、終生忘れません。
(香住はみゆきに頭を下げると部屋を出て行った。)

みゆき>(しばらく香住の後姿を見つめていたみゆきだがハっとした様に香住の後を追った。
だが、みゆきが追いつく直前に香住が乗った車のドアは無常にも閉められたのである。)

フー子と虎  キャラクターイメージ


フー子(左)と虎(右)のイラストです。

この二人、フー子は『改新版 討伐!撫子組』で虎は『羅刹』で死んじゃうんだよな。
二人ともキャラとしては初めて作ったマンバキャラなので思い入れは深いですね。

novさん、ありがとうございます

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『改新版 討伐!撫子組』〜風子の死〜を一部変更しました。
http://moon.ap.teacup.com/egoistcity/259.html


マンバの虎  キャラクターイメージ


novさんより虎のイラストを頂きました^^

クリックすると元のサイズで表示します


『改新版 討伐!撫子組』、『羅刹』に登場したマンバの虎のイラストです。
おっかないマンバメイクの中にも虎のひたむきで優しい素顔が表現されていますね。
となりにちょこっと顔出しているのはフー子でしょうか?
それとも華梨かな?

novさん、ありがとうございました


第167話 蓮の想い 真依子の決断  羅刹 第二部


(みちるを病院に送り届けた蓮は一人集中治療室近くの待合室に腰掛けていた。
真依子はみちるのアパートに着替えを取りに帰っていた為だ。)

蓮>・・・・・
(蓮の表情が険しい。
みちるの無残な姿を見て今後の事を色々と考えている様だ。)

チン!!
(エレベーターのドアが開きみちるの着替えを持ってきた真依子が帰ってきた。)

真依子>蓮、みちるさんは?
(蓮に尋ねる。)

蓮>大丈夫、先輩はあの程度じゃびくともしねーよ。
1週間ばかり入院が必要だってさ。

真依子>これ・・みちるさんの着替えね。
(安堵の表情を浮かべる真依子。
蓮にみちるの着替えを渡すと)
蓮・・悪いけどあたし行くね。
みちるさんをお願い。

蓮>・・・・
(蓮は返事をしなかった。
椅子に腰掛けたまま、じっと床を見つめている。
真依子の顔すら見ようとしないのだ。)

真依子>蓮?・・・・

蓮>(大きな溜息をつく蓮。)
・・・行くって撫子組の総本部にか?

真依子>真紀さんがたった一人で闘ってるんだよ。
渋谷の全てのギャルを護る為に自分の退学まで賭けてるんだよ。
真依子だけ安全地帯にいる訳にはいかないの。

蓮>先輩(みちるの事)のあの姿、見ただろ。
これ以上お前が、かかわらなくてもいいんじゃね?

真依子>何言ってんの・・蓮らしくないよ。

蓮>・・・オレ、知ってんだぜ。
お前が背負ってる心の傷の事もな。
ブクロでの伝説の赤いイナズマ(吾妻美沙斗のこと)との一戦でお前がどれほど傷ついたか。
あんな、お前をもう見たくねーから・・・
(蓮は全て知っていた。
あのレッドサンダークラッシュ吾妻との事を。
ふだんは真依子の事をからかってばかりいた蓮だが誰よりも真依子が負った心の傷を理解し心配してくれてたんだと真依子は思った。)

真依子>蓮・・・・
(唇をかみ締める真依子。
だが真依子は)
心配ばかりかけてゴメン・・でも、やっぱり行かなくっちゃ。
(真依子はエレベーターに向かい下に降りるスイッチを押した。)

蓮>ちぇっ・・わかんねー女だな!!(小声で)
(蓮は椅子から立ち上がるとつかつかと真依子が待つエレベーターの前まで歩いていく。)

チン!!
(エレベーターの扉が開いた。
エレベーターの中に入ろうとする真依子の手首を蓮が握る。)

真依子>えっ?!!
(瞬時に振り返る真依子を蓮はぎゅっと抱きしめた。
まるで真依子は金縛りにでもあったかの様に棒立ち状態となる。
エレベーターのドアは閉まり、そのまま下に降りていった。)
蓮?・・・

蓮>(真依子を抱きながら)
真依、行くな・・行くなよ。
もうギャルだとか撫子組とかどーでもいいじゃん。
・・・お前にはオレがいるんだから。

真依子>(蓮のセリフに思わず真依子も蓮を抱きしめたくなる衝動にかられるが)

チン!!
(エレベーターのドアの扉が開く。)

真依子>・・・

蓮>・・・・・
(抱き合ったまま見つめ合う二人。)

真依子>(真依子は蓮にキスするとそっと蓮の腕をほどき一人エレベーターから降りていった。)

蓮>真依・・・・

真依子>(病院から外に出ると冷たい風が真依子に吹き付ける。
真依子は小走りに撫子組総本部へと向かったのである。)



第166話 黒塗り高級セダン車のクラッシュ  羅刹 第二部


(念願のボイスレコーダーを奪回した赤松は、すこぶるご機嫌だ。
黒塗りの高級セダン車で首都高に入り池袋方面に向かっていた。)

如月>やりましたね。
これで奴らが一連の隠蔽工作を暴く手段はなくなりました。
(車のハンドルを握る如月はミラー越しに後部座席に座る赤松を見やる。)

赤松>あとは竜崎理事長を解任するだけね。
もうじき渋一の全権はこの赤松幸恵が全て握ることになるわ。
(マッサージ機能付き後方席でくつろぐ赤松。
如月の問いにご満悦の表情を見せる。)

如月>おめでとうございます。
・・・それにしても華月からの連絡が遅いですね。

赤松>華月は目黒衆の中でもトップクラスのくのいち。
いざとなれば、あんなハナタレども・・・倉庫ごと吹っ飛ばす事も可能。
敗れるわけがない。
(と、言いながらも赤松に一抹の不安がよぎる。
あの伝説のレッドサンダークラッシュを倒した真依子だ。
目黒衆といえども、あなどれない。
しかしそれも自分が渋一の実権を握るまでのこと。
赤松がもし実権を握れば根こそぎ学園から追放してしまえば良いのだから。

赤松は携帯を取り出すと渋一理事会の有力役員達に次々に電話を入れて行く。)

あ・・先生、ご無沙汰しております。
赤松でございます。
・・・はい・・はい・・
明日、緊急の役員会議を開こうと思いまして・・・
実は竜崎理事長にまつわる重大なスキャンダルが発覚いたしましてね。
(有力役員に竜崎理事長の4年前のマンバ通り魔殺人事件に関する隠蔽を得意げに暴露する赤松。)
・・・事は重大です。
渋谷第一学園の存続にも関わる重要案件となりますので
誠に急で恐縮なのですがご出席頂けますでしょうか?
内容が内容だけに竜崎理事長宅で役員会を行ないたいと存じます。
えぇ・・えぇ・・了解致しました。
どうか宜しくお願い致します。
(もはや渋一理事会は赤松の思うがままだ。
電話を切ると嬉しくてたまらないのか?
急に大声で笑い始める。)
ふふふ・・・ふはははははははははははは!!!!!!

如月>(有頂天になる赤松をミラー越しに見つめながら微笑む如月。
だが次の瞬間、如月が大声をあげる。)
危ない!!
(急ハンドルをきる如月。)

赤松>えっ?

如月>ど・・どういう事?
(赤松を乗せた車をタイヤが物凄い勢いで追い抜いていったのだ。)

赤松>ふん・・整備不良の車のタイヤが走行中に外れたようね。
・・・ったく。

如月>困ったものですね・・・
(如月は危険回避の為、車線変更をしたのだがその直後、
車が斜めに傾いた。)

赤松>な・・何っ?!!

如月>!!!!
(その時、如月は初めて気がついた。
タイヤが外れたのは自分らが乗っている車だったのだという事を。)

赤松>ちょっと・・何やって・・・!!
きゃあああああああああああ!!!!

キキィィィィィ!!!!・・・ドガッシャーーン!!!!
(赤松を乗せた黒塗りの高級セダン車はガードレールに突っ込み見るも無残に大破したのである。


蓮は倉庫前に止まっていたこの車をジャッキアップ、片方の前輪を緩めていたのである。
蓮が語った「今頃とんでもねー事になってんじゃね。」とは正にこの事であった。)





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