第82話 砕拳の秘密 4  羅刹


蘭>はぁ・・はぁ・・分かってもらえたかしら?
ガードなんか無意味って事がそのバットで証明できたでしょ?

虹村>先輩も葉山って奴もこれで30%だからな。
まったく恐ろしい技だぜ・・・
(タバコに火をつけてあきれながら粉々になったバットを見つめる。)

貴子>かわすしか手がないようね・・・

蘭>今のまこちゃんがどれくらいの腕かわからないけど、この技の達人は絶対に外さないわ。
確実に当ててくる。
もしくは確実に当てる状況を作る。

真依子>それじゃ・・・それじゃ弱点なんかないじゃんか!!
(真依子がムキになって言う。)

蘭>真依ちゃん、落ち着いて・・はぁ・・はぁ・・
(まだ少し息が荒い蘭。
心配した虹村の部下が水を差し出した。)
ゴクゴク・・・
ふぅ・・弱点というか欠点は今のあたしを見れば分かるでしょ?
これはかなり体力が必要なの。
技を引き出す時も、放つ時もそして当たる当たらない
関係なくかなり体力を削られるのよ。
だからこの技の対処はいくつかの状況にわけられる。
まず一つ目・・・
なるべくこの技を出させないこと。
精神を集中させる状況を作らせないことね。
もし出されてしまったら結論から言ってかわすくらいしかないんだけど、もしもかわせたら、それはチャンスだと思った方がいいわね。
この技は一撃必殺の拳。
この技を外した者は、自滅あるのみなの。

貴子>わかりました。 蘭さん色々ありがとうごさいました。

虹村>いいかあの葉山って奴は要注意だ。 気をつけろよ。

貴子>わかったわ。 ケイもありがとね。
真依、これでなんとか・・・
(真依子の方を向くと、いまだ真依子は砕けたバットを見つめていた。)
真依・・・?

真依子>いつか真紀さんが言ってた言葉・・・
(真紀>カーディスなんて撫子組に比べれば赤子同然なんだよ。)
カーディスなんて赤子同然・・・
カーディスなんて赤子同然・・・
撫子組・・・撫子組・・・撫子組・・・

貴子>ちょっと・・真依? どうしちゃったの?
(貴子の心配を他所に真依子は『撫子組』と何度もつぶやいていた。)

第81話 砕拳の秘密 3  羅刹


虹村の部下>こんなもんでいいっすかね?
(虹村の部下達が金属バットを何本も立てにしてグルグル縄で縛っていく。
バットは10本近くある。)

虹村>よし、いいだろう。 離れてろ。

虹村の部下>はい。
(縛り終えると手ごろな壁に、立て掛けてその場から離れる。)

虹村>じゃ〜先輩・・よろしく・・・
(そう言って虹村もその場から離れた。)

蘭>わかったわ・・・
(蘭は足を小さく開き目を閉じる。
そしてゆっくりと深呼吸をはじめた。)

真依子>金属バット10本束にまいて・・あんなの真紀さんでも3本くらいが限界だよ・・・

貴子>しぃっ・・・
(貴子はじっと蘭を見つめている。蘭の深呼吸は、まだ続ている。)

蘭>スーハー・・スーハー・・
(深呼吸し始めると同時に右の拳が光輝きはじめる。)

貴子>真衣、あれ!! 蘭さんの右の拳見て!!

真依子>うそぉ〜? ひっ光ってる!!

蘭>ケイ(虹村の事)彼女は30%って言ってたのよね?

虹村>ええ・・・そう言ってましたね。

蘭>じゃあ私も30でいくわ。
(深呼吸が終わると、目をゆっくり開きバットを睨み付ける。)

虹村>オマエら、よ〜く見とくんだぞ・・・

たかまい>ゴクリ・・・

蘭>砕拳・・!!
(一歩前に足を踏み出し束になったバットに向かって拳を突き出す。
蘭の拳は、まさに光の矢の如くバットに向かい突き刺さっていった。)

貴子>はっ早い!!!!

ドゴォォォォォォォォォォォォ!!!!
メキキキ・・・ピシャャャャャャャ・・・・!!!!
(鈍い音がしたと思うと今度は金属がひしゃげる音がする。
やがてその音はぴたりと止まる。)

虹村>おい・・もっと近くで見てみろよ。

(たかまいはバットが束になってる場所まで行ってみると・・・)
真依子>・・・なっ・・何これ・・・?!!

貴子>これが・・バット??
(そこで二人が見たもの・・・
それは、まさに砕拳の恐ろしさを目の当りにした光景であった。
バットは全て原型をとどめていなかった。
手前に縛られていたと思われるバットは粉々になっていたのだ。
金属なだけに砂金に近い状態。
後ろの方も包丁でぶつ切りにしたかの様な形しか残っていない。)

(呆然とバットの残骸を見つめる、たかまいであった。)

第80話 砕拳の秘密 2  羅刹


真依子>えっ??? 道場? 後輩って?・・・

貴子>蘭さんって何かやってたんですか?

蘭>うっうん・・高校までだけどね。
空手道場に通ってたのよ。
(照れながらコーヒーを飲む蘭。)

虹村>こー見えても先輩は、かなり腕っ節が立つんだぜ?
昔な、黒人の男を一撃でぶっ飛ばした事もあるからな。

たかまい>!Σ( ̄口 ̄;;

蘭>ちょっと虹村ったら!!
昔の事ひっぱりださないでよ・・・
(恥ずかしさで顔を真っ赤にして怒る蘭。)

貴子>まあまあ蘭さん・・話、続けてくれませんか?

蘭>あっごめんなさい。
私が高校の頃・・そうね〜そろそろ道場を通うのやめる頃から結構道場内で注目されてた子でね。
よく私に色々聞いてきたりして・・すごく稽古熱心だったのが印象に残ってる。

貴子>その頃から結構強かったんですか?
その葉山って子。

蘭>ん〜飛びぬける程でもなかったんだけど・・・

虹村>でも奴は・・・(コーヒーを1口すする虹村。)
カチャ・・(ゆっくり受け皿にカップを下ろすと)
使いやがった・・・
あれを・・あの技を・・・(歯をギリっとさせる。)

真依子>あの技って?

蘭>砕拳ね。

たかまい>砕拳?

蘭>私が通ってた「滅空光冥拳空手」の最大奥義って呼ばれていた技よ。

真依子>最大奥義・・・

真依子>その・・めっくう空手?ってどういう空手の流派なの?

蘭>滅空光冥拳空手は、拳重視の空手で、足技は基礎だけ学ぶ程度なの。
その代わり手技には、かなり力入れている流派でね。
それでも手刀や肘などほとんど使わないの。
完全に拳だけね。
(蘭がグーのポーズを取る。)
拳重視と言う事もあって、この空手の使い手が放つ拳は、まさに一撃必殺。
食らったらひとたまりもないわ・・・

真依子>なんかさぁ〜ボクシングに近いね。

貴子>それで、蘭さんが言ってたその砕拳って・・・

蘭>砕拳は、その拳を極限まで高めた技ね。
頭のてっぺんから足の指の先まで体中に流れる気を拳に集めるの。
そして一気に放つ!!

真依子>ようするに力溜めたパンチって事でしょ?
ちょっと痛いけどガードしちゃって反撃すればいいんじゃないの?

蘭>真依ちゃん、はっきり言っておくけど砕拳にガードは通用しないわ。
ガードしても骨が砕けて肉が裂けるだけ。

真依子>うっそだぁ〜

蘭>さっきも言ったけど、砕拳は体中に流れる気をいっぺんに拳に集めて放出する技なの。
神経を統一しなければならないから、すぐ出せる技ではないのよ。
熟練者でも一分はかかる。
そこまでして軽がるガードさせられるくらいなら奥義なんて呼ばないわ。
砕拳は、ただ力を込めたパンチではないの。

真依子>うーん・・よくわかんないや。
でも〜実際見たことないから実感わかないなぁ〜・・・ねぇ貴?

貴子>蘭さんに失礼だよ真依!

虹村>論より証拠。蘭先輩、少し実演してあげては?

蘭>・・・そうね。
この後、仕事があるから気は進まないけど・・話だけではピンとこないかもね。

真依子>えっ!? 蘭ねーさんも出来るの?

虹村>出来なかったらこんな事、言わね〜よ。
じゃ〜外出るぞ・・・
(四人は店を出て裏の公園に向かった。)


第79話 砕拳の秘密 1  羅刹


(虹村と会ったその日の夕方、真依子と貴子の二人は、さっそく池袋に向かった。)

真依子>とりあえず来たけどさ〜こっからどうすんだろ?

貴子>その辺の人に聞けばわかるって言ってたけど・・・

真依子>しょうがない聞いてみるか・・ねぇちょっと〜
(真依子は近くで雑談している少女に声をかけた。)

少女A>あ〜何っ?

真依子>虹村って今どこにいる?

少女B>ってか、あんた誰?

真依子>アタシ橋野真依子って言うんだけど・・虹村に会いたいんだ。

貴子>その辺の人に聞けば、教えてくれるって・・・

少女A>あーあんたらか・・渋一のたかまいって。

少女B>ハイハイ^^
ヘッドから聞いてるよ〜ヘッドなら、ほらそこさ(指をさすB。)
喫茶店トトールにいるよ。^^

貴子>ありがとう。
(貴子は二人にお礼を言って、真依子と共に喫茶店に向かった。
喫茶店に入ると、虹村が待っていた。)

虹村>おうオマエら・・こっちだ・・・(手招きする虹村。)

真依子>来たよ〜虹村〜^^
さっそくだけど、なんで撫子組の事なんか知ってんの?

虹村>まあ待て・・・
実は、もう一人ゲストが来るんだ。
その人が来ないと話のツジツマが合わなくてな。

貴子>真衣、ミルクティーでいい?
(貴子が飲み物を運び真依子の隣に座る。)

真依子>ありがと貴^^
で、もう一人ゲストが来るんだって。
話はそれからだとさ〜・・・

貴子>ゲストって誰?

虹村>オマエらがよく知ってる人物さ・・・
(タバコに火をつける虹村。)
おっ噂をすればなんとやらだ・・・来たぜ。

たかまい>えっ? あっ・・蘭さん!!

(蘭はにっこり微笑むと飲み物を注文し、虹村の横に座る。)
蘭>ごめんね。 仕込みが中々終わらなくて。
お二人とも・・お久しぶり^^

貴子>もう一人って蘭さんの事だったんだ^^

真依子>久しぶり〜蘭ねーさん^^

虹村>忙しいところ申し訳ないですね。
じゃあそろったし始めるとするか・・・
(そう言うとタバコの火を揉消す虹村。)
実は昨日、撫子組って連中がこっち(池袋)に来てな・・・

たかまい>えっ?!!

虹村>ウチらの仲間に妙な因縁つけて襲い掛かってきやがった。

真依子>なんで撫子組が池袋に・・まあ池袋にもギャルはいるけど・・・

貴子>領土でも拡大したかったのかなぁ?

虹村>それはなんとも言えないな。
私も撫子組っていう組織に関しては全然無知だしな。
つーか、一体、奴らの目的はなんだ?

貴子>それが私達もよくわからないんです。
最近知った集団だから・・・
真紀さんは昔、関わった事あるみたいだから知ってるみたいなんですけど・・・

真依子>あんまり語ろうとしないんだよね。
しつこく聞くと怒られちゃうし・・・

虹村>なるほどな。
大西は奴らと浅からぬ因縁みたいなのがあるようだな・・・
でっ、当の大西はどうしてる?

真依子>撫子組の幹部みたいな奴とやりあって肋骨やっちゃったんだよ。
だいぶ良くはなってるみたいなんだけど・・・

虹村>どうやら幹部っていうのは他に何人かいるらしいな。

貴子>そうなんですか?

虹村>ああ。
あいつらの中では組長とか呼ばれてたな。
小隊作ってて動いてるみたいだった。

真依子>完璧な組織化してるのかなぁ?
(真依子が腕組をする。)

虹村>ウチらを襲った部隊も、やはりリーダーらしき奴がいてな。
見た目はチューボーみたいな奴だったんだが・・・
こいつがちょっとな・・・

真依子>こいつがちょっとなって・・・?
あんたの事だから軽く、ぶっとばしちゃったんじゃないのぉ^^
(真依子が軽く茶化すと虹村は下向きになりタバコに火をつける。
そしてここで蘭がはじめて口を開いた。)

蘭>その子・・葉山まこちゃんっていうんだけど、私が通ってた道場の後輩なのよ・・・
(初めて語られる衝撃の真実。
葉山は蘭の後輩である事が明かされたのである。)

第78話 真夜中の喫煙室  羅刹


胡蝶>人形は愛情を注げば注ぐほど、その内に魂は宿り、主人の命に忠実になっていくものなのです。
ふふふ・・・
ねぇ・・・お静ちゃん・・・


(ここは花梨が入院している病院、夜10時には消灯となるのだが、今まで夜遊びの、し過ぎで体内時計が狂ってしまっている花梨にとっては、とても眠くなる時間ではなかった。
ベットから立ち上がり部屋を出ると下の階にある喫煙所へと向かう花梨。
いつしか、ここでタバコをふかしながら携帯から仲間にメールするのが日課になっていた。
病院の消灯時間だけに大声で喋る訳にもいかない。
メールが最も有効な手段なのだ。
メール内容にほくそ笑む花梨、ついつい3時間を過ぎてしまう事もざらだ。)

看護師>あら浜崎さん、まだ起きてるの?
もう1時過ぎてますよ。
それに未成年がタバコなんて・・・体によくないでしょ。
(見回りの看護師に見つかり注意を受ける花梨。)

花梨>はぁ〜〜い・・・
(気のない返事をして立ち上がるとタバコを消し病室へと向かう。)

看護師>・・・まったく。
(看護師も呆れ顔だが花梨が入院以来、マンバメイクも辞め、真面目にリハビリに専念する姿を知っているだけに大抵の事は多めにみている様だ。)

花梨>・・・・
(エレベーターがあがって来た所で花梨の携帯にまたしてもメール着信が入る。)
って、誰だよ?・・・
(名前は無く非通知だ。
迷惑メールか?と思いつつメールを開く花梨。)

『静っていいます。メル友になってもらえませんか?』

花梨>・・・・
(花梨は何も考えず
『いいよ 』とだけ返した。
気がつくとエレベーターのドアは閉まり上の階に行ってしまっていた。)

(これが病院での恐怖の始まりになろうとは予想だにしない花梨であった。)

第77話 白戸の不満  羅刹


筆頭観察方緒方>この映像をご覧下さい。
今や渋谷の不埒者は新生撫子組の粛清により壊滅状態・・・
我々、撫子組に多少の犠牲は出たものの、もはや勝利は目前。
(ここは撫子組本部、20人ほど入れる会議場スペース。
縦長に並べられた机があり後方中央に総長香住が座り、右から観盾、那須、空席、
左側にみゆき、白戸、胡蝶が座っている。
渋谷センター街を映し出した映像を見ながらギャル達の現在の状況を意気盛んに語る緒方。
B系に続き虎の死によりマンバ勢も黙らせただけにその鼻息は荒い。
総長香住も目を瞑ったまま緒方の話を聞いていたが、ここで違を唱える者が現れた。)

白戸>多少の犠牲?
(日頃、組長会議では、あまり発言しない白戸が眉間にシワをよせ緒方に噛み付いた。)

緒方>白戸さん、何か?

白戸>その言葉、聞き捨てに出来ないわ!!
六寺さん、南さんは重症だと言うのに『多少の犠牲』は、ないだろう?

胡蝶>白戸さんのおっしゃる通りですわ。
うちのお静ちゃんも手痛い傷を被いましたし・・・

観盾>まあ待て・・・白戸や胡蝶の言う事にも一理ある。
が、しかし緒方が言うように我々の粛清によって渋谷から不埒が激減した事もまた事実だ。

みゆき>フ・・・甘いな〜
だからオマエらは甘いって言われるんだよ。

観盾>何んだと?
(ギロリと正面に座るみゆきを睨みつける観盾。)

みゆき>(観盾からの視線をそらさず、しっかりと見据えながら)
仲間内の虎が死んだんだぜ?
このまま、あの真紀が黙ってると思うか?

緒方>今日、私が言いたかったのはその事なのです。
大西は南さんとの闘いで手痛い傷を負っているはず、大西にとどめを刺すことによって私達の宿願は果たせると言う事です。

那須>はいはい。打倒大西真紀ね〜
ところで、六さん、南さんはあの体なので欠席は仕方ないとして・・・
葉山が、おらんちゅーのは、どないしたんですかね? 総長さん?

香住>・・・・

緒方>葉山さんは昨日より体調が悪く欠席との連絡が入っています。

那須>ほ〜う・・・・
(呆れた様に頬杖をつきながら、あさっての方向を向く。
那須は葉山が何をしていたのか察しがついている様だ。)

白戸&胡蝶>・・・・
(ムッとした表情で立ち上がる白戸、無表情の胡蝶がそれに続く。
二人は、そのまま出口へと向かった。)

緒方>お二方、どちらへ?

白戸>どちらへだと?・・・
六さんの見舞いに決まってるだろ!!

緒方>・・・
(頬をピクピクさせながら二人が出て行ったドアを睨みつける緒方筆頭観察方。)

みゆき>・・・・
『どうやら新生撫子組も一枚岩では無くなって来たようだな・・・』

(不穏な空気が流れ出す撫子組本部・・・果たして・・・)





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