私は歳をとりました。
このブログでは何度か似たようなことを書いた気がします。
でも、【メグル・マジルカ】を書きながら、またその思いを新たに感じています。
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2001年の8月に今はなき「大人のための催眠術」さんに初めて投稿した「秘密の箱」が私のオンライン・エロ作家デビューです。
すでに2000年の夏頃には、「大人のための催眠術」さんに掲載された作品を多数読んでいて、ローカルでアレコレ書き始めていました。
それをきちっと形にして投稿したのが、2001年の夏のことです。
あの時点で「秘密の箱」は、すでに成人して随分たった私の中に残る「思春期の残滓」のような物語でした。
かつて自分がワカモノだった時に、体験したこと。体験したかったこと。
考えていたこと。間違っていたこと。興奮したこと。惜しかったこと。
後から考えたら、残念で仕方ないこと。
そんな記憶と欲求不満と、その当時感じていた、あるいは思春期の頃に感じていた熱とユーウツ。
──それらをゴタマゼにして「秘密の箱」は生まれました。
それから、さらに月日は流れました。
にも関わらず私はほとんど成長と呼べるほどの進歩も、年齢相応の落ち着きを得ることもなく、ただ悪戯に歳を重ねてきました。
しかし逆に、ようやくこの歳になって、少しだけ距離を置きながら、未だに自分の中に残る、もうひとつの「思春期の残滓」と向き合うことができるようになった気がしています。
確かに「秘密の箱」は、私にとって「思春期」そのものを描いた作品です。
とはいえ、狩谷伸明も菊地絵梨も、十分初々しさを残しながらも、すでに別の相手と性体験を終えた二人です。
それがどれほどの意味を持つかといえば、実際にはそんなに大きな問題ではありません。
ただ、「秘密の箱」を書き始めた時の私は、どうしてもそのように設定しなければ、あのキャラを動かすことが難しいと感じたのです。
一方、【メグル・マジルカ】は、どちらも同じ高校一年生。
そして、巽智也と卯月美晴は、二人とも異性とつきあったことのない二人です。
彼と彼女は生まれて初めて異性と触れ、強く「性」を意識することになります。
もしかすると私は、この歳になってようやく、この童貞と処女の組み合わせを書くことができるようになったんじゃないだろうか。
──そんな気がしてなりません。
もちろん「ホンジョロイド」シリーズも同年代の男女カップルが主人公ですが、あれは「Hの時だけデレデレになる女の子」というお題に沿って書かれた、シチュエーションもの。
一方、【メグル・マジルカ】は、(様々なアイデアはメモしてあったものの)筆が勝手に滑るように、あれよあれよという間にキャラの動きが物語を作っていくタイプの話です。
「秘密の箱」とはまったく内容の違う、しかし私にとっては同質の熱と動きを持った作品です。
私はかつて、思春期を経験しました。
【メグル・マジルカ】は、その思春期だった頃の「過去の自分」にアクセスしながら書かれています。(もちろん「秘密の箱」も)
過去の自分やその時の気持ちを、多少俯瞰で見ながら、もちろんフィクションとして、巽智也と卯月美晴に反映させることができるようになった気がします。
いかんせん、私はこれだけ歳を重ねながら、オンライン【エロ】作家なので、作られるお話もエロ抜きにはできません。
──というより、エロ抜きのお話が下りてこないのです(爆)
というわけで、ノクターンノベルズに掲載するのが一番手っ取り早く、また適しているのですが、だからといって、陵辱モノや「MCでいきなりいいなり」を書くエネルギーも最早ありません。
そういった意味では、私の作品の中では「SDL:ヘブンズチェンバー」が一番テンプレというか、かつて読んだエロ小説に最も準拠した作品ではないかと思います。
ああ、そうです。
「バッド・トランス」も最後まで構想はあるし、「ニューロ・フューザー」だってラストシーンは決まってるのに、どうしてもそこへたどり着けません。
「あぶどる温泉」や「カイカンのキョウセイ」は、完結まで見越した上で書いたので、完結させることができました。
本当のことをいえば、秘密の箱・番外編の「インディペンデント・ロリータ」も2話目のプロットがあるし、あれは一話完結なのだから、さくっと書いてしまえば「秘密の箱」本編へのいい刺激になるかもしれません。
でも──。
今はただひたすらに、【メグル・マジルカ】を書いていたい。
少なくとも、巽智也と卯月美晴の物語を、ある程度ハッキリした場所まで運びたい。
予断は許しませんし、確固としたお約束も一切できませんが、少なくとも今はそう思っています。
【メグル・マジルカ】──幽体離脱がひどいけど、僕は彼女に会いに行く。
https://novel18.syosetu.com/n8202ex/
毎朝連続更新、いよいよ3週目に突入です。
お楽しみ頂ければ幸い。

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