2014年の初頭、掲示板にG.Wさんが書き込みをされた投稿で「大人のための催眠術」さんが消滅したことを知った。
それ以前からEGO[イーゴ] は、度重なるサーバのトラブルでアクセスできたりできなかったりが続き、いつしか繋がらないのがアタリマエとなっていた。
やがてFTPも接続不可、そしてとうとう昨年末には、大元のサーバのドメイン自体が繋がらなくなった。
今では使用されていないドメインとしてドメインパーキングの管理対象になってしまっている。
もちろん、実験や自己実現、その他さまざまな意図があったとしても、広告の入らないWEBスペースを無料で貸してもらっている以上、そこには私の大好きな「オンライン上の(眼に見えない)ゆるいコミュニティ」あるいは、ちょっとした親切や協力心があり、そうやってサービスが成り立っている。
ちょっとした「無償の提供」は、実体の伴わない「ヒプノ経済」に対抗する、ひとつの声明でもある、と思う。
しかし同時に、個人の力は小さい。
「いつまでも、あると思うなWEBサイト」
「いつまでも、あると思うな個人鯖」
掲示板にも書いたけれど、紙メディア(本など)は徐々に劣化しいずれ朽ちる。
ただし、ある日いきなり壊滅するケースは稀だ。(火事や天災であれば当然PCも同じ被害を受ける)
多少劣化しても、そうそう読めなくならない。
だが、電子媒体のテキストは、ある日突然なくなることもある。
それはオンライン、オフラインともにいえることで、だからこそローカルでもバックアップをとろう、という話になるわけだし、クラウド・コンピューティングは、サーバーサイドのバックアップが前提となる。
「大人のための催眠術」さんがなくなり、EGO[イーゴ] が借りていたサーバも消え、
特に個人管理のサーバやサイトのデータは、情報保管に関して意外と脆弱であると感じざるを得なかった。
もちろん、ここ数年、私は新作を発表していないし、未完のものもホッタラカシだ。
でも、だからといって、そのまま消してしまいたいわけではない。
もちろん自分の書いたものは、ローカルに保管してある。
WEBサイト用のHTMLをブラウザで開けば、デザイン丸ごとそのままに読むこともできる。
しかし、「作品が公開されている」のとそうでないのとでは、確かに大きな違いがある。
すでに13年前に書かれた若くて稚拙な物語であっても、私にとって今につながる『何か』ではあるし、
誰かがそれを新たに読んでくれる可能性は、常に残して置きたかった。
思えば、2001年の夏、私がはじめてオンライン上に自分の書いた物語を公開することができたのも、「大人のための催眠術」さんがあったればこそだ。
そこには確かに、猥雑かつ一部の趣向の持ち主たちによるエロ催眠の情報が集まっていた。
「男性支配」(男性が女性を支配する)に特化したエロ催眠小説の宝庫でもあった。
すぐれた書き手が多数集まり、エロ催眠小説のメッカと呼んでいい場所だった。
私は貪るようにそれらの作品を読み、大いにインスパイアされ、そして「秘密の箱」を投稿することになる。
「秘密の箱」を書き始めた時、私は大きく二つのモチーフを強く意識していた。そのことは今でもはっきりと覚えている。
ひとつは、エロありの恋愛小説にすること。
まだ当時は好きな相手にドキドキしながら催眠をかける、という話は少なかったと思う。催眠による支配をテーマにしながらも陵辱モノではなく、高校生の恋愛ものなら、まだ誰にも書かれていない催眠エロが自分にも書けると思った。
もうひとつは演技について。
当時、特に催眠AV(アダルトビデオ)で、「あれは演技か本物の催眠か」というのが問題になっていた。
というより、「大人のための催眠術」においては、女優さんがたとえどれだけいやらしく乱れようと、催眠術がニセモノ(かかったフリ)だったら評価されないという風潮があった。……私もまったく同意見だった(笑)
まして、マンガやゲームで時々あった「実は催眠にかかったフリをしていた」というオチは最低だと、そう熱く語られていた。……私もまったく同意見だった(爆)
それを逆手にとって、「演技だと思ってたら、実はかかってました」「演技しているうちに、ホントにかかるようになっちゃいました」というのを、どうしてもやりたかった。
これは演劇部という設定にぴたりとはまり、ギミックとしても悪くなかったと今でも思う。
──残念ながら、あの時の熱は今の私にはない。
しかし、未完のまま放置された第二部は、8割ほど書かれた新章をテキストファイルで保存し
「いつか書かなきゃ」と、常にワンクリックで開けるようにしてある。
時代は13年前と大きく変った。4年前とも大きく違う。いや、1年前と比べたって変わっている。
特にインフォメーション・テクノロジーの進化は激しく、サイトにも無理やりな設定を組み込んでいる通り、
「あーもー、スマホ対応、メンドくせえ」って思いつつ、私だってiPhoneでWEB小説を読んだりするくらいだ。
こじんまりと自分のサイトをHTML3.2くらいの記述で公開している時代は、まだまだ家内制手工業的なのが普通だった気がする。
今は、すでにあるサービスをうまく利用したり、組み込んだりしながら、多方向に展開することが望まれるし、
その方が簡単だったりする。
そんなわけで私も、「小説家になろう」の直属R-18サイトである「ノクターンノベルズ」さん(
http://noc.syosetu.com/)に「秘密の箱」の再投稿を開始した。(
http://novel18.syosetu.com/n9641cg/)
現在、1-3まで修正・投稿完了(20140908現在)
「ノクターンノベルズ」さんを選んだのは、確かに他サイトへの掲載が許可されていることも決めてのひとつだった。
だがそれ以上に、親サイト「小説家になろう」も含め、多数の様々な才能の書き手が魅力的な作品を発表していること、それに触発される形で「私もまた書きたい」と思ったのが大きなモチベーションとなっている。
「やるやる詐欺」の常習犯である私が、たまたま「やる気」を見せた程度に思って頂ければ幸い。
ちなみに、専用Twitterアカウントまで作っちまいましたぜ。
@NOV_FALL(
https://twitter.com/NOV_FALL)
「いつ、どこで、どんだけ情報発信するつもりだよ!」というツッコミ大歓迎w
今日はローカルにあるヒミハコ2-13を読み返しながら、12KBくらい書いたよ。

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