やあ、みんな!
ちょいとばかり文体がおかしいなって思うかもしれないけど、
カンベンしてくれよな。
だって、もうみんな、いい加減原発飽きてきただろう?
毎日毎日、あそこがうまくいってないだの、ここから何かが漏れてるだの、
ベクレルとかシーベルトとかベントとかピットとか、
よくわからない言葉のオンパレードで、
同じ顔触れが同じ場所に座って、いつもすまなそうに会見している姿、
いい加減、見飽きたよね?
──なのに、今度は基準値の100倍の汚水を、1万1千500tほど海に放出、だってさ。
理由は、その1万1千500tを海に捨てることで空いたスペースに、さらに高濃度の放射性排水を溜めるため、だって。
そうしないと、安定化させる作業ができない、っつー話。
確かに、海洋汚染は進むけれど、今すぐできるよい手だてが他になかった……。
最初から似たようなことのオンパレードなんだよね。
格納容器は高レベルの放射性物質を閉じこめるための最後の砦、だからそれを守るために、汚染はされているがまだ汚染量の少ない蒸気を外へ逃がした。
最初の頃は、ベントなんて専門用語使うもんだから、わからなかったけど、
そうやって、「最悪の事態」を防ぐために「それよりはマシだけど、本来あってはならないこと」が立て続いてきた。
そうやって、今でも、福島では不眠不休の作業が続いている。
でも、みんな、なんか不思議じゃないか?
関東の人でも、このブログ、ちゃんと表示されてるだろう?
電気が来ているってことだよね?
携帯やスマートフォンで充電している人も、何とかなってるってことだよね?
ちなみに、稼働中だった福島1号〜3号だけでなく、止まっている原発はいくつもある。
火力発電も軒並みダウンしているって話だから、本当だったら真っ暗で、電気使えなくたって当たり前。
にもかかわらず私は東京でパソコン、カチャカチャいぢってる。
多分これは、みんなの節電のおかげだ。
──ありがとう、みんな。
確かに今は、特に首都圏では「節電」してるし、季節はわりと需要の少ない時期。それに工場とかの生産ラインも結構まだまだ震災被害で停止している。
さらには無理に60Hzをいったん平坦化し、それを50Hzに直して送電するという、相当激しいロスを生みながらも別の電力が供給されて、なんとか首都圏の計画停電は、中止になること多いけど、……それでも、節電のせいで商売あがったり、なんて人もいるよね。
「夏になったら、大変だ」って、今から心配している人もいるし。
──ごめん、それでも私は、電気使って、これ書くわ。
東電が、謝罪に次ぐ謝罪になってしまうのは仕方ないと思う。
だって、同じように津波をかぶった女川原発が平気だったのに、福島がこうなってしまったのは、電源系の位置を高台に設置したかどうかの差。
津波による被害に対しては、事故が起こるより随分前に注意勧告されていたらしいんだけれど、東電も、それを監督すべき原子力安全・保安院、さらにその上の原子力安全委員会は何をしてたのか、っていう話もある。
……そこまで話が伝わらなかったのかなあ。
現場では、連鎖反応的に起きてくるどれも深刻な事態におおわらわ。場当たり的な対処の連続で、人手も足りないわ、考える時間もないわ、……だと思う。
その揚げ句、記者の前で「あうあう」しながら必死に会見行ってて、現場の情報把握できてないわ、会見すればするほど確認しなけりゃならないこと増えるわ、説明できない事態は立て続けに起こるわ、その揚げ句に怒鳴られるわ、泣くわ、それでも「超絶的な最悪中の最悪」の事態を避けるために「最悪中の最悪ではあるが、それでもしないではいられないこと」をせざるをえないと、報告する。
その結果、福島の人々はもちろんのこと、原発反対派はもちろん、もしかしたら賛成派からも恨まれてるんじゃないかなあ。
ただ、確かにビッグな企業ではあるけど、東電って一企業にすぎない。
そこにほとんどの処理とその責任を押し付けてるような気がするのは私だけだろうか?
もちろん、国に対しては批判が起きてる。
ただ、自民党時代に国策としてすすめていた原子力産業の構造と命令形態をきちんと把握していなくて、適切な指示を出せなかったのが一番の敗因じゃないかと思うんだけど。……そんなことでは、政権与党として全然駄目、っていう意見なら、そりゃごもっとも、だけどね。
経団連と仲良くなったのも最近だし、なんか巧く行かなくて当たり前、って気がしてしまうんだよなあ……。
はてさて、そうはいっても東京電力って凄くでかい会社だ。
いくらこれだけの大事故起こしたからって、無くなることはないだろうと思ってた。……つい数日前までは。
でも、だんだんと心配になってきた。
国に保障を求めるのは当然だし、東電が原発推進してたのもその通りだから、恨まれたり、問題視されたりするのは当然なんだけど、
「リスク」の説明、してこなかったのは、東電だけの責任じゃない。
っていうか、逆に「安全」教育をCMだけじゃなくて、学校の授業使ってまでやってたわけだから。
もちろん、誘致した県に対しても、町に対しても、「安全です」って言い続けてきたわけじゃない?
で、事故が起きたら颯爽と米軍がやってきて、次にフランスの大統領までやってきて、支援を表明した。
そしてとうとう、GEの会長までやってきた。
日立や東芝、原燃も含め、原発で巨額の利益をあげてきた、そしてこれからもあげたいと思っているだろう原子力産業全体は、今、何を考えているんだろう?
少なくとも、発言だけ見ると、「福島の事故処理に対して、協力を惜しまない」って言ってるだけのような気がする。
運用は東電に任せていたんだから、事故の責任は全部東電が負うべき……、それが結論なのかな?
「みんなで儲けましょう」って話でまとまってた筈の、原子力産業の仲間じゃなかったの?
あたかも善意の協力者みたいな顔をしているけど、事故のリスクとその責任は、原子力を利用しようという産業全体にあるんじゃないかと思うのだけど。
これは私がうがちすぎなのかもしれない。──でも、もしかしてもしかすると、「東電」切るつもりかなーって。トカゲの尻尾切りみたいに……。
いったんこれだけの被害を出してしまった会社を、そのままにしておくわけにいかないし、だからといって、放射線汚染除去や、被曝、風評被害ふくめた農産物への保障は、基本的に国がやる、っていっても、──それ税金だけど。
東電が出来る限り金出すとして、そしたらさすがの東電だって、ヤバくない?
もしかしたら、いったん会社潰して、すぐに新会社を起ち上げるつもり、とか?
「新・東京電力は、福島第一原子力発電所の事故から多くを学び、さらに完全に安全対策を施した原子力発電所を計画中です」
そんな発表を聞く日がいつかくるんじゃないか。
火力を増やすことには私だって賛成できない。けど、だからこそ一極集中⇒大量分配法式の電力供給というシステム事態をかえなきゃ駄目だと思う。
でも、巨大産業という奴は、その下にたくさんの大中小の企業がぶらさがって、そうやって大勢が食ってる。
今の資本主義それ自体、多くの人はそういう仕組みの中で生活している。
フリーで仕事している私だってそう。
知り合いのツテや、クライアントとのつながりの中で、どこからか流れてくるお金のおこぼれを頂戴して、生きている。
一極集中じゃないと、大きな産業にはならないから、食える人数は減る。
動くお金の金額も小さくなる。
だから、旨味も少ない。
ちまちま稼いでる私だって、どっか大きな企業からでかい仕事こないかなーと、夢見てた時期、結構あったし。
でも、そういう仕組みのままだったら、やっぱり極限まで安全性を追求しながら、より巨大な産業として育てていくことが、「経済成長」を促す、という話になる気がする。
でもね。それだけじゃない。
私はもっと嫌なこと、考えてる。
福島第一原発の事故で、原発が怖いことは多くの人が知るところとなった。
だから、さっさとアメリカは支援に来た。
フランスのサルコジ大統領も、菅総理を訪ねてわざわざ日本までやってきた。
そしてGEの会長までが、全面的な協力を申し出た。
「原発は怖い」
でも、その怖い原発が日本にはいっぱいある。
止めるとしても、すぐには止まらないことは今回の事故でよくわかった。
しかも、たとえば、高レベルの放射性廃棄物として半減期2万4千年のプルトニウムが、各原発にはもちろん、六ケ所村には膨大な量、貯蔵してあるわけですよ。
それは、もう、(私には到底、管理できるなんて思えないほど)劇ヤバなものなわけですよ。
ほら、怖いでしょ?w
でも、怖いからといって、放って置くわけにもいかない。
なんとかしないといけないじゃない?
そこへ、「なんとかしますよ」という人が現れるわけです。
ちゃんと技術もあります、安全対策も優秀です。
あらゆる援助を惜しみません。
もちろん、他にも競合会社があるから、どっちがいいか選ぶことくらいは可能だろうけど、原子力産業はそこで凌ぎを削ってるわけですよ。
「怖い」ことはわかった。
でも、放射線被曝の実体は明らかになっていない。
目にも見えないし、匂いもしない。
危険だということだけが伝わっている。
「恐怖」だけが先行している。
だったら、もう、専門家に任せるしかないじゃない?
そして、その会社は最先端の技術を惜しみなく投じて、そこには当然国民の税金も含まれていて、えんえんと会社を運営していくことができる。
事故さえ起こさなければ、2万4千年たっても、危険な放射線量が半分になるだけだから、まだまだ事業は続けなければならない。
──いや、続けることができる。
原発があるかぎり、延々と高レベル放射性廃棄物は出続け、フランスはそれを再処理する技術で儲けている。
そしてたとえ原発が事故を起こしても、その後処理をするために、物凄い量の富が動く、ってことなんじゃないの?
もちろん世界的に、「原発は嫌だ」という人は増えていくだろうし、反原発、脱原発の動きも活発になるとは思う。
でも、この世界的な原子力産業というものは、もしかすると事故(の恐怖)ですら儲けに変えるような、それくらいのこと考えているんじゃないのか。
日本の原発占有率は、全電力生産量の3割弱。
いっぺんに全部を止めるのは無理でも、この原子力産業に依存した体質が変われば、少しずつ別のエネルギーで電気を賄うことはできる。
ちょうどいい季節ではあったし、夜の街は少し暗くなったけれど、福島があんなことになったって、他の原発や火力が止まっていたって、私は今、カタカタとキーボードで自分勝手な意見を打てているもの。
巨大な産業に依存しない社会、それこそが「安全」とリスク回避の、今のところの私の答。

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