先月、TSUTAYAでCDの大人借り(≠大人買い)をした。
緊縮財政の中での連れ合いへのプレゼントだったりもして、Brian Eno、Dabid Bowie、The Doors、Jamiroquai、Led Zeppelin、Van Halen……と、
たまたま彼女が音源を持っていなかったものを揃えるラインナップだった。
その中に、「空洞です」というアルバムが混じっていた。
バンド名は「ゆらゆら帝国」、──私の知らないものだ。
でも、曲を聞きながら歌詞カードを広げ、私はぶったまげた。
何だろう、これは。
何なんだろう、この率直で、しかしオリジナリティ溢れる言葉は。
私はこれをよく知っている。
知っているが、「これ」を「このように」表現することなど思いもつかなかったし、
できるとも思っていなかった。
素直で、同時に選び抜かれた言葉。
J-ROCKここにあり、といった感じのサウンド。
時にそれは、脂が乗り切っていた頃の「ムーンライダーズ」のようでもあるし、
曲によっては、爆発的なヒットを飛ばす前、一番おいしかった頃の「たま」のようでもある。
しかし同時に、やはりこれは、バブルの崩壊と一緒に昭和を捨て去った後で、実際的な齟齬を体験した21世紀のJ-ROCKなのだと思う。
やや興奮気味に連れ合いに「凄いよ、何これ? どこで知ったの?」と聞いたところ、「『愛のむきだし』で使われていたヤツ」との返答。
ああ、そうだったのか!
「愛のむきだし」は、カルトを題材にしたパンチラ映画でw
237分もあるその長さはもちろん、カルト宗教に関する描写その他、私的にはツッコミどころ満載の映画なのだが、
そういった些細な(あるいは重要な)難点を差し引いたとしても、その魅力が削がれることはない。
とにかく、とんでもない熱と重さを持った映画だったりするのだ。
多分、関係ない人には全く関係ないかもしれない、しかしどこか関係のある人には、好きとか嫌いとかに関わらず、強烈な印象を残すことは間違いない。
そのサウンドトラックを担当した「ゆらゆら帝国」。
ああ、そうだったのか。
そして実は、ウチが借りた「空洞です」を最後に、「ゆらゆら帝国」は解散していたのだった。
しかもその理由が、「空洞です」で全てをやり尽くしたから、とのこと。
ああ、そうなのです、奇跡のようなアルバムなんです。
「空洞です(by ゆらゆら帝国)」
こんな素敵な音と言葉に出会えたことに感謝。

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