「夜のうちに書いたラブレターは、朝にもう一度読み直せ」と言われる。
……ん? 言わない?
これはどうも、サイト・デザインにも言える気がする。
夜の間に、シコシコ作っていたWEBページを昼間見直すと、全然カッコよくなかったり、色合いや輝度が上手くいってなかったりすることがある。
とはいえ、色味や輝度はパソコン(ディスプレイ)によってかなり差があって、使用環境によって見た目はまったく異なる。
そもそも、微妙な色や明るさの違いにこだわるなら、一日中明るさや色合いが変化しない室内で、きっちりとキャリブレーションを行ったモニターを使用することが望ましい。
専用の装置は高額すぎて使用していないけれど、それでもモニター表示がプリントと近づくよう、私も最低限のキャリブレーションを行っている。
ただ、実は私のパソコン用モニターは、窓に面した机の上に置かれている。
東向きの部屋なので、朝などはまぶしい陽射しが一直線に目に飛び込んでくる。
モニターの後ろ側には常に遮光性の高いカーテンがひかれ、可能な限り蛍光灯も反射しない角度に調整してある。
それでも特に午前中はまったく違った色合いで表示されるし、白い服などきていた日には、ノングレアの液晶ディスプレイであるにもかかわらず白い影が映り込む。
まったく、いったい何のためのキャリブレーションかと、小一時間問い詰めたい気分だw
でも、ふと顔をあげると窓の向こうに、今なら日々緑を深めていく近くの並木が見える。
今日などは、爽やかな風も吹き込んでくる。
作業は多くの場合夜になることが多いので、実はそんなに困っていないし、ただでさえ一日中ほとんど引き篭もってパソコンの前にいるわけで、この窓を潰してしまったら、心身によくないだろうという気もする。
そもそも、ちょっと見る角度が違うだけで大幅に色味が変わってしまう液晶ディスプレイ(*1)にあわせて、身体的な快適さを手放す気には到底なれない。
それに、動作確認用に使用しているWin2000のノートでは、またかなり違った色味で表示される。別の環境で違って見える以上、少なくともWEBページの制作において、モニターのキャリブレーションはあまり意味がないように思える。(将来的には色管理の技術もさらに進むだろうから、キャリブレーションそのものが必要なくなるかもしれない)
ネットで知りあった友人のグーグラーからプレゼントされたノーパソは、WEB制作におおいに役立ってくれている。ただ、機械本体も載せているOSもかなり古いせいか、色表現においては明らかにダイナミックレンジが狭いように感じられる。
恐らく、初期状態でVistaの載っていたマシン、あるいは最新のWindows 7搭載機種なら、私のクラシックなデスクトップ環境よりも数段綺麗な表示が可能な筈だ。
ただ、どちらにしろ様々な環境で閲覧されることを前提にしなければならないWEB用のファイルで、微妙な色調整を行うことには限界がある。
現状では、Mac OS X + Mitsubishi 22inch Wide(簡易キャリブレーションあり)の表示に比べ、Windows 2000 proffesional SP4 + Toshiba Dynabook 250PX(+IE.6)での表示の方がハイキーで明るい部分が飛びがち(*2)なので、逆にそちらで問題なく表示されればそれでよしとすることにした。(メインモニターではやや濃いめだったりもするのだけれど、それで文字が読めないようではそっちの方が問題)
*1 液晶ディスプレイの角度による色味の変化
私が使っている22インチワイドのディスプレイでは、同じ姿勢で顔の位置が固定された状態で見ると、同じ色でベタ塗りされたものが上下にグラデーションして見える。慣れるまで凄く違和感があった。左右よりも上下の変化が激しく感じるのは、人間の目あるいは脳のせいなのか、それとも私が使っている安価なディスプレイのせいなのか……。
特に、中間色ではその差がはっきりと感じられるが、この「角度による差」を小さくする技術開発も行われている筈だし、そもそも現在の液晶ディスプレイがまったく別のものに切り替わる可能性もある。いつか、ホログラムが当然の時代が来たら、角度による色味の変化なんて問題にすらならないだろう。現実には、すべての自然物が見る角度によって色味も明るさも違って見えるのだから。
*2 PC環境による色味の変化
これがディスプレイによるものなのか、OSの違いからくるものなのか、はたまたブラウザによる差なのかははっきりしない。(同じマシン上であってもブラウザによる微妙な差はある)
ただ、少なくともWEB Safe Colorとよばれる216色での指定では、(差はあるものの)どちらも問題なく表示される。違いが激しいのは主にJPEG画像なので、もしかするとJPEG画像のレンダリングに差があるのではないかと思う。(後でpngで試してみることにしよう)
※以上は、メインマシンに比較しての書き方です。逆にWin2000ノートをメインとして考えると、MacOSXデスクトップ+三菱ディスプレイでは「薄い色味の筈なのに、色が濃くなりすぎる」ということです。
Mac vs Win論争をするつもりは毛頭ありません。書き方が気に入らなかった方はご容赦のほどを。
──さてさて、そんなことはどうでもいい。(だったら書くなよw)
問題は、中身だ。
もちろんEGO[イーゴ]のメインコンテンツは「ファンタジー,SF,オカルト風味の物語 with Eros.」であり、テキストこそが命である。
今回更新作業を始めたのも、まったく新作がアップされない状況を打破しようと、「お蔵出し」を決めたからだ。
ただ、更新にあたって、大掛かりなリニューアルをする最大の目的は、一からHTMLを書き直したかったからだ。
どんなに管理しやすいコードで書き直したところで、デザインに凝りたければ、どうせまた変更しなければならなくなるのは間違いない。
ただ、ちょっとした工夫も含めて、古いテーブルレイアウトを排し、完全にCSSでコントロールすることが、デザイン的なアイデアを実現する上でも必要だった。
そんなわけで、自分が納得のいくものに近づけるために、夜書いたラブレターを朝もう一度読み直す必要がある。
しかも、不特定多数に出すラブレターなので、いろんな環境でどう見えるかを確かめる必要があった。
──ああ、そうなのだ。
最早、恋心を射止めたい筈の相手の気持ちはどうでもよくなっているw
ただただ自己満足のためにラブレターを書く、……そんな心境でHTMLをいぢっているみたいだ。
文章でも、デザインでも、完璧なものを作るのは私には無理だ。
どれだけ作業を重ねても、神経の行き渡らない部分が出てくる。
アラ、というか、ここにこだわればもっと良くなることがわかっていて、そうできない部分がある。
それでも、ざっくりとした荒い作りの中で、理想と地道さの折り合いのつく一点において、自分が満足の行くものに仕上げたいと思う。
あと一頑張り。
ゴールの見えてきたマラソンは、走者が自分一人であることもあってか、淡い郷愁に似た感慨をもたらす。
多分、自分は前にもここを走ったんだな……。

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