「ぜらやなたり。」の西園寺陥落シーンが終わった。
前半部分はアッガイさんとの共同作業。
話の流れとネタのほとんどを相談して決め、その上でアッガイさんにアウトラインを書いて頂いた。それを元に肉付けしていく作業が私の担当である。そうやって一度書いたものを氏に返送し、気になるところ、未解決あるいは判断に迷うところ、私の知識が足りないために生まれる質問などにアドバイスを貰い、完成させた。
当初話しあった内容からは、カットされたシチュエーションや変更された箇所も少なくない。が、流れそのものは二人で相談した通りになっている筈である。
「二人で書く」というスタイルは初体験であり、新鮮で非常に楽しかった。私からは生まれてこない流れやアイデアを盛り込めたという喜びもあるし、「こうするとエロくない?w」と意気投合しながら作っていく作業そのものの楽しみも味わった。
そしてそれ以上に、他者との共同作業で得られた収穫は大きかった。
それはたとえば、一人で書く時には半ば無自覚に行われていた過程を、やりとりを通じて区切りのある作業として認識できた、ということだったりする。
いくつかのネタを思いつく。
そのネタを元に、おおよその流れを組み立てる。
その流れに沿って、さらにネタを出す。
書かなければならないシーンやアイデアを取捨選択しながら、流れを決定する。
アウトラインを書く。
それを元に文章を肉付けし、あるいはさらなるアイデアを盛り込んだり、不要な箇所を整理する。
そうして出来た文章を推敲し、完成させる。
ロジカルに設計図を引き、その設計図通りに物語を組み上げるタイプの書き手なら、当然のことのように行なっていることだと思う。
しかし私は、2003年くらいからようやく簡単なプロットだけは作るようになったものの、未だにいきあたりばったりに書いている。
多分その構成を決める作業は、もっぱら脳内シミュレーションを繰り返すことに頼っているのだろう。
しかし、――当然のことなのだが――文章は、書いてみて初めて気がつく問題点というものが発生する可能性がある。しっかりした設計図やプロットがあれば目で見て早めに確認できる問題点も、脳内シミュレーションだけでは気づけなかったりする。
もちろん私だって、長い話であればあるほど、書き始める前にメモは作る。しかしそれは、「まず書いてみて」から後のことだったりするw
書きたい話を、とにかく思いつくままに、書きだしてしまう。
(しかもそのほとんどが長編向きの物語だったりするものだから、HDの中は『終わらない物語』でいっぱいだ。このあたりにも、私の計画性の無さが浮き彫りになっている……)
というわけで、書いている最中にもどんどんメモやバージョン違いのファイルが出来ていく。
各テキストファイルの末尾には、その章で書くべき流れが箇条書きで、あるいは重要なシーンの会話や行動のアウトラインとして作成してある。
だがそれすら、本文とは別にどんどん書き加えられ、あるいは削除したり、次の章へ先送りするために別ファイルで保存するなど、かなりイージーな(つまり計画的でない)書き方をしている。
だが、今回共同作業をするにあたり、さすがにそういう無計画な書き方はできなかった。
今回、ほとんど最小限の推敲しか行なっていないので、文章はかなり荒い。
誤字脱字、表現の繰返しや重複その他、見直すたびに気になるところは増えていく。
しかし、話の流れそのものは、これまで以上に計画的に作成された。(当社比w)
もちろん筆が乗って、最後の最後に入れ込んだアイデアもあるし、逆に本来なら削るべきだとわかっていながら、どうしても残さずにはおられなかった箇所もある。
クオリティがどのレベルかは、読んで下さった方の判断にお任せするとして、今回の共同作業は(私にとっては)エポックメイキンな体験だった。
実は、(このことをここで書いていいのかどうか悩むところだが)お話を聞く限り、アッガイさんもまた私と似て、「思いついたら一気に書いてしまう」タイプの方であるそうだ。
いきあたりばったりの私が、不慣れながらも初めての試みに楽しくチャレンジできたのは、アッガイさんが快く共同作業に応じてくれ、作業そのものを楽しんでくれたことによるところが大きい。
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さて。
もうひとつ、別の楽しみもあった。
それは、久しぶりにたっぷりとまとまったエロシーンを描いたことだ。
ヒミハコがエロから遠ざかって幾星霜w
ローカルではいくつかエロシーンも書いたし、大人綺譚にもエロは含まれている。
だが、勢いに任せてねちねちと長いエロシーンを書いたのは、「あぶどる温泉」以来のことではないだろうか?
物語のテーマに則してではなく、その話が要求する必然でもなく、ストーリーの進行を優先するでもなく、ただエロシーンを中心に据えて描くこと。
それを私は楽しんだ。
最低限の整合性や今後への繋ぎを無視したわけではないけれど、フィクション度の高いキャラが絵空事の展開で陥落していく様を強引に描くのは、本当に楽しかった。
同じ「先輩」キャラなので、菊地絵梨とカブらないよう十分注意したつもりではある。
だが、遅々としてすすまないヒミハコの先輩陥落計画の恨みを晴らしたいというような、抑圧された欲動がどこかに働いていないとは言いきれないw
ええい、正直に告白しよう。
本来なら、いつか絵梨先輩相手に使うつもりだったアイデアも(僅かだが)組み込んだ。
もちろん、それが何なのかは、ここでは秘密だけどw
――アイデアは、出し惜しみするよりも、使える時に使った方がいい。
出るものは、どんどん出さないと、流れていかない。
いきあたりばったりの私は、ヒミハコでそのようなシーンを書く時に、もしすでに使ってしまったアイデアしかないようだったら、大いに苦しめばいいと思っている。
……とかなんとかいいながら、一部出し惜しみしたものもなくはないのだけれどw
これ以上長くなるのも問題なので、それはそれでよかったのかもしれない。
――と、言い訳しておこう。
本来なら組み込む予定だった物語進行上必要なシーンも、思い切ってカットした。
それは、エロシーンを長く楽しみたい自分自身の欲望に忠実に従ったためだ。
おかげで 「ぜらやなたり。」は未だに序盤だし、この先何KB書けば終わるのかもわからないがw
なによりこの話は、書いていて面白い。しかも気楽だ。
荒唐無稽なエロシーンを書く喜びがある。
肩肘張ったテーマがあるわけでもなく、気負いもない。
楽しみながら、だらだらと続けていきたいw

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