オフ会で久しぶりに、おくとぱすさんと会いました。
おくとぱすさんはフリーとして活躍するゲームシナリオライターなわけですが、もともと「大人のための催眠術」さんをはじめ様々なサイトで多数の催眠エロ小説を公開されている大先輩でもあります。お会いする度に、物語を書くことに関する情熱を強く感じ、驚嘆させられます。(あ、もちろん『催眠』に対する情熱もね♪)
そんな方から、今回はNOV.FALL(及びその作品)との違いを例にして、ご自身の創作上のスタイル、設定の仕方、そして得意なジャンルと苦手なジャンルなどに関する話をたっぷりお聞きしたわけです。(感謝!)で、私自身が、自分のスタイルや書きたいこと(テーマ含む)を再考する上でも、非常に有意義な体験だったように思った次第。
もちろん作風も違うし、趣向や文体それに構成も違うわけで、雰囲気の違う話になるのはアタリマエ。でも、そういった表現上の問題を超えて、自分自身が何をどのように書きたいかといった、かなり根幹の部分と関わっている気がしたのです。
また、
EGOists' BBS+で語られている「純愛」に関する様々な意見や論議でも、自作に対するアプローチの方法やテーマについて、考えさせられてます。
「『純愛』とは何か?」「『純愛』と『MC』は共存可能か?」といった問いは、そのまま拙作「秘密の箱」のテーマと不可分に結びついていると思うし。
「ヒミハコ」は「純愛」を意識して書かれているわけではないんですが、もしそう受け止めている読者の方がいるならそれはそれで嬉しい。無関係ではないからこそそのような意見もあるのだろうと思います。
ただ、何度もいっているように、私には「愛」というものがよくわかっていない。「愛」はムズカシイ。少なくとも「男女の恋愛」から「純粋な愛=純愛」を、切りだすことができないんですね。
でも「恋愛」ならば(その痛みも含め)多少知っているから、それならば書くことができる。「恋愛」に含まれる「恋」も「愛」も、あるいは「執着」やら「支配」やら「ユーウツ」やらをまとめて一塊のものとして書くことはできる気がするわけです。それが上手くできているかどうかは、読んでくださった方々の判断に任せするとして。
あと、2ちゃんの某スレッドで(これもまた『純愛MC』に絡めて)拙作「秘密の箱」に関して頂いているさまざまなご指摘・ご意見もいちいち頷けることが多く、示唆に富んでいると感じました。
それにそのまま答えることは今回はしないけれども、ここで「秘密の箱」のテーマや作品に対する取り組み方を、もう一度きっちり表明しておきたくなりました(笑 きっかけをありがとう。
………………
いわずもがなの話ですが「秘密の箱」は「主人公が『催眠術で好きなあのコをゲット』しようと悪戦苦闘する話」なわけです。
もともと「大人のための催眠術」さんに投稿している作品ですから、そのトップページに書かれている「催眠術で女性を意のままに操れたら・・?」というファンタジーに共鳴して書かれていることもいうまでもありません。作者である私がそのファンタジーに共鳴しいるのはもちろんのこと、主人公であるノブアキ自体、明確に「催眠術で菊地絵梨を操りたい」という意思を持っています。
だから、この話のメイン・テーマは「支配」であるといえるかと思います。もちろん「意のままに操って、その結果どうするのか?」といえば「エロ」なわけだけど(笑、私にはその「支配」そのものに「エロ」が含まれているようにも感じられる。私にとって「支配」と「エロ」は不可分の関係にあります。
ただし、ヒミハコにおける「支配」は、これまで常に不完全なままに置かれている。
なぜかというと、まずひとつめ、私にとって「支配」はその過程が一番スリリングだから(笑 もちろん、完全に支配して「エロエロ」というのもいずれは書きたいけれど(これまでも、一部そういうシーン書いたけど)、まず何よりも「支配する過程」をエロいと思う。つまりヒミハコにおいては「催眠術」そのものを可能な限りエロく書きたいという思いがあります。(成功しているかどうかはさておき)
ふたつ目は、これが「支配」を楽しむ物語であるのと同時に、「支配」についての物語にもしたいと思うからです。他人を支配するというのはどういうことか、そもそもそんなことは可能なのか、可能だとすればそれはどのようになされるのか、可能でないのだとすればそれを試みたらどうなるのか、などなど……。
三つ目は、そうはいっても、あまりに深刻な話にしたくない、というのがありました。これまた「雑記帳」や「第一部の後書き」などで何度かことばにしたことだけれど、私は甘い話を書きたかった。「恋愛」の話を書きたかった。あちこちですでに書いているとおり、私には「エロ」抜きの「恋愛」がよくわからない。「恋愛」はどうしても「エロ」を含んでしまう。しかし逆に、純粋なエロというのもよくわからないし、「恋愛」含みのエロなら、どんなに激しいエロであっても、暗くならずにすむ。
それに、どんなに落ち込みヘコもうと、あるいはうまくいかなくたって、「恋愛」で失敗したからといって地球が滅亡するわけじゃないし、イマドキ、失恋で自殺するヤツぁいないでしょう。(失恋したての人ゴメンナサイ/いや『死にたい気分』はよくわかるぞ)
もし彼女を「支配」しようとしても、それが「恋愛」べースなら、(当人的にはとんでもない罪悪感を抱えたとしても)そんなの世間ではよくある話レベルにおさまるわけで。当事者的にはどれだけ悲惨な事態であったとしても、死人が出たり、人格が破壊されるまでには至らずに済むだろうし。
そして四つ目――。私は雑念が多いのか、完全に支配すればそれで満足するような気がしない、というのがありました。「自分は何をどの程度、どのように支配したら満足するのか」それがわからない(笑 たとえば、めっさ美しい女がいて、その人がロボットのように何でもいいつけに従ってくれたら、それで満足なのか? どうやら私はそうではないらしい(爆 いや、あんなことやこんなことをたっぷりできるのはそれはもちろん楽しいですが、でも、そんなの本当の支配とはいえない気がする。このアタリは、おいおいネチネチ書いていくつもりです。
さて、「私にとって『支配』と『エロ』は不可分である」と書きました。また、「『恋愛』と『エロ』は不可分である」とも書きました。
これまた、すでにあちこちで書いているように、私には「愛」というのも今一つ把握しきれていない。私にとって「愛」と「支配」も不可分な関係にあります。
さらにいえば、私には「大人」というのもよくわからない。(もちろん『大人のための催眠術』の『大人』が多分に『エロ』の意味であることは理解しているけれども、TMさんよりじきじきに『それだけではなく、大人の鑑賞に耐える作品なら大歓迎』とお伝え頂いてもいます。……私の書くものがそれに該当するかどうかはさておき)
私が書いている「思春期のユーウツ」は、すでに成人してひさしい私自身の内面に、大人である部分と不可分な関係で存在していて、どこから大人でどこまで子どもなのか、ちっともさっぱりわからない(爆
つまり私にとっては、何もかもが不可分であり、何一つ切り分けることができないようなのです(^_^;
「催眠術」という(実際に存在はしていても)ファンタスティックな技術を、地味でちょっとヒネクレた高校生男子に手渡すことで生まれる物語を、できる限り(催眠以外)リアルに描きたかった。
パッとしない時間で埋め尽くされているような毎日に、それでも試練と冒険が存在するとしたら、それはもう「恋愛」しかないと思った。
茫洋とした未来がスクラップ&ビルドを繰り返す仮想現実のビルとして映し出される世の中で、あえて主人公が足掻こうとするとしたら、そのモチベーションは「エロ」だと思った。
「本当に欲しいもの」を除けば何でも売っているショップが、オンライン上でも街角でも24時間営業している世界で、わずかに残されたワガママは「支配」だと思った。
私が実際の思春期を過ごした頃以上に規格化された自由に、適合し埋没する術を持たなければ「ユーウツ」を意識せざるを得ないと思った。
……なんて、シチ面倒くさい言い方をしてしまいましたが、実際に存在しそうな興奮と冒険(=ファンタジー≒妄想)を書こうと思ったら、(私の場合は)恋愛とエロと支配とユーウツになってしまったというだけのことなのだけど。
「秘密の箱」はもちろんフィクションです。しかもエンターテインメントとして書いているつもりです(笑
ただ(私の場合)爽快感は常に、落差によって生まれると思っています。主人公が汗をかけばかくほど、後で飲むビールは美味いハズ。(そうなるよう頑張ります^_^;)
そしてもし、落差が爽快感に繋がるのだとしたら、日常が退屈にまみれていればいるほど、この世界は興奮と冒険に満ちているともいえるのではないでしょうか?(飛びすぎ?)
退屈な日常を持て余している皆さん、あなたたちが潜在的に抱える興奮と冒険のポテンシャルは高いぞ!(笑
さてさて、ここから先は読者の判断に委ねるとして、「恋愛」と「エロ」と「支配」が未分化なまま存在することがそのまま「ユーウツ」に繋がり、しかもそれこそが「物語」を生みだすような、そんな話であり続けたいと思っています。
――物語は物語によって救われる。
てめえ、ここまでエラソーな解説したからには、逃げられねえぞ(爆
よっしゃあっ、続きを書くでぇぇええっ!

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