スモールフェイセスからスティーブ・マリオットを追いかけて、ハンブルパイもラストアルバム「Street Rats」以外は全部聴いた。
正直「???」な最初の2枚のアルバムはさておき、好きなアルバムは「Humble Pie(大地と海の歌)」と「Rock On」と、この「Thunderbox」だ。まあ、いつものことだが、自分はバンドの変換期や黄昏てくる時期が好きなんだなぁと思う。
「Humble Pie(大地と海の歌)」は、スティーブ・マリオットとピーター・フランプトンの志向性が拮抗しているおそらく唯一のアルバムだ。余裕はないが、バンドが上向いてきている時に持っている輝きみたいなものや、音の緊張感のようなものが感じられる。そして、やっぱり「Live With Me」は聴くたびに圧倒される。
一方、「Thunderbox」はツアー続きでバンドが疲弊して、解散してしまうラストよりひとつ前のアルバムになる。こっちは余裕や底力はあるけれど、音に緊張感やキラキラした感じはあまりない。それでも、このちょっと力の抜けた感じが、すごくいいなぁと思う。
例えばレッド・ツェッペリンの4枚目や、ブラック・サバスの「Paranoid」や、ディープ・パープルの「Machine Head」とかと同じような位置付けになるハンブルパイのアルバムは、「Performance Rockin' In Filmore」か「Smokin'」になるんだと思う。
いわゆるそのバンドの代表作にあたるアルバムってやつだ。
最初に聴いた時はもちろん「おおっ!」となって何ヶ月かとか何年かとか聴き続けていたが、出会ってから10年以上経ってからの長いスパンで振り返ると、そういったアルバムより他のアルバムの方が、なぜか自分は細く長く聴いていたりする。
ちょっと未完成だったり、肩の力が抜けているアルバムの方が、実は長く愛聴できたりするんじゃないのかなぁと思うのだ。
そんなわけで、自分はこのカバー曲が半分もある、初めて聴く人にはお薦めしにくい「Thunderbox」を何となく大事に持って、20歳くらいからいまだに聴き続けている、というわけだ。
直前にアルバムが出たばかり(同じ74年)の、アン・ピーブルズの「I Can't Stand The Rain」を取り上げていたりして、マリオットの黒人志向も行き着くところまで行ったという感じだ。そういえば、四日市のバンド、ガソリンのメンバーが家に来て泊まった時に、このアルバムを初めて聴いたG,Voのガンちゃん(スモールフェイセス好き)が興奮して「これもう黒人やん!」って驚いてたのを思い出した。
ヒプノシスの変形鍵穴ジャケも、内容と全然関係ないのが逆にいいですなぁ。ん?なんか意味あるのかな?

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