ビーチ・ボーイズでやった<昨日聴いたアルバムの印象メモ>というやり方が意外に楽だったので、第2弾。
クリムゾンの歌詞は4作目まではピート・シンフィールドが書いているので、別にロバート・フリップが100%共感しているかどうかは知らないが、「CONFUSION WILL BE MY EPITAPH(混沌こそ我が墓標)」とはこのアルバムのことを言うんじゃないのか。
本当に混沌が顕在しているクリムゾンのアルバムは「LARK'S TONGUES IN ASPIC(太陽と戦慄)」と、この「EARTHBOUND」だけではないのかと思う。
そして「混沌」の、その濃厚さのみでランクをつけるなら「EARTHBOUND」が最高峰だ。
過去のアルバムからの曲は「21世紀の精神異常者」と「SAILOR'S TALE」の2曲のみ。残りの曲はフリップ本人も言うように「インプロビゼーションというよりジャム(セッション)」の、曲と呼ぶには中途半端な素材がそのままゴロンと放り出されている印象。曲としての明確な意図を感じるのは、ラストの「GROON」のVCS3によるドラムの変調と終わり方くらい。
オリジナルメンバーのフリップを除き、このツアーを最後に脱退宣言していた他のメンバーは、しかし結構機嫌よく演奏しているように聴こえる。それでも、何だかアルバム全体に「やけっぱち」な雰囲気がある。
ダラダラととりとめなく、時折みえる鋭い緊張感と、割れまくり、バスドラばかり聞こえるグチャグチャな音質のアルバム。
だが、これで充分だ。このアルバムは一般的には「迷」盤ではあるが、俺に取っては「名」盤でもあり、そしてキング・クリムゾンというバンドにとっては「冥」盤なのだ、と思う。

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