ところで、ここにはわりと昔から聴いていて、自分に影響があっただろうものや、今でも聴き続けているものを中心に取り上げているので、自分自身を振り返るっていう要素も強いのだが、もうなんだかんだで一年以上続いているし(ほぼ月次更新だが…)、別にそれに固執するのも面白くないので昨日聴いたのを取り上げてみたりする。まあ、印象のメモみたいなものか。
恥ずかしながら、「SURF'S UP」は去年買ってそんなに聴き込んでいなかったアルバムだ。しかも最初のうちは「DISNEY GIRLS」「FEEL FLOWS」くらいしか印象に残らなかったので、前作の「SUNFLOWER」に比べてキャッチーな曲の少ないアルバムくらいにしか思ってなかった。「SMILE」幻想も自分にはたいしてないので、ラストナンバーの「SURF'S UP」自体も地味な印象で、最初ピンと来なかった。
それで、昨日聴いていて初めて気がついたのだが、この「SURF'S UP」、アルバム全体に流れる「終わっちゃった感」は一体何なのだ?
これは、BORIS風に言えば「たそがれ感」というやつか?
いや、それとも、ちょっと違う。
「たそがれ感」といえば思い出すプリティ・シングスの「PARACHUTE」や、ニック・ドレイクの「BRYTER LAYTER」と比較して、哀しいとか、せつないとか、寂しいとかいった感情はあまり感じない。
曲の中心部に存在する、まるで諦観しきったかのような静謐。
そうしてジャケットをみると、最初なんでこんなにネガティブなジャケットなのかと思ったものがとてもしっくりしているように見える。疲れ切ってもいるが、それよりもっと根源的な空虚感、寂静感。
この雰囲気の原因は、唯一のブライアン・ウィルソンの提供曲「'TILL I DIE」のせいだけではないと思う。
感動したとか、かっこいいとか、すごくいい曲だなとか、そういう話じゃない。
「FRIENDS」にも同じニュアンスは感じたが、ここまで、こんな雰囲気のものが、ビーチ・ボーイズのアルバムだとは、と。
ただ、この感覚。これは他の人にどういっても伝わらないだろうなぁとは思う。
「ビーチ・ボーイズはどのアルバムが好きですか?」と聞かれた時には、多分確実に「SURF'S UP」は挙げないだろうな。理由が説明できないからね。

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