やま「おはよう、暑いね」
大家「しめっぽくていけないね」
やま「こんな時にすっきりしてるのはそうりでえじんだけだって話もある」
大家「破竹の勢いってのかい?
自分のやりたいようにやっていいんだって信じてらっしゃるから強い」
やま「やっぱりあれかい? お大ぇ尽の二世三世さんてのは、
世間の有象無象を知らねえで生きてこられたからってことかい?」
大家「そういう人たちがまつりごとのかなめを押さえていらっしゃるし、
霞が関にもかすみのごとくいらっしゃるんだろうなあ」
やま「あっしら貧乏人は、しめえに愚痴も言えなくなるかもしれねえな・・・」
大家「・・・・・そんなことより、相変わらず忙しそうじゃないか」
やま「あっしらどっちみち大ぇ臣さんたちのようにはいかねえが、
ま、毎ぇ日それなりにあがいてら」
大家「G5,次は何だい?」
やま「次なんてえもんじゃねえ、明日これだよ」
大家「おお、ねっとわあく会議、健在だね!
ぼらんてぃあから福祉施設・病院のめんばあまでいろんな個人や団体が、
町のお年寄りを見守っていこうってえことで手を組んでる・・・
まさに“福祉の網の目”ってんで、大いに期待してたんだ」
やま「木曽川町時代には、行政がいっしょにこの網の目の中に入ぇって、
住民密着ってのかい、それで施策を進めていこうとしたんだ」
大家「合併後は行政が離れていったんだな。残念だったよ」
やま「だからみんな“めりっと”ってのかい? それが感じられなくなって、
解散寸前だったけど踏ん張っちまったんだ」
大家「木曽川ってのはいい町だねえ」
やま「心意気はね。でも、なかなか大ぇ変なんだ、ずーと網張ってるのが。
なんせお上に目もかけてもらえねえもんだからね」
大家「それで年に一度の“住民の集い”への出演を引き受けて、
一肌脱ごうっていう・・・よっ、やまさん、いい男!」
やま「よせやい。ちらしを見てみなよ。
小せえ文字でひっそりG5と書いてある。そんな程度のもんだ」
大家「でもあたしとしては期待してるよ。
こういうネットワークの大切さをきっとお上が気づいてくれるってね」
やま「ま、やるしかねえな。ここんとこ毎ぇ日何やってるんだかわからねえ。
ここらで自分を取り戻さなきゃあな」
大家「よっ、やまさんはりきって!
舞台じゃあ“今日はいつもより余分に声を出しています!”ってね」
やま「染ノ助・染太郎なんてもう誰も知ってやしねえよ!」

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