寿司割烹「楽山」さんがよお、フェースブックでこう言わっせるんだわ。
「椎茸が旨ゃーか松茸が旨ゃーか?」
女房殿に話ゃーた。
「ほんなもん食ってみなわからんがやなあ」
「なんやったら行ってみやあすか」
「行ってみやあすかてって、先週ママさんバレーOB会ゃーで飲んだばっかだがや」
「ほんならええよ、夕飯作るで」
「ほんな、お前ゃー、いっぺん言い出ゃーてまって・・・ゼニあるか?」
「あんたが給料もらっとるうちはなんとかなるわ。どっちみち年金生活になったら行けーせんで」
というわけで楽山をたずねた。
女将さんがにこっと笑って迎えてくだれるのがうれしいがね。
大将が「魚市場談議」を一席。
「大体ゃー雲丹はトゲトゲの方を上にして置ぇーたるんやけど、作手の雲丹は口のほうを上にして置ぇーたるんだわ。ほれを市場の若ゃー番頭が“つくで”っちゅうのはこういう置き方のことをいうんかね?と聞くでかんがね」
「へー」
「お前ゃー三重県に作手というとこがあるのを知らんのか!ってったったわ」
「はははは」
「まあ若ゃーもんはよお、こんなことも知らすと商売ゃーやってくんやでよお」
「ほうやなあ」
こういう話が作手の雲丹をよけい旨ーするんやでなも。
「若、今日はワインが飲みたゃーんだわ」
「ちょうどよかったがね。みんな魚には白とかお決まりのことを言わっせるけどよお、ロゼでええやつがあるんやで。飲んでみやあすか」
「ほんならそれにしよか」
「ディキャンターでしか出しとらんで」
グラスではいかんということでよお、こんでボトル半分は売れたということだがね。ようできとる。
「ほんで椎茸と松茸とどっちが旨ゃーかという話やけどよお」
「今日は椎茸無ゃーんだわ」
「なんや、ほんなら松茸食えいう話やなゃーか」
フェースブックは計略やったんか・・・なんちゅうことは言わすと、深呼吸してから松茸を注文したがね。土用に鰻も食わすと辛抱したによお。
写真撮ろうとしたら、若が「楽山」のカードを側ゃー寄せるでかんがね。
「こん中でロゼに合うやつ選んでちょう」
「あいよ」
あいよ!ときたでかんがね。
ほんで、これがロゼに合う松茸。
(関係なゃー話しやけど、“まったけ”を変換したら“待った毛”と出たがね)
ちゃんと店名入りの箸袋が置ぇーたる。
とまあ“たわけしゃべり”しながら飲んで食って・・・「こういうのがええなあ」と大将にいったら女房殿が、
「それはええけど、うちのお父さんいったらねえ、せっかく弟さん夫婦が連れてってくだれた千葉館山の寿司屋さんで、コンピューター式になっとるのが気に入らんいって、大きな声で文句言うんやよ!」
「まあええがや・・・そういや笠松の老舗料亭、閉店やげななあ・・・川海老に五月鱒に鴨・・・木曽川の風物詩を感じるような料理がまあ食えんようになるなあ」
「まあどうせ年金生活になりゃ行けーせんで・・・まあじっきやで・・・ええ思い出に残ぇーとくだがね」
「ほうやなあ・・・」
と・・・しかし蒸し暑ぃー夜やったなも、ゆんべも。

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