今日は一日賑やか・・・大変だったなあ。
11時から誕生会、プレゼントの似顔絵が二人分未完成。
朝の掃除をほかのセンセーに任せて、仕上げにかかる。
プレゼントソングの『さんぽ』をじいちゃんとわかものせんせーが歌うことを知って「おじさんの『さんぽ』なんてイメージできーん!」と言っていた中2女子が、事務室にやってきた。
「ぐっさん、朝5時に起きて『さんぽ』練習してきたで、聞いて!」
その後なぜかおじさんの『さんぽ』が気になってしょうがないのだそうで、歌詞を鉛筆書きしたノートのきれっぱし(ドレミがふってある)を見ながらエレクトーンを弾き始める。
「ええがや! 本番でわたなべセンセーのギターに合わせて弾いてくれ」
そういって似顔絵描きに戻ろうとすると、
「左手の音、教えて!」
「ソシレ、ドミソ、ファラドだがや」
再び似顔絵に戻ろうとすると、
「ちょっと、いっしょに歌ってみて!」
結局似顔絵は間に合わなかった。
90歳の先生の紙芝居を楽しみ、エレクトーンが加わった『さんぽ』の演奏も拍手喝さいを浴び(たかなあ?)、誕生会は無事終了した。
いや、無事じゃないんだ。
描きかけの似顔絵二人分を、昼までの残り時間で必死で描き上げて、プレゼントする。
やれやれ・・・と思う間もなく、あと一人描き忘れがあることが判明した。
お母さんに平謝りに謝って、大至急描くことを約束する。
午後、また中2女子がエレクトーンを弾きに来る。
「ダイセンパイ! でえれえハマってまったで、ほかの曲教えて!」
わかものせんせーに「“ぐっさん”は失礼だ、人生の大先輩だぞ」と言われたらしく、私のことを「ダイセンパイ」、その後めんどくさいから「センパイ」と呼ぶようになる。
『虹』という曲の楽譜を渡すと、鉛筆でドレミをふって、また練習が始まる。
2階では「カロム大会」とドッジボールが盛大に行われているはずなのだが、どうもそれに乗り切れない“文系”とおぼしき小学生たちが下に降りてきて、エレクトーンに群がる。
いい雰囲気だ。中2女子もまんざらでもなさそう。
じいちゃんは次の仕事にかかった。
「子どものおもちゃにこれはないかなあ」などと迷いながらも真剣に取り組んでいると、お帰りで外へ出られたお母さんが、急いで戻ってこられる。
「公園のトイレの屋根に男の子がおおぜい上っていますよ!」
4人のわんぱくどもが、小さなトイレの屋根に鈴なりになっている。
「こら、お前ら! トイレの屋根から落ちて怪我したら恥やぞ!」
ちょっと叱り方が変かな?と思いながら、大声で解散を命じる。
再びおもちゃのトラックに向き直って「やっぱりこの絵ではおかしいかなあ」と悩んでいると、小1女子が駆け込んでくる。
「せんせー、こうもりやっとっておちて、おおきいこがないとる!」
こうもり?・・・鉄棒だ!
救急箱を持って公園に駆けつける。
小3女子が泣いている。
たいした外傷は見当たらないが、ほっぺたを打ったというから消毒液で拭く。ガーゼが真っ黒になる。
どうも一番年上の自分が失敗して落ちたことが悔しくて泣けてきちゃったようだ。
しばらくじいちゃんにくっついている。
「なんかてつだうことない?」
「みんなと遊んでこやええがや」
「おもしろないもん」
まだ“落ちた”ことが恥ずかしいらしい。
やっと作業に戻ると、小2女子から声がかかる。
「せんせー、このこにジーパンはかせたって!」
リカチャン人形だかバービー人形だか、いわゆる着せ替え人形だ。
「そういうので遊んだことないで、自分でやりゃー」
「でも、ぴっちぴちではいれへんもん」
「ほんならほかのスカートかなんかはかせたってみい」
『シルバニア・ファミリー』とかいう高級おもちゃで遊んでいる小学生からこえがかかる。
「えんぴたてのえんぴつがぽろっとおちてまった」
「鉛筆立てやで、また立てときゃええやろう」
「でもこのまえこれ、くっついとったよ!」
「ほんなら後でのりでくっつけとくわ」
「のり? セメダインじゃない?」
(セメダインというのは商品名だろう)
と言おうと思ったが、やめた。
エレクトーンの演奏が続いている。
「じょうずに弾かんと、幼児室のあかちゃんが泣くぞ」
と注意する。
2階からドッジボールで汗をかいた集団がドドッとお茶のみに降りてくる。
用意しておいた2杯目のやかんに、独断で「氷」を放り込んで大サービス。
結局細切れになったおもちゃの絵付けは、おっさんの横向きの姿勢がうまく描けず失敗に終わる。
長い一日だったので、文章も長くなった。
みんな、さよなら。

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