月曜公休というのも便利なものですなあ。
警察署は間違いなく開いている・・・というので、免許証の更新に行ってきました。
高齢者講習を優秀な成績(?)で終了したんだから、もう堂々と胸を張って警察署の玄関をくぐりましたよ。
ところがどうも、警察署というのはやや世間離れした雰囲気がありますなあ。
ほとんどが女性職員というのに、こう、ピリッとしている。
見ればお客さんの方は高齢者がほとんど。月曜日だから当然です。
今日本を背負っている世代、未来の日本を背負おうという世代は、職場やら学校やらで忙しいのです。
順番を待って見ておりますと、高齢のみなさんはずいぶん苦労して生活しておられるんだなあということを感じます。
まず目の検査。
「どっちですか!」
「は?」
「丸のどっちが欠けていますか!」
「ああ、えーっと、右・・・かなあ?」
「違います!」
「ほんじゃあ、左・・・」
「違います! 変えます! どっちですか!」
「うーん、あのう・・・どっち?」
「これが見えなかったら、今日は更新できませんよ!」
「すんません」
「遠くを見ながらちょっと休んでください! もう1度呼びます!」
みーんなこんな調子でしたねえ。
まるでお嫁さんに「なんでこんなものがわからんの!」と叱られているみたいに、みんな恐縮していました。
さあ、私の番です。
私はなにしろ“優秀”だったんだから・・・視野も普通より広い(顔が大きいから)、トンネルから出たときの明るさへの適応も速い(おでこが光っているから)といわれたくらいだから、堂々と進み出ました。
そしたら、いきなり「ここ、読みましたか!」と申請書を指差された。
びっくりして申請書を見てみたら“該当するところにチェックをしてください”という欄がある。「どうもすんません」と言って列を離れました。
よく読んでみると“運転時にけいれんを起したことがありますか?”とか“意識がなくなったことがありますか?”とかいう項目が並んでいます。
「そんなことがあったら、今頃車に乗っとれせんわ!」
一瞬そう言おうと思ったのですが、更新の権限は一方的にその女性職員さんにあるような気がして、「どうもすみませんでした」と申請書を再提出しました。
目の検査は一発で合格、周りから賞賛のため息が聞こえ・・・たような気がしました。
次は「はい、写真!」・・・だそうです。
これが生涯最後の免許証になるかもしれないと、最高の‘いい顔’を作ってカメラを見つめました。
ところが職員さんはこちらをチラッとも見てくれない。ピッピッピッと機械的にボタンを押して「はい!」で終了。
そればかりか、写真室を出るとき、さらに無言で顔も見ずに紙切れを押し付けられました。
見れば「免許証引換券」と描いてあります。
そんなありがたいお札を、せめて「おつかれさま」とでも言って渡していただければ、どんなにありがたいことか。それが贅沢と言うなら、せめて一瞥くれていただければ・・・高齢者の顔なんか見ても仕方ないですけどね。
ベンチに座って待っていると、「ここ、読みましたか!」という声が再び聞こえる。
私と同世代と思しきおじさんが「へ?」といって、申請書を見ながら列をはずれてきました。
私、慰めてあげましたよ。そして書き方を教えてあげました。
聞けば私より1つ年上・・・いかにも長年世のために尽くしてきたという風貌のおじさんです。
隣で「ややこしいなあ」とつぶやいていたおじさんに年を聞いたら「75歳だ」とおっしゃる。
名前が呼ばれました。みんな「やれやれ」という表情で免許証を受け取ります。
「あんたがたは高齢者なんだから」と引導わたされに来たような・・・疲れがにじみ出ます。
最後に、
「みなさんおつかれさまでした。どうぞお元気で、お気をつけてお車の運転をなさってくださいね!」
といっていただけるとうれしかったんだけどなあ・・・
でも“いい加減運転を自粛してもらった方が世のためである”と自覚を促すための「高齢者講習」であり、その結果としての免許証更新なのだから、ま、女性職員さんとしては正しい応対だったのでしょうねえ。
そうか、みんな年相応に、気をつけて運転しよう!

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