2月11日、生活発表会は本番を迎えた。
内容と進行については全部、主任さんを初めとするセンセーたちがやり遂げた。立派だった!
私がやったことといえば、これだけ。
なんとなく頼りなげで安っぽいが、これで一人前に引き幕が左右にススーッと引けるからたいしたものと言わざるを得ない。
安っぽいのは材料が安物だからだ。私のせいではなくて予算のせいなのだ。
まん中に掲げたのは「園旗」、これだって私が自分の絵の具で描いたものだ。
安っぽいせいか、だれも「エンチョーセンセー、すごい!」とか「わーっ、すてき!」とか言わない。
「エンチョーセンセーのやることだから、ま、こんなもんか」という顔をしている。
あーなー、君たちが「はじまりーっ」とかいって無造作に引っ張っても一度も落っこちなかったろう! この材料でそれだけの機能を持たせるのは大変なことなのだ。
それが証拠に、この作業に費やした2日間、腰痛が悪化して痛かったんだぞ!
あ、もう一つ私がやったことがあった。
4歳児の劇「スーパーモンキー・ゴクウ」の舞台背景だ。
ワッハハハ、これは笑われてもしょうがないかな。
69年の記憶の中にある「山水画」を思い起こしながら、下絵もなしに直接だだっ広い紙に
挑んだ。
山を3つ描いたけどさびしい気がして、5つ目6つ目と描き加えていった。
見ていた園児が口をそろえて言う。
「エンチョーセンセー、なにかいとるかわからん!」
「エンチョーセンセー、それなに?」
るせえ! わしだって何描いとるか分からんようになっとるんじゃ!
よし、こどもに分かるようにと、滝を描いて、池を描いて、船を浮かべて、家を建てて、松の木を描いたらようやく、
「あ、これ、やまかあ!」
「これ、みず!」「これ、ふね!」「これ、たき!」
という声が飛ぶようになった。
「センセー、ゴクウのくもはきんいろだよ!」
雲2つを、黄色に塗った。
この‘ひとだま’みたいなのを「くも」といってくれただけでもありがたい。
気をよくして今度は‘おひさま’を描いた。
「あはは、あはははは!」
と、園児たちが笑った。たちまち「山水画」が「漫画」になった。
これを本番に使うのかなあと、なんか悪いような気もしたが、時間がない。
使ってしまったのだった。
本番の写真は、私自身がステージの司会を担当をしたために、ない。
写真版の写真を次回紹介しよう。

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