ぼちぼち田植えを切り上げようかという時、突然
「おしっこ!」と来た。
どろんこのその子をおんぶして、私は
寺田ガーデンへ走った。裸足だから道路はあぶないというわけだが、私だって裸足である。おかげで
背中までどろんこになって、
「園長、田んぼで何やった?」という姿になってしまった。
まず屋外の
散水栓で泥を流して、トイレに送り込む。暑い日でよかった。
そのあと、田んぼから全員が同じコースを歩いてくる。
どろんこ集団が
ぞろぞろぞろぞろ・・・まるで
ホラー映画である。これを全員
「下洗い」して、寺田ガーデンの大きなお風呂に送り込む。
銭湯みたいな大きなお風呂! こどもたちは大喜びである。
湯がちょっと熱かったが、「あつい、あつい」と言いながらだれも出ようとしない。
長湯を楽しんで、さっきまでの
ゾンビがさっぱりして出てくる。
私やセンセーとしては
「やれやれ」というところだが、こどもが私の顔を見てこうだ。
「あ、エンチョーセンセーの頭、みだれとる。なんで?」
「髪の毛が薄いから、すぐ乱れるのだ。」
「なんで?」
「年とったからだ。」
「エンチョーセンセー、もうすぐしぬの?」
私は、そう簡単には死なない。きみたちが
立派な青少年になるまでは、安心して死ねないのだ!
わかったか!

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