嚥下障害とは・・・簡単に言えば、食べ物を上手く飲み込めない状態
原因は病気とか、老化などで、本来ならきちんと食堂を通り胃に行くはずの物が寄り道したり、立ち止まったり、道を誤ったり・・・
つまり、肺に入ってしまうわけですね。
母の場合、脳内出血の初期病状が落ち着き出した頃の状態を前期とすると、この頃は噛むことはある程度出来るようになりました。
しかし、飲み込めるか?と言えば、出来てるようで、出来ていなかったのです。
一口に飲み込むと言っても そのメカニズムは複雑で難しく、
まず、口に食べ物を入れ飲み込む 人為的に行われる随意運動(第一期)
そして、喉から食道に送るのが不随意運動(第二期)
さらに、食道から胃に送る蠕動運動 (ゼンドウウンドウ)(第三期)
この第二期 第三期は自分でしようと思うのではなく、反射的に行われる運動です。母はこの反射運動が脳梗塞の障害で、出来なくなっていました。
だから、一見 凄く上手に飲み込んでいるように見えていました。
麻痺は、咽せることすら出来ない状態だったから。
当然、STは喉の動きを触診や音で診ています。
血圧や血中の酸素濃度も測りながら行います。
でも、喉の中までは見えませんよね。
そこで、これらを調べるため、飲み込みの検査をします。
やり方はいたってシンプルです。
バリウム入りの食材を レントゲン撮影しながら食べるだけです。
この食べ物は 様々な種類が用意されます。
クッキー。麺類。お粥。ゼリー。ミキサー食。
ゆっくり、時間をかけて、検査されます。
その結果、母は重度であることが判明しました。
これはかなりのショックでした。STもまさかここまで?とは思わなかったようです。

私も母のこの検査でのレントゲン撮影を見せて頂きました。
口で噛まれて、喉を通り、飲み込まれる。
この時、脳は食べ物が口に入って飲み込まれてる事を瞬時に伝達され、反射という運動に変えます。
その反射が障害により出来なくなっている状態です。
図※の喉頭蓋と言うところは食べ物が来ると、反射的に蓋になり食べ物をそこにとどめます。
そして、そこから飲み込む際、今度はそれが気道に蓋をし、気道へは流れないようにします。この時、気道はふさがれるので呼吸は一旦出来なくなります。
この何でもない反射が出来ない。
しかも、ポケットと私は読んでいますが、喉頭蓋谷に微量づつ食べ物が残ったままになる。
するとどうなるか?
もし、その喉頭蓋谷に残っている食べ物が更に上からの食べ物で詰まる状態になったら、必然的に喉が詰まる状態になります。
また、食事が無事終わっても、そこに食べ物が残っていると 何かの拍子に気道へ入るのです。
この時、普通なら咽せますよね。でも、母は咽せることすらないのです。
一度に沢山入ればさすがに咽せますが・・・
この微量な食べ物を確実に胃へ送るために、嚥下指導で、ゴックンとエヘンを教えます。そして食べるたびに この行為をします。
それでも母は微量な量が 飲み込む際100% 気道に流れていました。
そして、運が悪ければ誤嚥性肺炎になります。
幸いなことに、気道に流れる物が極僅かな場合、肺の中で溶けて吸収されるそうです。
でも、その為には、すぐに溶けてくれる 留まりにくい物が良いわけです。
それがミキサー食であり、嚥下用のゼリーでもあります。
この嚥下用に作られたゼリーは例え肺に入っても炎症しにくく また喉に溜まった物や飲み込めずひっついた状態の物を、洗い流す役目もあります。
ですから、最初の練習や飲み込みが悪いときは、ゼリーを食べ物と交互に食べさせると良いそうです。
滑りを良くし、確実に飲み込ませるために。
でも、このゼリーは意外と高めなんですよね(^^;)
中期に入り、ある程度リハビリが効果を現してくると、ゼリーは必要無くなってきます。
それでも、食事には気を付ける点が多々ありますが。
これらのリハビリをST と言い
言語聴覚士(ST)によるリハビリが 話す・理解・聞く・飲み込む 等
簡単に言えば 首から上のリハビリになります。
これらのリハビリは 早ければ早いほど脳にダイレクトに作用し
快復にもつながります。
また、続けることで、出来る限りその障害の進行を遅らせることが出来ます
口は 動かさなければドンドン駄目になっていきます。
それは体のどの部分でも言えることですが。
とにかく声に出すこと。
口を動かすこと。
刺激を与えること。(冷感・酸味など)
更に、衛生面に気を付け 歯などを健康に保ちます。
前期のリハビリは以前書きましたが、
【こちら】
中期に入ると、そのリハビリも幅が出てきます。
アイスマッサージは毎回、食事ごとにも行いますが
その他に、STによるリハビリをあげてみます。
*一番最初は 今日の日付からです。まるで宿題のように母は前もって覚えていきますが、それでも間違ってしまいます。
*その後、名前や日付を紙に書きます。
母は右半身麻痺なので左手で書きます。
*次に3枚の絵カードを見ます。そしてそれらをまず覚えます
*裏返しに置き、何が隠れているか当てます。
*その後一旦カードは片づけます。3枚を覚えて置いてね、と言われます。
*発生の練習をします。ことば遊びの様な感じです
*ロウソクを3本灯し、横に並べ、1本づつ吹き消します。
これは微妙な息加減が必要です。
次に縦に並べ、3本一気に吹き消します。肺活量が必要です。
*簡単な計算をします。 100ー7 さらにー7 さらにー7 と
私でも時々こんがらがります(^^;)
*迷路遊び をします。これは幼児用の迷路を使っていました。
3才用から 徐々に年齢を上げていきます。
*最後に 始め出して覚えておいたカードを 何があったか言います。
これは軽度の人は5枚覚えておくそうです。
母は 3回目の脳梗塞以前は 5枚全ていつもパーフェクトだったそうです
他にもSTのリハビリは色々ありますが、
つまりは、目で見る。記憶する。話す。聞く。息を吐く。飲み込む。
という内容を 障害の状態によって訓練していくのです。
父のST訓練は 母よりも高度になってきます。
でも最近は認知症が進んできているような・・・
このST訓練はとても大事なものです。
しかしながら、病院によっては専門医が居ない場合もあります。
福井県でも、このSTに関しては 専門的に養成してくれる学校が一校しかないそうです。つまり、その卒業生であるSTが少ないと言うことですね
だから、母の居た病院でも いつもST医は走り回っていました。
入院患者の食事指導もしなければいけないし
リハビリに来る外来患者の対応もしなければいけない。
そのため、ST抜きでは食事をすることが出来ない母は ひたすら順番待ちで空腹のまま待っていました。
その状態も、入院後期になってくると私達家族が勉強することにより
食事介助を任されるようになりました。
本来ならナースがつききりで食べさせなければいけないのですが、人手が足りないんですねぇ
それに、ナースの中には この嚥下指導をきちんと理解していない人もいるようで・・・
なかり危ない時も・・・これは退院後のディでも言えることでした。
ミキサー食を食べる嚥下障害を抱えた利用者が居なかった施設は、ミキサー食を作ることすら初めて。
そこで、私達がその作り方や食べさせ方を教えに行ったほどです。
でも、前向きに取り組んでくれる施設は良い方で、始めから受入拒否をされる所もありました。
そんな中、感謝しなければいけないのですが
最初母は毎回帰宅すると 食事の文句を言っていたような(汗)
ドロドロ過ぎるとか、量が少ないとか(^^;)
でも、基本はきちんと守っていただけないと命に関わりますので
最低限な事は その都度確かめて連絡しあっていました。
一度、ショートスティで大変なことがありましたが・・・
病院でも、まるで素人?と思うような対応や理解不足な事も・・・
そのたびに、改善策を講じてきました。
だらだらと書いてきましたが、解りづらい点はご勘弁ください。
何かここをもう少し聞きたいという点がありましたら、コメントでどうぞ
解る範囲で答えたいと思います(^^)
次回は 食事について書きたいと思います。
図※参照 こちらのサイト