日暮れ過ぎ、雪のなか小走りで傘もささず私はじぃの所へ。
どうかな、元気かな、食べてくれるかな と思いながら・・・
じぃの部屋へ入ると
お? なんかもう食べてる!
見れば頬もほんのり赤いし、
おお! お酒飲んでる♪
じぃのテーブルの上には、半身だけ食べたカレイの煮付けと
餅入りの雑炊がお椀にはいっていた
そして、ワンカップ
話し相手は今夜もいないけど、テレビをつけて食べていた
「じぃ〜〜♪大根の煮物やで」と目の前で開くと
『おおお!旨そうな色やなあ!』って
でももう準備してくれた雑炊があるし、お酒も飲んだ後やったから
明日の朝にでも食べればいいね、と
お椀を触ると暖かい
ん?と思い「これ、じぃが温めたん?」と聞くと
『いや、Eがぬくめて用意してから出かけていったんやぁ』と
そっか、うんうん。よかったね
で、じぃは更に言葉を続けた
『これなぁ、(カレイ)こんに大きいのをじぃにくれたんやけど、子どもらに残そうと思て半身おいたるんや』と
じぃは自分が食べることで他の家族の分が少なくなるから可哀想や、と
そんなことないのに
「じぃ、大丈夫やで、ちゃんとみんなの分も用意してあるし」
そう耳元で説明したのだけど
じぃの中では、わざわざ酒の肴を自分に用意してくれている、と思うのね
昔から、父親の酒の肴は特別なものだった
だけどいつも、
じぃはそれを一人では食べなかった
必ず、私らにも たとえ一口でも、口の中に入れてくれた
それが凄く嬉しくて
酒を飲み出すと私らは父の側にちょこんと座ったもんだった
その優しさは 今も同じ
でももう今はそれなりにも「特別なもの」ではなく
みんなそれぞれちゃんと食べるものがあるのに
じぃは今も子どもに、 と「旨いもん」を残したいと思う
私が言うのもあれやけど、そんに贅沢な肴やないと思うんよ
普通に 煮付け。それも小さい。
多分全部食べきれる大きさに、と思った大きさやと思う
それでもじぃの中では「ご馳走」やからみんなで分け合いたいんよね
その気持ちは 父親そのもの、今も 昔と変わらず
あれこれたわいない話をしながら
雑炊をすすり
嬉しそうに たまに高笑いをするじぃ
良かった! 笑ってくれてる
何を話していたんだっけか ただ自分も笑顔で何か話していたことだけしか思い出せない
でも、じぃの笑い顔を 今日見ることが出来た
それだけで私の心は ほわぁ〜んとなれた
よかったあ!
食はまだ細いみたいやけど
カレイの煮付け 半身だけやけど
雑炊 お椀に1杯だけやけど
明日、大根の煮物とお浸し食べて また元気にディに出かけてね