深夜遅くまで、あれやこれやと準備に追われていた。
母の写真選びも なかなか決まらない。
これはどうかな?と思うと、画質が悪くて引き延ばすとピンぼけになる。
何故なら?それらはデジカメで撮った物で、かなり画質を押さえてあるから。
普通にプリントするにはいいのだが、
いざ、大きく引き延ばそうとすると、かなり大きい容量でないとぼけてしまうそうだ
そんなこと考えずに撮ってたからねぇ
それを考えると、昔のアナログの方が良かったね
でも、どうしようもないから とにかく良い物を探した。
なんとかギリギリ間に合って、ファイルを渡す。
その間も、次々と親戚や近所の人が母に会いに来てくれた。
口々に 「頑張ったなぁ 偉かったなぁ」と
うん。本当に母は頑張ったよ!
みな、涙に濡れて・・・声を振るわせながら母の顔を見ていく。
そんな中で、私はと言うと・・・
何故か涙が出ない 泣くタイミングが無くなったような
変な感じだった。
昼間、式の始まる前に、ちょっとだけ外へ出た。
車を走らせる・・・
ぼんやりと空を見上げる。
なんだか、まだピンと来ていないのかも?
体中の力が ふにゃふにゃに抜けるような・・・変な感じ。
でも、涙は出なかった。
どこかに心を置き忘れてきたような・・・
夕方・・・いよいよ棺へと移される。
あまり色々な物は入れられないけど、クリスマスに贈ったマフラーや膝掛けと一緒に横たわる。
式は6時からだ。
慌ただしく会場へ向かう。
昨年は母親の付き添いだったが、今年の車椅子は父親だ。
遠方からも叔父さん達が駆けつけてくれた。
祭壇を見る。
そこには、母の好きだったピンク系の照明に包まれて沢山の花が飾られていた。
その真ん中に 母は居た。
父は 小さくなった背中を丸め、一人、母の前で何かを語るように佇んでいた。
その背中がとても悲しそうで、寂しそうで・・・言葉が出なかった。
館内に静かに音楽が流れる。
しめやかに式は始められた。
夜・・・通夜の式が終わり、控えの部屋で一夜を過ごす。
子供達は 賑やかにミニゲームを囲んで遊んでいた。
父も、集まった兄弟たちと今までの事を時折涙ぐみながら話していた。
私も、その横で父の体を案じながらつき合っていたが・・・
さすがに睡魔が襲ってきた
考えてみたら、ここ数日 ろくに寝ていなかったんだよねぇ
少しだけ横になろうかな と、遠くにみんなの会話を聞きつつ・・・
ウトウトとしながら朝を迎えた。
寒い 寒い 冬の朝だ・・・