「族」受け継がれていくとしたら  22世紀に残る音

「族」を書いて丸30年が経ちました。

1980年代、超個性的メンバーで構成されていた鼓童にいた私は常々思っていました。

「メンバー全員で叩けるハッピーな曲がない」

アースセレブレーションが立ち上がる前夜だったこともあり、この機会に大地をイメージし、テーマソングとなるような曲を書こう!と、すごい筆圧で一夜で書き下ろしたことを今でも思い出します。

当時、みんなで叩けるリズムと言えば、「ドンドコ」しかない。けれど、テンポが速い「ドンドコ」がみんなの好み。「聴く者を圧倒するリズム」はフェスティバルのテーマとしてどうなんだろう。

リズムと一つになるには、もっとテンポを落としてみようということになり、やってみたけれどリズムが合わない。

そんなある日、ほこりを被っていた平胴大太鼓が鉄枠の台に吊るされているのを見て、前から平胴大太鼓の長く伸びる響きが好きだった私は、佐渡の職人の西須さんにお願いして「この大太鼓を木の幹か何かに載せて大地のイメージを作りたい」と相談。

数週間で切り株を切り出して中をくり貫いた台を製作してくれました。

通称「象脚」と呼ばれる台ができ、さらに近藤克次さんが「レオ、こんなバチがあるよ」と提案してくれたのがバットの形状をしたバチでした。

平胴大太鼓で拍頭を叩くという極めてシンプルかつ、インパクトのあるアンサンブル形態がこの曲で確立されたのでした。

そして、この曲のテーマはベースのリズムとなる「ドンドコ」のうねり。グルーヴです。

その上に乗るリズムパターンも曲を構成する上で大事なのですが、あくまでもトッピング。

ソリストがドラムスのように華麗なるソロを披露する演目にはしたくなかったのです。それでは、みんなで叩くというコンセプトが崩れてしまいます。

確かにシンプルなリズムを繰り返すことで「飽き」が出てしまう可能性があるのですが、私からすれば、「心地よい音。踊りたくなるような音。グルーヴはその先にある。」ということになります。

自己の確立を急いていた20代の私にとって、多様な人たちと共に生まれる重厚なリズムは鼓童の存在価値を見つめ直す機会にもなりました。

この曲を世界中の太鼓ファンが愛してくれることは嬉しいのですが、叩き手はこめられたメッセージとシンプルゆえに奥が深い「ドンドコ」という永遠のテーマを磨き続けてくれたらと思います。

確か1990年前後のニューヨーク公演より(Photo: KODO)
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2015年アースセレブレーションより(Photo: KODO)
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