曲が生まれる時  わくわく創作編

Facebookの書き込みから、ちょっとした狂想曲のような販売となったCD “Power and Patience”

ご購入いただいた皆様ありがとうございました。

私自身、リスナーとして作品の経緯を探ることはとても好きなのですが、作り手としては送り出した曲は余計な説明なく、自由に感じてもらえたらというスタンスでした。

でも、今のような情報過多の世の中において、曲や作品のプロセスをお伝えすることは押しつけがましいものではなく、むしろ大切にするべきことなのかなと改めて思いました。

先のブログで「族」という曲の成り立ちに多くの方々が関心を持っていただいたこともあり、今回はCD “Power and Patience”の1曲目”KAKUMEI”の動機について書いてみようと思います。

2010年の終わり、CNNか何かの深夜ニュース番組をぼーっと観ていたのですが、北アフリカのチュニジアでデモが起きているけれど暴動までにはなっていない様子。

引き続き、ぼーっと観ていたら突然、群衆の中から火の手が上がる映像。でもすぐに鎮静化される様子を対岸の火事のように観ていた私。

それは、「ジャスミン革命」でした。

9.11のこととダブり、気になって音を消して画面を見続けていました。そうしていたら、シュールに頭の中で音が鳴り始めたのです。

情景描写と言っては不謹慎かも知れませんが、曲を作る動機は高い緊張感とリラックスした感覚が混ざり合って生まれてくることが多々あります。

国内外で旅が多い人生。

旅の道中はキーンと張り詰めたものがありますが、移動中の車中や機内はリラックス。なので、移動中の景色は大好物。私の曲作りにおいて気持ち良いリズムと情景描写は欠かせないものです。

けれど、少し斜(はす)に構えるというか、場合によっては皮肉って創作することもあります。

ヨーロッパなどの文化において、その奥行きを作り出している要素は角度を変えることによって見えてくる影だったりします。

話を元に戻しますが、そういう意味でデジタルと向き合った”Power and Patience”は、私のアルバムの中で最も斜に構え、温度も低い作品かもしれません。

創作の動機が対岸の火事と感じていた「ジャスミン革命」。日本とマッチングしなかったのもそこか!?

今年もあと数日。順調にいけば、1月4日から”DON DEN”を皮切りにデジタルでシングル3曲をリリースしていきます。太鼓の曲でシングルって冷静に考えても変だと思いますが、3〜4分に集約した音を配信に乗せて世界に放ってみます。

今年、最初で最後の公演となった渋川公演。
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2021年の第一弾は、スコーンと明るい"DON DEN"から!
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前向いていこう!

ねっ!


「族」受け継がれていくとしたら  22世紀に残る音

「族」を書いて丸30年が経ちました。

1980年代、超個性的メンバーで構成されていた鼓童にいた私は常々思っていました。

「メンバー全員で叩けるハッピーな曲がない」

アースセレブレーションが立ち上がる前夜だったこともあり、この機会に大地をイメージし、テーマソングとなるような曲を書こう!と、すごい筆圧で一夜で書き下ろしたことを今でも思い出します。

当時、みんなで叩けるリズムと言えば、「ドンドコ」しかない。けれど、テンポが速い「ドンドコ」がみんなの好み。「聴く者を圧倒するリズム」はフェスティバルのテーマとしてどうなんだろう。

リズムと一つになるには、もっとテンポを落としてみようということになり、やってみたけれどリズムが合わない。

そんなある日、ほこりを被っていた平胴大太鼓が鉄枠の台に吊るされているのを見て、前から平胴大太鼓の長く伸びる響きが好きだった私は、佐渡の職人の西須さんにお願いして「この大太鼓を木の幹か何かに載せて大地のイメージを作りたい」と相談。

数週間で切り株を切り出して中をくり貫いた台を製作してくれました。

通称「象脚」と呼ばれる台ができ、さらに近藤克次さんが「レオ、こんなバチがあるよ」と提案してくれたのがバットの形状をしたバチでした。

平胴大太鼓で拍頭を叩くという極めてシンプルかつ、インパクトのあるアンサンブル形態がこの曲で確立されたのでした。

そして、この曲のテーマはベースのリズムとなる「ドンドコ」のうねり。グルーヴです。

その上に乗るリズムパターンも曲を構成する上で大事なのですが、あくまでもトッピング。

ソリストがドラムスのように華麗なるソロを披露する演目にはしたくなかったのです。それでは、みんなで叩くというコンセプトが崩れてしまいます。

確かにシンプルなリズムを繰り返すことで「飽き」が出てしまう可能性があるのですが、私からすれば、「心地よい音。踊りたくなるような音。グルーヴはその先にある。」ということになります。

自己の確立を急いていた20代の私にとって、多様な人たちと共に生まれる重厚なリズムは鼓童の存在価値を見つめ直す機会にもなりました。

この曲を世界中の太鼓ファンが愛してくれることは嬉しいのですが、叩き手はこめられたメッセージとシンプルゆえに奥が深い「ドンドコ」という永遠のテーマを磨き続けてくれたらと思います。

確か1990年前後のニューヨーク公演より(Photo: KODO)
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2015年アースセレブレーションより(Photo: KODO)
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