先日、首都高・大黒PAにてETCセットアップキャンペーンが開かれており、その一環として4月28日からモニターテストが開始された二輪車用ETC車載器が公開されていた。
車載器についてはゆえあって詳細を記せないので、カンタンなアウトラインだけ記しておく。
1. 構造は3ピースとよばれる、本体とアンテナが分離したもの
2. それに加えて、カードの読み取り状態を視覚的に示すインジケーター部(正常か異常かをランプで知らせる)で構成される
3. アンテナは車体外部に、本体はシート下などの直接的に風雨を受けない場所に設置する
4. 本体の大きさは弁当箱(子供、もしくは女性用といったところの)程度
5. 本体は四輪用の既製品を防水・防振加工されたケースに入れただけのもの
6. 並走による不正通行に対しては無力(現状では対策なし)
車載器に関するポイントをまとめるとこんなところで、実物を見たところで想像していた以上のものにはなっていなかったというのが率直な感想だ。
現場にいたHIDO(財団法人 道路新産業開発機構)の担当官いわく「二輪用車載器の開発の遅れは、技術的な問題だけだ」とのことだが、機械工学に詳しくない私が見ても、カメラ用の水中ケースと同程度のような弁当箱を作るのにいったい何か月かかってるんだと感じざるをえないシロモノだ。
二輪用ETC車載器の開発の遅れは、こんなところに原因があるとは信じがたい。
だいたい、非公式ではあるものの四輪用ETC車載器をバイクに転用して機械的なトラブルなく利用している人もいるというくらいだから、そんな弁当箱にどのくらいの意味があるのかも疑問ではある。
まあ、それはまだいい。
あまりのことに私が呆気にとられたのは、国交省の役人のクチから出た言葉だ。
「物理的スペースがない二輪車なんて少数、そんなものまですべて対応させることなんてムリ」
ただでさえ少数の二輪車にこうしてカネかけて車載器を開発してやったんだから、さらに少数のことなんか知ったこっちゃないぞと、つまりはそう言ったのである。
ETCがたんなる自動料金収受装置というだけなら、私も目くじらはたてない。
しかし、現状ではETCを利用しないと高速道路の割引を受けられないのだ。
利用する時間帯によっては、数十台のバイクを積んだ大型トラックよりも、数十人の人間を乗せた大型バスよりも、最大2人しか乗ることができず占有面積も路面に与えるダメージも数十分の一以下のバイクのほうが高い料金を支払わなければならない、それほどまでに大きな料金格差を生み出す割引を受けられないのだ。
それに対して、「ETCの利用によって効率化が進む、だからこそ利用者には割引を適用している」というようなコトを公団をはじめとしたETC推進側がどこかでいっていたような気がするが(ちょっとウロ覚えなので自信がないが)、もとはといえば各高速道路の割引は公団民営化の話の中で出てきた案件のハズである。
ということは、本来なら割引制度は高速道路を利用するすべての者が受けられなければならないワケで、それを「ETC普及のエサ」として使うのは筋違いなのである。
百歩譲ってエサであることを容認したとしても、ETC車載器を導入したくてもできない利用者のことを「少数だから無視」するとはどういうコトか。
社会の仕組みとして、ごく少数にかまけていてはモノゴトが先に進まない道理は理解しているつもりではある。
しかし、いざ自分がその少数派となってしまっている現状、やはり看過することはできない。
かといってこうしてウェブの片隅でつぶやいているだけではどうにもならないのも、また現実である。
どうしたら打破できるんだろう。
「ETCの不備によって割引適用を受けられず損失した」と損害賠償訴訟でも起こせないものなのだろうか。
っていっても、損するってわかってるから割引適用時間帯にはバイクで高速道路を走るなんてコトはしてないんだけどさ。

0