2004/9/16

森達也「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」  BOOK


一度、図書館で借りて読んでしまった本ですが、どうしても手元におきたくて購入しました。
出版されてから既に1年と半年経っているので第4版です。

森達也さんの本や映像作品は、読み返すたびに新しい発見があるという本ではなく、ここを起点に混迷した世界に入り込んでしまうかのような本です。
何かひとつ答を出しても、それが本当に正しいのか、
そもそも絶対的に正しい答は存在するのか、
というような世界に踏み込んで立ち往生してしまいます。

上手く云えないのですが、
森さんの作品に触れると、
いつも、安易に物事を「判断」することができなくなってしまいます。
「判断」は一方向からのものでしかないのに
この世の中のすべての事象は、一方向からだけでは捉えられないから、
「判断」することに躊躇してしまいます。
だからといって、無理に多方向から物事を判断するのはとても難しく
そう考えると、ここから一歩足を踏み出さなくてはならないのに
足がすくんで動けなくなってしまいます。

森さんが著作のながでよく使う「思考停止」したまま
答を出すことができなくなってしまいます。

以前、私は映画の感想を中心としたサイトを持っていましたが
映画「A」の感想は上手く文章にするができませんでした。
考えをまとめることができませんでした。
ひとつの感想を書くと、「こういう見方もあるのでは?」とう違う方向から見た感想が次々湧き出て終いには収拾がつかなくなるのです。

「A」を観ながら、私は不思議なほどずっと泣いていたんですが、
そのときも
「人間って…。人間って…。」と云う言葉が繰り返し頭に浮かぶだけで
「人間って〇〇」の「〇〇」の部分をどうしても埋めることができませんでした。

「A」や「A2」については、いろいろ語りたいのにいざ語るとなると、上手く言葉が出てきません。
その出したい言葉の一部がこの本です。
映画に関係なく、この本が書かれるにいたった状況に関係なく、これまでなんとなく思っていて言葉にできなかったことが、ここに書かれています。

ところで、「お薦め」とか云うのではなく
「A」、「A2」は一度観ておいたほうがよいかもしれません。
観てみて批判的な感想を持とうと、肯定的な感想を持とうと、何も感じなかったとしても一度観ておいたほうがよいように思います。

「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」
この言葉を目にすると、今でも泣けてきます。
青臭い理想論かもしれないけれど、ここに込められている意味はとても深いように私は受け取ってしまうから、この言葉ひとつで泣けてくるのだと思います。
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