2014/12/14

壮大なるドラマは、いかなる結末を迎えるのか  MOVIE

「壮大なるドラマは、いかなる結末を迎えるのか
(インファナル・アフェアIII 終極無間 の惹句)」
と云う記事タイトルにしておきながらなんですが、
本日の映画はそこまで壮大でもなく
結末らしい結末も迎えていない

「土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI」

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です。

何故迎えないかと云うと
「原作の連載が終わっていないから」です。

この映画を語る前にまずは
ちょっとした無駄話をしたいと思います。

映画特別試写会には、
当たるコツと云うのがある一方で
外れるジンクスというのもあります。

私の場合は

@ジャニーズ主演の映画は当選しない。
A岡田姓の俳優の映画は当選しない。
BAの場合の岡田姓とは岡田准一と岡田将生(*)のことである。
C少女マンガの実写化映画は当選しない。
D「○○さんと見に行きたいです」などと書こうものなら
まず当選しない。

が主だったものとなります。

(*)「ST」試写会は葉書に
「岡田将生出演作は当選しないジンクスを破ってください」
とコメントしたら当選しました!


というわけでこの映画の試写会も
生田斗真主演と云うことでものの見事に外れました。

アイドルグループの一員ではないため
ジャニーズのイメージから一番遠いところにいるからか
何度見聞きしてもジャニーズ所属と云う事実が
しっくりこない生田斗真。

それだけに油断しており
試写会が外れた時のダメージが意外と深く
一般公開されても素直に観に行けませんでした。

ということでDVDリリースを待っての視聴です。

本作の監督は三池崇史、脚本は宮藤官九郎という
「ゼブラーマン」コンビとなっております。

この2人、
1人1人はマニア向けとは云え
それなりに面白い作品を作っているのですが、
2人揃うとどうしたものか
「作品が怖ろしくつまらなくなってしまう」
と云う化学反応を引き起こしてしまうようで
話題性ではなく監督や脚本家で見る映画を択ぶ
映画ファンからの評価は芳しくありません。

本作も
数あるテレビ局製作アンドマンガの実写映画化同様
公開前には、原作第1話を収録した小冊子を劇場ロビーで
無料配布したり、
連日、制作元のフジテレビの情報番組や
バラエティー番組に出演者を押し込んでは
宣伝に励んでいたのですが、
例に洩れず公開が始まった途端
話をまったく聞かなくなりました。

そもそもこのような
「原作のキャラクターそっくり!!」

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原作の絵が個性的過ぎで本当に似ているのかと云われると…。

とか
「驚きの再現度 !!」

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ただ確実に云えることは、真ん中の吹越満ではなく田中邦衛ですよね?

を売りにするような映画は
第1週こそ珍しいもの見たさの客で
週間興行収入のトップを飾ることもできますが、
その分、映画について熱く語られることはなく
評価も低いまま終わってしまうことも少なくありません。

それは監督は三池崇史、脚本は宮藤官九郎でも
例外ではありません。

と、云っても
映画自体はいろいろ工夫が凝らしてあって
まったく面白くないわけではないのですよ?

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まあ工夫と云ってもこんなんですけど。

この映画特有のゴテゴテ感、私は好きです。

内容はタイトルからもお分かりのように
アメリカ映画「フェイク」「レザボア・ドッグス」や
香港映画「インファナル・アフェア」、
韓国映画「新しい世界」同様、潜入捜査官ものです。

ただし、他の作品と比べると大失敗します。
特に「新しい世界」と比べちゃうと大火傷します。

あくまで「マンガ実写化」ということをお忘れなく。

 

生田斗真演じる主人公菊川玲二は
谷袋警察署・百観音前交番勤務の巡査です。

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ハンサムを封印し文字通り身体を張って頑張っている生田斗真。

普段は上司が頭を抱えるほどバカでスケベな玲二ですが、
強靭な精神力、優れた洞察力、並外れた危機回避能力を
持ち合わせており
正義感から地元の有力者を怒らせて馘寸前だったところを
その能力を惜しむ
谷袋署署長酒見路夫(吹越満)、
潜入捜査官養成係赤桐一美(遠藤憲一)

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とても素敵な笑顔の一美ちゃん。本作の遠藤憲一はどのシーンも愛らしい。

厚生労働省麻薬取締官福澄独歩(皆川猿時)
の3人が用意した試験を悉くクリアし
麻薬潜入捜査官(通称:モグラ)に抜擢されます。

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「タイトル」と「潜入時の心得」と「主題歌」が三つ巴となったOP!!

この潜入捜査官試験から玲二の合格を祝って
マトリの仲間たちが合唱する主題歌「土竜の唄」までが
本作のハイライトと私は思うのですが、
むしろ本番はここから。

玲二が初仕事として受けた任務は
数寄矢会四代目会長轟周宝(岩城滉一)に近づき
犯罪の証拠を掴み一斉摘発することです。

初仕事と云っても潜入捜査の場合
じっくり時間をかけた長期戦になるのが定番です。

そこでまずは数寄矢会の直参に当たる
阿湖義組若頭日浦匡也(堤真一)
通称「クレイジー・パピヨン」から攻め落とすことにします。

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こういう通称って日常的に使用されているものなのかしら?

そんななか
関西を拠点とする構成員4万3千人の
日本最大の組織の蜂ノ巣会が関東へ
殴り込みをかけてくる気配が…。

数寄矢会としては蜂ノ巣会の関東進出は
阻止したいところですが、
無駄な抗争も避けたいのも本音です。

偶然、部外者として数寄矢会の名前に傷をつけることなく
蜂ノ巣会の猫沢一誠(岡村隆史)を退治した玲二は
その業績を認められまんまと阿湖義組に潜入します。

組長からの盃は貰えなかったもの
「おもろいこと」が三度の飯より好きな日浦に
すっかり気に入られる玲二。

玲二の方も
男気がありヤクザでありながら麻薬を深く憎む日浦に
心ならずも惹かれていきます。

捜査官が潜入先の相手にあってはならぬ好意を抱いてしまい、
任務を後回しにしても行動を共にしてしまう。
そう、これこそが「潜入捜査官もの」の醍醐味です。

それは時として男女の恋愛よりも刺激的で切なく
密命と潜入先での友情の狭間で揺れる主人公の姿に
映画を見ている男性も女性も胸を熱くするのです。




ただし、
何事もやりすぎると却って萎えてしまうもの。
そのことをこの映画は教えてくれます。

舎弟となった玲二を実の弟のように可愛がる日浦。

一方で玲二は麻薬ルートを探るため、日浦に隠れて
阿湖義組でMDMAの仕入を行っている
月原旬(山田孝之)に取り入り兄弟の契りを交わします。

麻薬を嫌う日浦にとって
組に隠れて麻薬に手を出している月原は獅子身中の虫。

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日浦の麻薬嫌いの原因を説明するため写真のみ登場という俳優の豪華な使い方。

玲二としては、シノギを手伝ううちに
型破りな残虐性を見せながらも

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クレイジーパピヨン考案の借金取り立て方法in歯科医院。

義理人情に厚く昔ながらの任侠精神を持つ
日浦の方に気持ちが動いているのですが、
麻薬取引の証拠を挙げることのが
最優先事項ですので仕方ありません。

玲二の日浦に対する思慕と負い目が
最高潮に高まった頃を見計らったかのように
玲二にメンツを潰された猫沢が2人を襲撃します。

猫沢の二丁拳銃を前になすすべのない玲二と日浦。

「兄弟(玲二のこと)の数寄矢会のメンツだ。
指一本触れさせねえ。」
と、断言していた通り
日浦は玲二を庇って猫沢の凶弾に倒れてしまいます。

男性ならば「燃える」、女性ならば「萌える」
シチュエーションです。

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庇うにしても何もそこまでしなくてもいいのよ。こちらとしては。

猫だけに車の下に潜った猫沢が放つ数十発の銃弾を
玲二を両肩に抱えたまま両足で受ける日浦。

さらにとどめの手榴弾から玲二を守るために
我が身を犠牲にし、結果両足を切断する重傷を負います。

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押し倒しているのではありません。

堤真一、この映画における渾身の場面です。

が、困ったことにこの両足を撃たれても仁王立ち
という絵図らがあまりにリアリティに欠けるため
本来このシーンで起こるべく感動をまったく呼ばないのです。

薄れゆく意識の中、玲二のことを気遣い
気障なセリフを吐く日浦ですが、
撃たれ方にあまりに虚を突かれたため
こちらとしてはあっけにとられるのが精一杯で
感動する暇がありません。

しかも日浦が撃たれたのは
玲二が潜入捜査官だったからと云う理由からではないので
盛り上がりにも欠けます。

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凶弾に倒れた日浦を羽根がボロボロになった蝶の飛翔で表現するチープさ。

その後、日浦は病室から姿を消します。
実際は、日浦に恩義を感じている元蜂ノ巣会構成員
「クロケン」こと黒河剣太(上地雄輔)が
連れ去ったのですが、そのことを玲二は知りません。

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その一方で罠にかかり全国指名手配になってしましました。

むしろ日浦が消えたことで変な負い目もなくなり
ますます潜入捜査に磨きをかける玲二。

ついでに
一見して不自由していなさそうな美男美女が
童貞だったり処女だったりする2014年ドラマにおける
最新トレンド「童貞」も卒業します。

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なにしろ始めてのことなのでこんな映像を浮かべて
射精までの耐久時間を稼ぐために必死です。なんかいろいろヒドい。


玲二が男として一皮むけたことの象徴としての
「童貞喪失」だとは思いますが、
映画では玲二とヒロインの若木純奈婦警(仲里依紗)との
関係が詳しく描かかれていないので
見ていてもちっとも心が動きません。

映画に華を添えたいのは判りますが、
この映画にヒロインは必要がないようにさえ思えてきます。

にしてもここは、必死で日浦の行方を探したり
仇を討とうとするところでしょう。
なにしてんの、玲二?

さて、日浦が失踪したことで肩の荷が下りたのは
玲二ばかりではありません。

数奇矢会・阿湖義組の方も
目の上のたんこぶだった日浦が退陣したため
組長阿湖正義(大杉漣)は月原を日浦の後釜に据え
心置きなく御法度だったMDMA販売に精を出し始めます。

これで玲二には警察以外にも麻薬嫌いの日浦のため
数奇矢会をぶっ潰す口実ができました。

両者利害一致。
警察は数奇矢会の摘発に乗り出すのですが、
玲二の正体は既に月原にバレており
罠に嵌められてしまいます。

それにしてもいつバレたのでしょう?

「バレるかバレないか」という微妙なバランスが
潜入捜査ものの肝だと云うのにバカじゃないの?

そのドキドキ感のないまま
月原に正体を看破されてしまう玲二。

そして、いよいよ
数奇矢会・蜂乃巣会・警察による
三つ巴の戦いが火ぶたを切って落とされます。

しかし、月原には正体がバレており
警察からは指名手配となっている
潜入捜査官玲二の立場はとっても微妙。

というかその場に押し寄せた全員が敵。

あっという間にヤクザと警官に取り囲まれ
集中攻撃を受けてしまいます。

玲二が潜入捜査官であることを知る酒見署長からも
見捨てられ絶体絶命の危機です。

ここも潜入捜査ものにありがちなシチュエーションですが、
いまひとつ危機感が感じられません。

何故ならあの男が助けに来るに違いないから…。

そう、日浦匡也がな!!

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俺が見えるか、悪党ども。実体もなく忍び寄る白い影が。

所詮は月原にいくら正体がバレようが
そんなものは大したことはないのです。
日浦にバレていなければ良いのです。

童謡「ちょうちょう」独唱(=復活のテーマ)と共に
派手に登場する日浦。しかも生歌。
クロケンが闇医者に特注した義足のおかげで
貨物船のコンパス甲板から地上までひとっとび。

自前の足を切断したおかげで
足蹴りが最強の武器となりました。

新しい足については日浦本人が
わざわざ時間を割いて説明してくれます。

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「日本語の通じない医者に凄え義足を作ってもらったのさ。」

この説明のどうしようもない安っぽさが
そのままこの映画自体の出来に相通じるような気がします。

日浦とクロケンの助太刀により麻薬取引を壊滅した玲二。

ここで画面は暗転。
せりあがってくるスタッフロール。

しかし、
まだ終わりじゃないぞよ、 もうちょっとだけ続くんじゃ。

これでようやくお役御免かと思いきや
阿湖義組がMDMAに手を出していたことを知った日浦が
阿湖義組を抜け、新たに日浦組を立ち上げ
玲二はその若頭に任命されてしまいます。

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玲二に惚れ抜いている日浦はなかなか手放してくれそうにありません。

まんざらではない玲二。
次は関西制圧だ!!

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最後の最後までこのテンション。

月原も上に玲二の正体を報告しておけば
こんな中途半端なハッピーエンドにはならなかったのに…。

ということで、原作が連載中のマンガ実写化にありがちな
一段落はついたものの主人公の最終目的は果せないまま
映画は終わってしまいます。

宮藤官九郎臭より三池崇史色の強い映画でしたが、
続編はもう結構です。

人気マンガを旬のうちに映画にして儲けたい
テレビ局の気持ちは判らないでもありませんが、
せめて連載が終了してから手を付けませんか?

続きが気になって原作に手を出すきっかけとなるような
映画は正直もうたくさんです。

こんなラストが気持ちよく終わらない映画では
ますます映画ファンが離れていくような気がします。

まあ、あくまで私の気のせいですが。

 

 
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