1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2007/1/12
僕は甘いものを売っていることに誇りを持っている
おさむ
最終電車から5つ前の電車が
時間通りにプラットフォームに流れてくる
閉店時間の5分前
レジ閉めの準備は終わっている
給料日のあとの金曜日
今日は月に一度
いつものお客さんがやって来る日だ
店を閉める時間から5分後くらいに
必ずそのお客さんはやって来る
年齢は50歳くらいだろうか
とても優しい目をしたお客さんだ
少し気が弱そうな感じだ
買うものはいつもいっしょ
シュークリーム2つにチョコエクレア3つ
それはいつも変わりはない
いつも小さな声で申し訳なさそうに
あのうすみません
シュークリーム2つと
チョコエクレアッ3つください
いつもエクレアッと発音する
僕はそれが大好きだ
そしてそのお客さんは
シュークリーム2つとチョコエクレアが3つ入った袋を受け取るとき
とんでもなく素敵な笑顔を浮かべる
僕はそれがとても大好きだ
僕までうれしくなる
そんなとき
僕は本当に思うのだ
こうやって駅のプラットフォームでシュークリームを販売していてよかったと
僕は想像する
そのお客さんが家へ帰って
男の子2人と女の子1人と奥さんに
シュークリーム2つとチョコエクレア3つが入った袋を渡す瞬間を
きっとそのお客さんはあの素敵な笑顔を浮かべているのだろう
僕は甘いものを売っていることに誇りを持っている
そして明日も
失恋したばかりかもしれない女の子に
寂しい一人暮らしのおばあさんに
仕事で疲れた独身のサラリーマンに
そして
目を輝かせながらシュークリームを見つめる子どもたちに
僕は
シュークリームを
渡すのだ
今夜も誰かが、ちょっとばかり残業をして、あなたが、シュークリームを
買うのを待っているのかもしれない。

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