1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2008/10/28
午前中の総合病院の待合室で、自分の名前が呼ばれるのを
待っている。周りの座席も一杯だ。整形外科の席には、比較的
年配の人が多い。同じようにアキレス腱を切った風の人もいる。
装具をしていて、かなり経過しているようだ。
もうすっかり体の一部になったような松葉杖を抱えながら、
目の前の廊下をあるく患者さんや、ドクターや、看護師さんを
それとなく見る。
いつも通院するときには、半休にしているので時間はある。
10月27日、9月10日からの左足アキレス腱を断裂して
DAY 57、ギブスが取れた。ソールにものすごく角度のついた
装具(9cmのソール)を履いての松葉杖は、まだまだ辛い
けれど、脚を大地につけることができるようになったことと
左脚をシャワーで洗えるようになったことも大きい。
ギブスを取って、左足を病院のリノリュームの床につけている
と、ああ、地球に左足をつけているんだという気になった。
勿論、ギブスをはめていた時も足はつけていたけれど、それは
面というより、ギブス全体との接点だった。
装具では、左足がちゃんと地面を感じていた。
まだまだ、部屋へと戻ると、左脚は腫れて、悲鳴をあげている
けれど、確実に治っているのは感じることが出来る。
ごく普通に歩けること、それって実は、とてもありがたいこと
なんです。
信号が変わる前に、走ることができること、それも、とても
ありがたいことなのです。
別に、芝生の上を散歩していたわけではないけれど、なぜか、
芝生が恋しい。

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2008/10/26
今住んでいる北九州のマンションにはセキュリティがついている
(いまどき、当たり前になってきているけれど)。
郵便を見て、鍵のキーホルダーの部分をあてて、ドアを開ける。
エレベーターとその外の様子がモニターテレビで録画されている。
先に昇っていたエレベーターが自動的に1Fへと戻ってくる。
先にエレベーターで上へと昇っていた若い女性が、自分が降りた後、
1を押しくれたのだ。
そんな何気ない気遣いに触れると、とても嬉しくなる。まだまだ、人
も捨てたものじゃないと思う。
コンビニでかごを持ちながら松葉杖で買い物をしていたとき、
「お持ちしましょうか」と言ってくれた。20代の女性がいた。
さすがに、「ありがとうございます、なんとか大丈夫です」と
笑顔で返したけれど、そんな人もいるのだ。
さっと、5m先から道を譲るしぐさをしたり、エレベーターを止めて
待ってくれていたり。世の中には、ちょっとしたことなのだけれど、
なかなか自然には出来ないことを、さらりとしてしまう人たちがいる。
すぐに「気付く」のは、日ごろから周りをしっかりと見ていて、すぐに
動ける人だ。小さい頃からの躾なのか、自分で築きあげた姿勢なのか、
自分がそういった立場になったことがあるのか、その立場をすぐに想像
できる想像力を持っているのか(相手の立場になるというやつですね)、
そういった人たちは、自然にそういったことをこなす。
席をすぐにお年寄りに譲る、階段で妊婦の人の重そうな荷物を持ってあげる、
エレベーターの扉を手でおさえてあげる。そんなことは当たり前だと思って
いても、「反射的」に出来ない人には、永遠にそれはできない。
意志ではなく、条件反射として身についているかどうかだからだ。
そして、条件反射としてそういったことを身につけるためには、その人の
生き方や、他の人に対しての「まなざし」が反映されるのだ。
その「まなざし」というやつが、誰かに対しての「愛」や「憎しみ」や「慈しみ」や
「ねたみ」を持ったりする芯なのだと思う。
松葉杖を使用しなくなったら、僕は、ほんの少しばかり人に対して
優しくなれると思う。そして、そういったことを自然に出来るように
「まなざし」を鍛えたいと思う。
そして、そういった行為には、心から「ありがとうございます」と
言える様になりたい。

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2008/10/25
仕事関係で、子どもたちの英語のイベントの司会をしたりする
ことがある。結構、司会は好きな仕事のひとつだ。
master of ceremony そう、マスターなのだ。
Floor is yours.
例えば、講演者を紹介して(そんな司会はしたことはほとんど
なけいれど)、おまかせをする時に使う表現。
さあ、どうぞ、あとはおまかせしました、というようなニュアンス
だろうか。
録音された自分の声を聞くと、ちょっと嫌な気分になる。
自分の耳を通しての自分の声と、録音された声の音域が異なる
からだろう。録音されたものは、普段自分が聞いているより、
高く聞こえる。
声優になりたかったわけでもないけれど、声を使った仕事には
魅力を感じる。例えば、テレビ番組のナレーター。
最近は、ナレーター専門というより、俳優さんがナレーションを
したりすることが多い。
『情熱大陸』、ナレーターは、窪田 等さんだ。
その番組を見ている人であれば、あのバイオリンの曲とアサヒビール
のCMを目にすると、あっ始まるぞという気になると思う。
そして、CMの後に入ってくる窪田さんの声。
「ここ北海道の富良野の朝は早い。そんな早い朝の時間に○○は、
軽いストレッチから1日を始める・・・」とか、
「ニューヨークに来てみて、初めてわかったことがあると○○は、
言った。(○○の一言)そして、5年間ニューヨークに住んでみて
わかったことがあると言った。(○○の一言)。○○、34歳。
彼女は、自分のことを、ダンサーだと思っている。・・・」
そんな感じだ。
窪田さんは、任天堂のWii のCMのナレーションも行っている。
最近では、DS i だ。Wii のナレーションは、中江真司さんに次いで
窪田さんが、2代目らしい。
そのdeep な声は、『情熱大陸』を見ている人であれば、商品の
「信頼感」「安心感」「知的」な感覚を満たしてくれるものだ。
塚本監督の『鉄男』という、海外で先に評価された作品に主人公
として出演していたのが、田口トモロオさんだ。
『プロジェクトX』のナレーションで、俳優さんから、ナレーター
ということで有名になった。
『世界の車窓』からの石丸謙二郎さんは、俳優でもあり、旅行番組
の「トラベラー」だったりもする。
何気なく耳にする声は、俳優さんのそれであっても、声だけでは
わからないこともある。えっ、あの人がナレーションをしていた
のか、なんて具合だ。
僕も文字が好きなタイプだけれど、やはり、その人の声の「手触り」
を感じる時に、ほっとすることもある。
メールもいいけれど、僕たちは、もっとその人の声に触れる必要が
あるのだと思う
センチメンタリズムを刺激するマーケティングであっても、そういった
意味では、携帯の電話会社が、「○○の声を聞いていますか、最近」
(イメージ)という展開をするのは、正しい。
声、聞いていますか。

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2008/10/23
『世界の車窓から』、5分〜6分の番組だ。
今日は、リトにアニアの風景だった。田園を抜けていく列車。
それほど新しいものでもなく、4両編成くらいだ。
その窓の外に広がる風景は、九州の在来線の中にでもあるような
風景だった。
列車の中の一人の中年女性にカメラは映り、お馴染みのナレーターが
この女性は、母親の誕生日にバラの花と毛布をおくるという、と言って
いた。バラは黄色で、白い紙に包まれ、毛布の梱包も質素な感じだった。
その番組の風景は、いつも静止してそこにあって、流れている時間が
異なっているように見える。
しかし、そこにも、毎日の生活を堅実に苦労しながら営む人たちが
存在している。
世界を走る列車の車窓の外にいるのは、僕たちと同じように、誰かの
何気ない温かい言葉や、ほんの小さな幸福を求める人たちの生活なのだ。
ただ、まっすぐの道を「走っていけ」のだけだけに、列車はあるのでは
ない。「どこまでも」は、ゴールではないのかもしれない。
http://www.tv-asahi.co.jp/train/

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2008/10/22
2日前の『情熱大陸』に出てきたのは、幅(はば)よしたかさんという人
で、ブックディレクターということになっている。
書店だけではなく、病院や結婚式やホテルや銀行で、本棚の中の本を
並べてデザインをするというものだ。
その本棚に並ぶ本は、全て自分で読んだ本だということだ。
プライベートでは、月30冊の本を読むそうだ。昔からの本好きで、
その好きな本を(しかも自分が読んだ本)を工夫をしながら並べて
仕事にしているのだ。
当然、プロフェッショナルの仕事なので、依頼主の要望に応えていく。
自分で立ち上げた会社は、業績を上げ続けているそうだ。
ビックレビューも書き、様々なメディアの取材を受けてもいる。
そこに並んでいた本のいくつかが、自分も持っていたりして、
なじみがあるものもあったりして、ちょっとうれしかった。
本当に好きなことを仕事にして、それで自分だけではなく、誰かを
幸せにしているというのは、理想的だ。
それには、やはり、昔からの読書に蓄積と培った感覚があったのだと
思う。凄い。そして、羨ましい。まあ、努力の結果なのだろうけれど。
しかし、山ほど仕事をこなしながら、1日1冊のペースで本を読むのは
どうやっているのだろう(ビジネスのために、速読をしているという
タイプではないので、じっくり読んでいる感じだし)。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2008/10_19.shtml

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