1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2008/6/21
梅雨で、雨が降り続く。雨はその後の秋の実りを約束する
「仕込み」のようなものだ。
それでもやはり、太陽の光や夕暮れのオレンジやピンクに
色づく雲が懐かしい。
小倉北区鍛冶町は会社のオフィスがある場所で、昼間は
ランチを取りに行く場所のひとつだ。近くの観音堂で
お参りをするのが日課になっている。角にある小さな
観音堂だ。
夜になると鍛冶町辺りから紺屋町にかけて、ネオンが
輝きだす。どこにでもある夜の繁華街の姿だ。
その中にぽつり、ぽつりとバーがある。
『南京バー PIT IN』
黄色いネオンサインに黒い文字。カウンターに6人くらい、
テーブルに4人ずつくらい、そんなサイズのバーだった。
店内のDVDでは、トム&ジェリーが流れていた。
殻のついたピーナツが「どん」と出てくる。
その殻を床に落とす。村上春樹のデビュー作の『風の歌を聴け』
に出てくるジェイズバーのようだ。
生ビールをたのむ。サッポロがハウスビールのようだ。
カウンターに腰掛けるお客さんたちは、みんな常連のようだ。
天井に英字新聞が貼ってある。タバコの煙のせいでくすんでいる。
横浜の野毛の『ダウンビート』の天井には、ダウンビートの
雑誌が貼ってあった。そこに貼ってあったのは、THE JAPAN TIMES
だった。コリン・パウエルの写真があった。
カウンターの向こう側には、20代後半か、30代はじめの女性
と若い男性がいた。オーナーは50代後半の人で、その女性が
雇われマスターということらしい。常連だったバーで、2年前に
カウンターの向こう側に移ったらしい。
ジン・ライムを飲み、ウォッカグレープを飲み、ウォッカ・オレンジ
を飲み、ブラディメリーを飲み、ブルーベリーとクランベリーの
カクテルを2杯飲んだ。ブラディメリーは結構、強めだった。
かなり「BLOODY」だった。
夜中過ぎに、常連の人たちがなだれ込んできた。
白いジャケットにジーンズ姿のバスの運転手さん、パンクのカッコ
をしたJR九州の職員(中央大で箱根駅伝の5区の坂のぼりの
ランナーだったらしい)、グラフィックデザイナーの人、
パソコンのプログラマーの人、それぞれに個性があって、
よく喋りかけてきた。
JR九州の職員の人は、大学の時の彼女(今は長野に住んでいるらしい)
と遠距離恋愛をし、会社には駅伝の関係で入社したといっていた。
今でもランナーらしい。しかし、タバコをすぱすぱと吸っていた。
おそらく、その筋では有名なグラフィックデザイナーの人は、僕が
横浜に住んでいたことを伝えると、娘さんと中華街へ行ったときに、
財布をすられたという話を始めた。
白いジャケットにジーンズ姿のバスの運転手さんは、途中で
カウンターの上で眠ってしまった。
知らないうちに朝4時過ぎまで飲んでいた。
それぞれが、それぞれの場所へと帰っていった。
梅雨の朝は太陽の姿はなく、雲がどんよりとしていた。
タクシーでワンメーターの距離だ。
そのタクシードライバーは中嶋さんと言って、
「あっつ、お客さん、このあいだも片野まで乗られましたよね」
と言っていた。
山ほどのタクシーが並んでいるのに、偶然だった。
「いやーあ、偶然ですね。でも、女の子やったら、偶然やね
きっと赤い糸でむすばれっちょといえるんですけど、はっははあ」
と大笑いをしていた。

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2008/6/20
久しぶりに、詩のようなものを連続で投稿した。
come and 詩 me
http://www.rondz.com/poem/
言霊の深をクリック。おさむ、です。

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2008/6/20
ドラゴン桜は、21巻まであって、経営不振に陥った龍崎高校を
中卒の弁護士の桜木建二(『スラムダンク』の桜木花道との接点は?)が
立て直す物語だ。主人公はその弁護士の他に、2人の学力の低い男女の
高校生だ。たった1年で、学力の低い3年生の男女に、東大合格を目指させる
というプロットは秀逸だし、各教科のエキスパートとして出てくる先生も
「カラフル」だ。
ところどころに出てくる桜木弁護士の言葉は、教条的な匂いのする
こともあるが、その方向性は、理想主義というより、たぶんに「プラグマティック」
だ。この漫画に関しての関連本が出てくるのが、よくわかる。
桜木建二は、アウトローの140kmのストレートなのだ。
『ドラゴン桜』によって、希望を持った人もいれば、逆に勘違いして
しまって、東大を受けた人もいるかもしれない。
しかし、この本が説いているのは(村上龍がよく言っているように)、
誰もひとりで、最終的には自分を救うのは、自分しかいなくて、その自分
を救うにもちゃんと戦術(やりかた)というものが存在しているという
ことだ。
それでいて、この物語は、人はひとりでは生きていくことはできないし、
人を変えることができるのは、人でしかないのだということも教えている。

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2008/6/17
『ドラゴン桜』の話は前にも書いたが、この三田紀房に
よる漫画は、ただの受験テクニックだけではなく、いかに
生きるか、いかに育つか、いかに育てられるかということが
隅々に散りばめられている。心理学のことや、脳生理学のことや、
子育てのことや、カウンセリングのことなんかが出てくる。
この作品は、そういった「生き方」の指南書というニュアンス
だけではなく、実はこの漫画は、中学しか出ていないで、弁護士に
なった主人公のひとりの桜木建二のハードボイルド物語なのだ。
そこに出てくる先生たちは飽くまで職人で、あくまでストイックだ。
経営不振で廃校になりそうになったレベルの低い私立校龍山高校から
東大合格者を出すことで、経営を立て直そうとしたのが、その弁護士
の桜木(この作者は、『スラムダンク』のファンなのだろうか)建二
だ。その弁護士の野望は、東大合格者をそのレベルの低い学校から
出すことで、自分の出世の材料としようとしている。
まだ、最後まで読んでいない。桜木がその龍山の学校に植えたのが
桜の木だ。一体、それが何を意味するのか、それはきっと読み進めて
いけばわかるのだろう。
漫画だと馬鹿にしてはいけない。以下は、その中の台詞だ。
勿論、桜木本人が、ハードボイルド風に語る。
○人はクローズドクエッションにカチンときやすい。
大抵、質問する側はイエスを期待しているから
詰問調に聞こえる
○「成長」というキーワードは、とても便利で効果絶大のほめ言葉だ
○人が成長するために一番大切なのは、成果の確認だ
○「他人が犯すミスは自分も犯すかもしれない」常にこういう
意識を持っておくことが大切だ
勿論、上記の周辺には、ちゃんと説得的な主人公や脇役たち
の表情や雰囲気(空気)を表す絵と物語の流れが存在する。
漫画ですから。

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2008/6/15
下関は、小倉から在来線で15分くらいで着く。
門司を出て、トンネルを抜けると、あっけなく九州から
本州へと着く。新幹線のトンネルとは異なるのだろう。
在来線のトンネル(共通?)を抜ける時間は、新幹線
のそれよりずっと短い。2分くらいだ。
下関の駅前は、なんとなく本州のそれ(関西的な匂い)
と同様なものを感じる。広島、岡山と続き、神戸へと
流れ込む流れの始まりのような感じだ。
さすがに、ユニクロは山口県宇部市発祥の地なので、
無印良品の案内の隣に、ユニクロの大きな案内があった。
トンネルを抜け、車窓から見えたのは、マルハの工場だった。
旦過のバーで、マスターが言っていた。ベイスターズのファンが
下関に多いのは、太洋ホエールズ時代の名残ですね。
横浜ベイスターズのずっと前、その元は、捕鯨ビジネスを主な
収入とする会社が、オーナー企業だった。
先週の日曜日、下関のすし屋に寄った。
日曜日に魚関係は食べない方がいい。
ニューヨークのシェフが本で書いていた。新鮮な食材で
ないケースがあるからだ。土曜日は、魚河岸が休みで、
日曜日のランチなどは、冷蔵庫の整理の日になる(シーフード
にとっては)ということだ。だから、ランチは、フライでサーブ
をしてその素材の味を隠すのだという。カジキマグロのフライ
(日曜日のランチ)などは典型ということだ。
しかし、その「てんま」というすし屋さんは、なかなか新鮮な
ものを出してきた。自分で足を運んで、ねたは探すと言っていた。
ふぐ、さば、いくら、いか、うなぎ、そして、鯨。
それぞれ2貫ずつ食べた。おいしかった。ビールを飲み、
お吸い物をたのんだ。お吸い物の中にも魚が入っていた。
馴染みのお店にしようと思う。ちょっと値はるけれど。
小倉も下関もそこから広がる鉄道網の「関節」のようなものだ。
そこから世界が広がっている。

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