2007/7/14
時々、ふとしたことで、昔のことを思い出すことがある。
色々な、昔のことだ。
あのまま、ああなっていたらな。そのまま、こうなっていたらな。
あの時、そうしていればな、その時、ああしていればな。
なんというか、まあ後悔のようなものかもしれない。
当然、あの時は楽しかったなとか、その時は幸せだったなとか、
あの頃は最高だったなというようなポジティブな思い出もあるのだけれど。
しかし、あのまま、ああなっていたとしても、その状態は、その頃の
思い出の形を変えたりすることは少ない。「その時」「あの時」は、
それぞれの個々の脳のどこかに引っ掛かっているからだ。しかも、勝手に
色がついたり、香料が振り掛けられたりする。そこにある本質を
変えることはできない。
脳のどこかにある記憶、思い出。そう呼ばれるものたち。
それらは、そこにあって、「あの時」や「その時」の形をしっかり
と残している。
だから人は、音楽を生み出し、詩を発し、ブルースを叫び、文字を
使って泣き、悦ぶのだ。
「失われた」そこにある時を、求めて。

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