1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2006/11/30
「ありがとう」
映画のタイトルだ。赤井英和(亀田印ではない元ボクサー)や
田中好子(南海ではないキャンディーズ)が出演している。
1995年の1月17日の阪神大震災のことを扱った映画だ。
被災し、その被害から立ち直り、プロゴルファーに
なった男の実話の物語だ。
上司のひとりは神戸に住んでいて、地震にもちょうど遭遇した。
「映画見るんですか」
「もう、ええわ、というようり、今でも思い出したないわ」
と言っていた。
僕の両親は、その時、西宮に住んでいて、直撃した。
幸い、怪我もなかった。
被災をしていて、近くの保育園に避難していた。2日後に
会社の休みをとって、向かった。
大阪周辺は全く何もかわったことはなく、平常な姿だった。
尼崎を超え、武庫川に近づいていくと、青いビニールシートが
屋根にかかっている家が増えてきた。
僕は、そのとき、横浜にいた。
地震が起きてから、すぐに母から電話があった。僕はまだぐっすりと
眠っていた。
「今、地震があったけど、大丈夫やから。それより有里に電話してみて」
という内容だった。電話が通じなくて、こちらからかければと思った
のだろう。
電話をしてみたけれど、通じなかった。
何がなんだかわからないまま、眠った。地震に遭遇した街もその全貌
をあらわす前だった。
その後、テレビの放送で少しずつとんでもない状況がわかっていく
のだ。
映画に行こうと思う。
その場にいることができなかった者として。
数千人の死者の数の中に、3軒先に住んでいた家族全員の数を
入っていたし、小学校や中学校や高校の同級生の中にも絶対
いたはずだ。
もう11年。
そして、その年に、サリンが地下鉄でまかれた。

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2006/11/26
昨日土曜日と本日日曜日は、仕事関係のイベントだった。
本日のイベントは、ホールを借りての中学生の発表会だった。
50人の中学生が暗誦した英語を発表するのだけれど、
全国から集まった生徒たちのレベルはもの凄く高かった。
10代の初めの彼ら、彼女らが、地球を支えるコアな年齢に
なる頃、僕はもういい年齢になっていて、世の中からいなく
なって、世の外か、自然の中に分解されて存在している
かもしれない。
そんなことを冷静に考えているようには記しているが、自分が
死んでしまうことを考えるととんでも怖くなる。
そしてとんでも寂しくなる。
どんな人にも、アインシュタイン
にもエジソンにもキュリー婦人にも、マザー・テレサにも、
そして、親戚や家族にも訪れるものだとわかっていても、
実感としては湧かない。
若さを目にすればするほど、羨ましい気持ちになるのは、
年齢を重ねている証拠なのだろう。
人生は、あるとき突然やってくるイベントではなく、
ひとつひとつの選択、食べるものであったり、起きる時間で
あったり、かける電話であったり、読む本であったり、
そんなもので積み重なっているのだ。
昨日、今日の朝と久しぶりに靴を磨いた。
ブラシをかけて、汚れをとるクリームを塗って、靴墨を塗って、
という行程を手早く5分くらいですませることができる。
そんなことをこつこつと毎日、ちゃんと行い続けることが
できる人が強いのだと思う。
父親が生きている頃、母が、毎朝、父親の靴を磨いていた。
ただ、黙々と。

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2006/11/23
テレビで小樽の風景が映っていた。
数年前のこと、札幌と小樽に旅行に行ったことがある。
2人での旅だった。
30歳になって、夏、冬と7日くらいで海外旅行を
繰り返していた。ここ10年間くらいのことだ。
1回だけ、仕事関係で中学生を10数人、
ニュージーランドへ引率旅行をした以外は、
すべて独り旅だった。
国内のときは、2人のときもあれば、1人のときもあった。
1人と2人で行くときの違いは、1人のときは、どこに
何をしにいくか(何をしに行かないか)ということが
重要になる。
2人で行くときには、どこに行くかというより、
どう過ごすか、ということが、きっと重要になるのだと思う。
そして、それに気付くのは、ずっと後のことだったりする。
そんな気付きは、ちょっと哀しい。

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2006/11/22
ヒューガルデン、プリーズ
おさむ
大阪と神戸のその間の街の
新しいデザインの少し凝ったマクドナルドでコーヒーを飲む
そこで
過去に風俗店をいくつも経営していて
慶応卒で元新聞記者で元塾の講師で
元信用金庫の社員だった男の本を読んでいた
父親は都銀の役員で
弟は国際線のパイロットだということだった
そんな男の本を読んでいた
隣に若い2人の男が座り
ひとりが大声で話し始めた
2人共大学生なのだろう
その喋りは馬鹿まるだしで
自己陶酔型で
しかも声が大きかった
オフビートで破天荒な赤澤 竜也という男の本が台無しだった
あまりにもその男たちの声が大きく
偉そうに青かったので
その列に座っていた若い女の子たちはみんないなくなってしまった
「お前ら、どうせならチャールズ・ブコスキーのように酔ってみろ」
と捨て台詞を残して席を立とうと思ったが
自分がその年齢くらいのときには
同じように
いや
もっと大馬鹿だったことをふと思い出し
黙って席を立った
東京へと出張に行ったとき
新宿の東口の外れにある「ソード・ロープ」というバーに入った
ぐっとドライな刺すような1杯のジンが欲しかったからだ
店の奥では
ハロルド・ロイドの映像が流れ
バックにはライ・クーダーが流れていた
隣のテーブルには
髪を少し立てた
細身のストライプのスーツに
ノーネクタイで白いシャツ姿の男が
ちょっとオフビートな感覚を持ちながらも
頭の良さそうなかわいい女の子といた
2人共
30歳手前年少さんという感じだった
その男がグラスを傾けながら言った
先輩がさ
そろそろ俺の会社に来いって言うんだよね
お前が来れば課長級だぞって
その女の子が煙草の煙をふうーと吐き出しながら言った
でも
そうそう億単位の取引の仕事させてもらえるとこないからね
コーチングがどうのこうの
質問力がどうのこうの
ソリューションがどうのこうの
そんな話がテーブルの上をころがって
かけらとなってテーブルの下に落ちていった
ドライなジンがちょっぴり酸っぱくなった
ただ一筋にドライなジンを体に流し込みたかっただけなのに
お金があることに越したことはないよな
そう思いながらジンを流し込んだ
奥でハロルド・ロイドがまじめな顔で川を泳いでいた
大阪と神戸のその間の街の
新しいデザインの少し凝ったマクドナルドを出て
空を仰ぎ見る
月が浮かんでいる
半分の月だ
中途半端もいいものよ
大阪と神戸の中間の街の
遅くまで開いているバーに入る
客がいつも少ないバーだ
4つのテーブルに
カウンター
お客はひとりだけ
おまけに禁煙のバーだ
大丈夫なのかと思ってしまう
余計なお世話だ
ヒューガルデン
プリーズ
そのベルギーのビールをたのむ
そのテーブルで
ヒューガルデンをちびちびちびと飲む
ぬるいぬるい生ビールにするためだ
時間よ止まれとは思わない
そんなに多くの望んでも
無理なことは無理だと悟ったからだ
しかし
少なくともちょっと外で待っててくれ
と言いたい気分になるそんな夜
時間に向かって
生ぬるくなったベルギーのビールで乾杯をする
そして
そのとき
俺は絶対的に
孤独だった

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2006/11/21
昨日の『情熱大陸』の続き。というより、昨日のやつにも
アドレスをはりつけたけれど、今回は、その中のブログに
注目。昨日の番組のことが書いてあって、マルセイユを
自転車でトレーニングしていて、突然、走れることの
幸せを感じて涙を流すというところが、いい。
そういうと、なんか、お気楽な感傷主義のようだが、
実は自転車レースはもの凄く過酷で、もの凄くチーム
プレーが要求されるものなのだ。
以前に、ランス・アームストロングが書いた自転車
レースについての本を読んだことがあるからだ。
もの凄いスピードでもの凄く軽い自転車で風の中を
駆け抜けるわけだから、何かのはずみで転倒などすると
大怪我になってしまうのだ。別府選手も30針くらい
を縫う怪我をしたことがあるらしい。
そんなこともお構いなしに、自分の好きなこと、愛する
ことを続ける幸せ、そんな幸せが、以下のブログのここ2日
間のものには詰まっております。
http://blog.cyclingtime.com/weblog/fumy/
畜生、若くて、才能があって、それをちゃんと存分に楽しんで
いる姿って、いいよね。
梅田(大阪)はいつも難波からの帰りに通るところだ。
阪急と阪神とJRが乗り入れ、地下鉄も御堂筋線と
谷町線と肥後橋線が仲良く乗り入れている。
梅田の阪急3番街の地下に、成城石井があるが、そこに
は立ち飲みのカウンターがあって、ワイン(おもにワイン
やね)などが飲める。すぐ奥は、成城石井のお店だ。
当然、ボージョレー・ヌーボもある。ボージョレー地方
でとれた葡萄の新酒だから、値段の幅はあるのだろうけれど、
現地では、900円くらいだと雑誌に書いてあった。
まあ、東方の遠方まで運んでくるのだから、しかも、
解禁の日に、(まあ、本国より早いんだよね、日が
いづっているから)まあ、飲もうというのだから、
初物好き(特に東京ですね)の日本人にはいいのかもね。
そんな立ち飲みの店で、独りでワインを傾けている
女性を見かける。まあ、個人的には、立ち飲みでなら、
そこでは飲みたくないけれど、女性が、独りでワイングラス
をくぴっと飲んでいたり、食料品が好評の(有名なお店が
入っている)阪神百貨店の地下の立ち食いのお店で、うどん
をつるつると食べている女性(普通に若くてお洒落)を
見かけると、やっぱりここは関西なんだと実感する。
そして、それが周辺の空気に馴染んでいる。
まあ、これが、神戸あたりに行くとちょっと変わってくる
のだろうけれど。
『アエラ』の記事で、公立の小学校と中学校の選択制のことが
出ていた。かなり前から、品川区で始まったものだ。
今は、23区から他の東京にも伝染しているらしい。
そんな記事を読むと、やはり関西は2番目の規模の都市と
いっても(愛知が追い上げているし、神奈川が2番目なの
だけれど、首都圏というくくりでいうと)のんびりしている
し、資金の投下のされかたが桁違いということがよくわかる。
『未来をかえる80人 』 シルヴァン・ダニエル、マチュー・ルルー、
著書の本だ。1987年の国連に始まった「サステナブル・ディベロップ
メント」を意識した企業家たちを世界中を訪ねていってレポートした本だ。
何のために?
明日の地球の継続ための希望を見出すためだ。
幸せは意志によってつくられ、
不幸は気分によってつくられる。
『こころのレシピ』 クリストフ・アンドレ
追伸)先週の『世界遺産』でワインが特集され、ドン・ペリニヨン
が出ていた。その歴史的背景についても。
ドン・ぺリとか略するのは、やめた方がいいんじゃないかい。
そもそもそれがフルネームだと思っている人もいるでしょ。
個人的には、おでんに熱燗です。この季節は。はい。

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