1960年前半(微妙)生まれの男の、映画について、音楽について、旅について、本について、そして人生とやらについてのブルース。自作の詩のおまけ付き。書いているのは、「おさむ」というやつです。
since 6.16.2005
To travel is to live. -H.C.Andersen
2005/8/31
月夜に踊る者たちのバラード おさむ
夜がお寺にやって来て
月が満月で夜空に浮かぶなら
やって来なさい
古寺のカフェへ
満月の夜だけ開くそのカフェで
悲しいこと苦しいこと
そんな全てを吐き出して
そんな全てを調べにして
BGMはないけれど
静かな夜がBGM
給仕となった亡霊たちも
白いシャツで忙しそう
麦酒と麦焼酎
みんなみんなごちそうさん
涙を流すなら
満月を見ながら泣きなさい
苦みを噛んで辛いなら
月のでこぼこ想像しなさい
スムースな光の反射と
でこぼこな凹凸の輝き
明部と暗部
グラスの音が静かに響くよ
そんなこんなで
小難しい哲学も
獰猛な食欲も
気まぐれな狂気も
みんなのんびりとして
月を眺めるよ

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2005/8/30
雨が落ちてきていた。雨があがったあとの夜、帰宅途中。線路のところの草の中から聞こえる、虫の声。こおろぎなのだろうか、鈴虫なのだろうか。どちらにしても、夜の空気を震わせていた蝉の声もなくなり、虫の鳴き声が夜の静寂を埋める。
ほっとする。なんとなく。ただ、それらの声を聞いているだけで。きっと生存のための音なのだろうけれど、それらの音は、ヨーロッパの街角のストリートで、ただひたすらチェロを黙々と弾き続けるミュージシャンのように潔い音だ。しかもそれを静かに楽しんでいる感じがする。
早速、ネットで調べてみた。こおろぎの鳴き声、鈴虫の鳴き声。
なんとなく、多いのはこおろぎだということがわかった。
アスファルトの上で、背中の羽をつけてもう鳴かなくなった蝉の姿を目にするのは少し悲しい。

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2005/8/28
国境なき医師団は、フランスの団体だ。1日50円キャンペーン。毎月、1,500円の引き落としを行ってもらっている。自分へのアリバイづくりだ。(まあ、ユニセフからも1,500円を毎月引き落としてもらっているけれど)
世界の誰かを助ける。その命題に対して、僕たちは、マザー・テレサと全く何もしない人の間を揺れている。勿論、マザー・テレサへ向かっての距離は限りなく遠いし、誰もがマザー・テレサになろうと思ってなれるわけではない。
国境なき医師団からニュースレターが届く。そこにいる日本人の医師、看護婦さんたち。安定した技術を持ちながら、それを誰かのために、しかも自分の身に何かが起こるかもしれないというリスクを抱えながらも、そこで働く人たち。その人たちを動かしている「ドライビングフォース」って一体何なのだろう。
おそらく、どんな技術を持ってしても万能ではない状況で、死にいく子どもたちのうつろな瞳を見つめながら、「ごめんな」「ごめんね」と涙を流すのだろうか。あまりにも悲しい涙だ。それでも、彼女、彼らは、職業的な義務感と凛として意志を持って、その涙と対峙する。
あなたは誰かのために何かをしたいですか
あなたは誰かのために何をしたいですか
あなたができることって何ですか
あなたは何からできますか
あなたはそれをいつ始めますか

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2005/8/26
遠くの空で おさむ
缶ビールのプリングを引く
しゅぱっ
ふっとこちらを見るあなたの瞳は深い海のように青い
柿ピーをかぽっと口に放り込みながら
もぐもぐと笑いかける
世界は
怒りに燃え
空腹に涙を流し
孤独に打ちひしがれ
簡単に消え行く命
月は今夜もいない
静かな夜
静かな笑い声
ビールの炭酸の泡の音が聞こえそうな夜
遠くで蝉が鳴いている
死を予感しながらも大笑いをするようなブルースを歌いながら

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2005/8/25
天空高きに おさむ
まあんるい月が天にのぼり
わたひはその天頂を眺めやる
遠い垂直の上にのっかとる
くちゅの紐をむすべなおして
わたひは鼻をむずむずとさせる
たっかいたっかい月の山じゃのうう
ぽつりとつぶやくおじいちゃんを残して
わたひは坂を斜めに上る
黄色と黄金の間の色のその月の雪崩に会ったなら
わたひはにこりと微笑みやんせ
とおんでもないこつう
そんなことがやと
金木犀のにおいをかぎし
わたひの心
遠くの遠くの海の音を匂う
まっさらなまっさらな白い波
ざざざ ざざざ ざざざ
おにぎりをだしんしゃんせ
かじりんせかじりんせ
まあんるい太陽が遠くを照らしてよ
わたひの気持ちは晴れもせん
しずかとねしずかとね
ぽつりとつぶやくおばあちゃんの手をとって
わたひは歩みはじめたんよ

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