2008/6/28

フランスの若き俊英たちが集う小さな祭典 フェスティバル・カルチエ・デテ  期待のコンサート

もう直前だが、なかなか面白い企画を見つけた。フェスティバル・カルチエ・デテというのがそれであるが、要するに、日仏のコンテンポラリー・ミュージックをめぐる祭典だ。小規模の企画で、話題にもなっていないが、出演者、内容ともに期待ができそうだ。

フェスティバルは、正確には27日が初日。メインとなる出演者、アンサンブル・レ・タン・モデルヌは、1993年に設立、「音楽家たちの自主的な企図にもとづいて、現代の音楽作品の意義を重要視」「20世紀以降の主要作品に取り組み」「新作初演を通して、おおくの作曲家との特別な関係をつくりあげ」「作曲家が創造する世界のなかで、(略)詩的な響きと感受性、夢、問いかけ、官能性の感覚に直接訴えかける演奏によって、それぞれの作品の価値をひきだすことを探求している」という。弦楽器のほか、フルート、クラリネット、ハープ、ピアノから成る編成で来日した。指揮者は、アンサンブル・アンテルコンタンポランでアシスタントを務めたこともあるという、ファブリス・ピエール。

メンバーのほとんどは、リヨンなどのコンセルヴァトワール/教育機関に務める教師陣にあるか、ソリスト、室内楽奏者、オケマンとして活躍する。例えば、指揮のピエールは、指揮者であると同時にハーピストとしても知られ、リヨン・コンセルヴァトワールの教授。ハーピストとして来日するソフィー・ベランジェールも、ピエールの教え子ということらしい。録音もある。創立者のミシェル・ラヴィニョル(fl)はリヨン・コンセルヴァトワールの教授にして、権威あるランパル国際コンクールで名誉賞を獲得したという。同じく創立メンバーで、現在の音楽監督であるジャン=ルイ・ベルジェラール(cl)は、やはりリヨン・コンセルヴァトワールの教授であり、「シャン・デュ・モンド、アッダなどのレーベルで録音し、放送されている」という。

これら信頼のおける奏者によって奏でられる演目は、28日はラヴェルを皮切りに、フランスのエルサン、ドゥ・モンテーニュ、ルルーといったフランス側作曲家に加え、野平一郎、1999年の作品が組み合わされる。私が赴く予定の29日は、ドビュッシーを導入に、ドゥ・モンテーニュ、ブロンドーというフランス人作曲家に加え、細川俊夫、マントヴァーニの作品が加わり、日仏伊の3国の作品が舞台にかかる。

この前後には、日本人のトリオによるミヨー、平義久、オネゲル、ロッセ、コダーイによるプログラムが組まれているほか、アンサンブルでも活躍するゲスト・ピアニストのウィレム・ラチュウミアが、やはり山あり谷ありのプラグラムを予定しているほか、27日の公開ワークショップで、演奏者と作曲家が意見を交わすことによって組み上がった作品を、早速、28日の夕方に演奏するという企画が、もうひとつの柱として組まれている。このワークショップには、神本真理、佐藤岳晶の作品が用意されており、森山智宏という作曲家の作品は、フルートとチェロという編成のみが明かされており、タイトルが未定となっている。これが、ワークショップの対象になるのであろう。この公演にも足を運びたいのだが、どうしても都合がつかない。

この企画は、横浜のフランス月間2008に組み込まれている。横浜日仏学院、カルチエ・ミュジコ、そして、アンサンブル・レ・タン・モデルヌ・リヨンの共催となっている。

 カルチエ・ミュジコ HP http://quartiersmusicaux.blog77.fc2.com/
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2008/6/5

ル・コンセール・スピリテュエル・・・ようやく来日なるか  期待のコンサート

すこし前に、大阪センチュリー響の危機の問題を取り上げたが、ドイツやフランスにも、そんな煽りを受けたオーケストラや劇場がある。ドイツでは、ベルリン・ドイツ・オペラ(ドイチェ・オーパー)が助成金の大幅削減により、見る影もない姿になりつつあることは、日本では意外と知られていない。聞くところによれば、2008/09シーズンの新制作は1本だけで、スター歌手を呼んだ「友人フリッツ」などは、なんと演奏会形式・・・。リンデン・オーパー、コーミッシェ・オーパーと歴史を競う名門のはずが、恐るべき凋落の道を歩んでいるのだ。ちなみに、今シーズン、日本の大村博美がバタフライを歌ったのが、ここである。次のシェフにランニクルズが決まり、アメリカ式で盛り上げていくつもりであろうか。

劇場は経済的基盤、人材を急速に失うことになり、オーケストラのメンバーのほか、当時のシェフだったティーレマンも、運営方針に対する「抗議」と称して、トンヅラを決めこむ。そのあとを新国にも登場したことのあるイタリー人のレナート・パルンボが継いだが、「魔弾の射手」で厳しい批判を受けて、退任が決まっている。悪いことに、ムハンマドの首が斬り落とされることが問題となった、H.ノイエンフェルス演出の「イドメネオ」もここだった。勢いのある劇場ならばともかく、いまのドイチェ・オーパーでは反論の余力はなく、途中で打ち切られた。2006/07年を評するオーパンヴェルト年鑑は、通常は特定の公演を選定する「最悪の出来事」ととして、この劇場そのものを選んでいるぐらいだ。

さて、ル・コンセール・スピリテュエルも2005年の来日が予定されていたが、折しも、フランス政府から楽団への補助が打ち切られることが決まり、来日どころではなくなってしまった。翌年、翌々年と招聘への努力は続けられていた感じであるが、ようやく3年経った今年、来日できそうな気配になっている。まだまだドンデン返しがないとも限らないが、大阪公演はチケット販売がスタート、東京公演もぴあのプレ・リザーブが始まるようなので、一応、その方向で進んでいることを歓迎したい。

今年はエイジ・オヴ・エンライトメント管が来日したが、こうした規模の、古楽オーケストラが大挙して日本にやってくるのは、なかなか厳しいようだ。その点、ベルリン古楽アカデミーとか、コレギウム・カルトゥシアヌムを、「熱狂の日」音楽祭の枠で呼んでくれたことは、とても大きなことなのだ。コンセール・スピリテュエルについては、そうしたバックアップもない中で、経済危機を乗り越えて、よくぞ来ることになったというだけで感慨ぶかいものがある。

もちろん、彼らはただの貧乏なオーケストラではない。シャルパンティエの名盤などを生み出し、18世紀フランス音楽を中心に、周辺にたおやかな仕事を広げるスペシャリストたちなのだ。指揮者は、エルヴェ・ニケ。日本ではなぜか評価の低い人だが、私は、世評はまったく無視してよいと考えている。オケが来れなくなった年にも、彼は単独で来日し、ファンにせめてものパフォーマンスを披露した。彼はオーケストラ・アンサンブル金沢を指揮して、モーツァルトの「パリ」や、マーラーの「大地の歌」で、遺憾なく、その優れた音楽性をアピールした。

今回は、録音もあるヘンデルづくしのプログラム。「水上の音楽」と「王宮の花火の音楽」などが予定されている。パフォーマンスはともかく、とりあえず、気持ちとしては、入場からスタンディングで迎えたい感じがする。無事に、来日できることをまずは祈っていよう!
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