2007/7/8

読売日響 P.カリニャーニが代演  期待のコンサート

読売日響の7月のコンサートを任せられる予定だった、ラファエル・フリューベック・デ=ブルゴスが「病気療養のため」スケジュールどおりに来日できなくなり、代演の指揮者が立てられた。昨日(7日)、ミハイル・アグレストがR.コルサコフの「シェヘラザード」などを振り、インターネットでチェックする限りは、まずまずの評判ではなかろうか。

さて、次の2つのシリーズでは、いよいよパオロ・カリニャーニが読売日響の指揮台に再登場する。彼が初来日したのは、2005年の1月、紀尾井シンフォニエッタの公演で、ペルゴレージ「スターバト・マテル」、ストラヴィンスキー「プルチネッラ」などを振って、アンサンブルの力を最大限に引き出すとともに、これらの曲目の本質的な部分に気づかせてくれる鋭い表現力と、知的なプログラミングで圧倒的な評判を呼んだ。これを受けたものか、2006年には読売日響のシーズン演奏会にも初登場し、ヴェルディやベルクのオペラに関係するプログラムや、モーツァルト、ショパン、ベルリオーズなどの曲目を指揮した。

私は、これらのうち紀尾井シンフォニエッタでの演奏と、ショパンのコンチェルトとイタオペのピースによる演奏会を聴いたが、いずれも独特なる演奏で、作曲家の意図したものから逸脱しない範囲において、思いきった音楽づくりをおこなうカリニャーニの手腕に瞠目させられた。ただし、前回の読売日響との演奏に関しては、まだまだ煮込み不足という部分も少なくなく、プログラムが多彩すぎたのではないかという印象も残っている。

今回、いささか急な決定であるとはいえ、「展覧会の絵」「春の祭典」などというプログラムで、彼の指揮ぶりを拝めることになったのは、少なくとも私にとっては福音である。私は17日に、ハルサイほかの演奏会を視聴する予定。クラシック界では、こうした交代劇は珍しくないが、ラファエル・フリューベックの代役として、彼のような逸材、しかも、自分たちの楽団と関係をもった人材を、しっかり確保してくる読売日響のマネジメント能力に、まずは敬意を表したい。

パオロ・カリニャーニはまだ40代半ばだが、フランクフルト歌劇場の音楽総監督としての実績が高く評価され、その水準を一気にトップ・レヴェルに引き上げた。在任期間が長くなったことから、自ら、その任を離れる決断をし、現在は充電期間というところであろう。今後、数年間のうちには、再び大きなポストを得ることになるのではないかと予想する。

なお、ラファエル・フリューベックであるが、指揮者交代の報が届いてから、しばらくは、地方公演での来日予定が残されていたが、こちらも結局は、カリニャーニに代わった。クラシック・オペラでは、公演の半年前に「病気のため」交代するというような、不可解なことをいって平気という独特のルールがあるようだが、氏は読売日響との関係も大事にしてくれており、今回も止むを得ない健康状態にあるものと思われる。一刻も早い、快復をお祈りしたい。
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2007/5/22

エヴェリン・グレニー 世の中には理解できないことがある!  期待のコンサート

この週末(5/26)、ミューザ川崎で、エヴェリン・グレニーのコンサートがある。欧米ならば、もう売り切れていても不思議ではないのだが、@ぴあの残券状況は「◎」だ。主催はホールで、「アンサンブル2007」という一連のシリーズの第1回だが、あまり広報が上手くいっていないように見えるので、すこし残念に思う。

エヴェリン・グレニーは、世界中でもっとも有名なパーカッショニスト、しかも美人ときている。そして、驚くべきは、耳が聞こえないのだ。「8歳の頃より自らの聴覚に異常を覚え、聴覚障害を患って、12歳の誕生日を迎える頃にはほとんど耳が正常に機能しなくなった」という。

世の中には、我々の想像もつかないことがあるものだ。目が見えない状態で、あんなにも正確に打鍵できるピアニストである、わが国の梯さんや辻井さんも瞠目すべき存在だが、音楽家にとって、耳が聴こえないなどというハンデは、ほとんど致命的であると思う。まだ1人で何役もできる鍵盤ならわかるが、グレニーの楽器は、マリンバをはじめとするパーカッションだ。つまりは、周りとのコミュニケーションがもっとも重要な楽器であろう。その秘密に迫った彼女の映画もあるが、まず、グレニーがどんな演奏をするのか、実地に確かめてみたい。

私は、彼女の演奏を聴いたことがあるわけではないので、誰かに薦めるというような言い方は適切でない。だが、彼女は世界中でもっともエキサイティングな打楽器奏者であり、ラトルをはじめとする、多くの優れた音楽家に認められた世界のトップ・パーカッショニストであることは、疑うべくもない。特に英国では、なんとラトルやコリン・デイヴィスと同等である、”Dame”の勲位を受けている。

彼女のことを囲んで、2人の優れたピアニストが、グレニーとともに舞台に立つ。1人は、グレニーとは20年来のパートナーであるというフィリップ・スミス。もう1人は、このホールのアドヴァイザーでもあり、特に玄人筋からの評価が高い小川典子だ。小川は国内よりも、英国での評価が芳しく、グレニーとも親交があるという話である。

曲目が耳慣れない作曲家の現代ものが多いので、二の足を踏んでいるファンも多いのかもしれないが、相手がパーカッションだから、そう構える必要はないと思う。小川さんの委嘱を受けて、この日のために作曲した菅野由弘さんは、エレキを使った音楽がお得意なはずだが、今回の曲はどうだろうか?

グレニーは耳が聞こえないのだから、良い演奏を聴けたら、スタンディングで讃えることにしよう!

 曲目等の確認には、こちらのページがよくまとまっているかも・・・
 http://www.marimba.org/ja/modules/events/index.php?id=760
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