2008/6/5

ル・コンセール・スピリテュエル・・・ようやく来日なるか  期待のコンサート

すこし前に、大阪センチュリー響の危機の問題を取り上げたが、ドイツやフランスにも、そんな煽りを受けたオーケストラや劇場がある。ドイツでは、ベルリン・ドイツ・オペラ(ドイチェ・オーパー)が助成金の大幅削減により、見る影もない姿になりつつあることは、日本では意外と知られていない。聞くところによれば、2008/09シーズンの新制作は1本だけで、スター歌手を呼んだ「友人フリッツ」などは、なんと演奏会形式・・・。リンデン・オーパー、コーミッシェ・オーパーと歴史を競う名門のはずが、恐るべき凋落の道を歩んでいるのだ。ちなみに、今シーズン、日本の大村博美がバタフライを歌ったのが、ここである。次のシェフにランニクルズが決まり、アメリカ式で盛り上げていくつもりであろうか。

劇場は経済的基盤、人材を急速に失うことになり、オーケストラのメンバーのほか、当時のシェフだったティーレマンも、運営方針に対する「抗議」と称して、トンヅラを決めこむ。そのあとを新国にも登場したことのあるイタリー人のレナート・パルンボが継いだが、「魔弾の射手」で厳しい批判を受けて、退任が決まっている。悪いことに、ムハンマドの首が斬り落とされることが問題となった、H.ノイエンフェルス演出の「イドメネオ」もここだった。勢いのある劇場ならばともかく、いまのドイチェ・オーパーでは反論の余力はなく、途中で打ち切られた。2006/07年を評するオーパンヴェルト年鑑は、通常は特定の公演を選定する「最悪の出来事」ととして、この劇場そのものを選んでいるぐらいだ。

さて、ル・コンセール・スピリテュエルも2005年の来日が予定されていたが、折しも、フランス政府から楽団への補助が打ち切られることが決まり、来日どころではなくなってしまった。翌年、翌々年と招聘への努力は続けられていた感じであるが、ようやく3年経った今年、来日できそうな気配になっている。まだまだドンデン返しがないとも限らないが、大阪公演はチケット販売がスタート、東京公演もぴあのプレ・リザーブが始まるようなので、一応、その方向で進んでいることを歓迎したい。

今年はエイジ・オヴ・エンライトメント管が来日したが、こうした規模の、古楽オーケストラが大挙して日本にやってくるのは、なかなか厳しいようだ。その点、ベルリン古楽アカデミーとか、コレギウム・カルトゥシアヌムを、「熱狂の日」音楽祭の枠で呼んでくれたことは、とても大きなことなのだ。コンセール・スピリテュエルについては、そうしたバックアップもない中で、経済危機を乗り越えて、よくぞ来ることになったというだけで感慨ぶかいものがある。

もちろん、彼らはただの貧乏なオーケストラではない。シャルパンティエの名盤などを生み出し、18世紀フランス音楽を中心に、周辺にたおやかな仕事を広げるスペシャリストたちなのだ。指揮者は、エルヴェ・ニケ。日本ではなぜか評価の低い人だが、私は、世評はまったく無視してよいと考えている。オケが来れなくなった年にも、彼は単独で来日し、ファンにせめてものパフォーマンスを披露した。彼はオーケストラ・アンサンブル金沢を指揮して、モーツァルトの「パリ」や、マーラーの「大地の歌」で、遺憾なく、その優れた音楽性をアピールした。

今回は、録音もあるヘンデルづくしのプログラム。「水上の音楽」と「王宮の花火の音楽」などが予定されている。パフォーマンスはともかく、とりあえず、気持ちとしては、入場からスタンディングで迎えたい感じがする。無事に、来日できることをまずは祈っていよう!
0



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ