2008/12/27

コンサート・ベスト10! 【セレクション】  クラシック・トピックス

さて、前回のノミネート公演から、十傑を選んでいこう。

1位 H.スダーン/東響 シューベルト・ツィクルス
2位 A.チッコリーニ 詩的で宗教的な調べ
3位 A.ゼッダ/ROF マオメット2世
4位 P.レーゼル ソナタ全曲演奏会 NO.1
5位 R.ホーネック&読響 Mozart vn協奏曲ツィクルス 
6位 小川典子20周年記念リサイタル
7位 R.エリシュカ/札響 ドヴォルザーク6番
8位 G.アルブレヒト 「グレート」「ロザムンデ」
9位 北とぴあ/レ・ボレアード オルランド
10位 コンセール・スピリテュエル ヘンデル・プロ

【特別賞】

○下野/読響 わが祖国
○G.ノイホルト/読響 第九
○ボローメオ&エクセルシオ メンデルスゾーン
○新国バレエ アラディン

選考基準は曖昧だが、自分のなかにあった価値観を塗りかえてくれたようなものを中心に、選んでみた。

2008年は、正真正銘のシューベルト・イヤーだった。「熱狂の日」はもちろん、アルブレヒトの「グレート」や「ロザムンデ」、ホーネック&KSTのシューベルト・プロ、新春にも良い演奏があって、私のなかで、この作曲家に抱いていたイメージは大きく更新された。中でも、スダーンと東響による交響曲ツィクルスは、聴き手を驚かせたはずだ。ただ隠れていた名曲を掘り返すというだけではなく、演奏水準の高さが特筆されようというものだ。

2位は、チッコリーニ。「詩的で宗教的な調べ」を全曲演奏するという希少な機会だったが、それがなぜ珍しいのかは、単に魅力的でないからではなく、完璧に演奏して聴き手に感銘を与えるのが難しい曲だから・・・ということが、ハッキリした。こういう演奏が続けば、リストへの見方も大いに揺らいでいくだろう。

3位には、ロッシーニ・オペラ・フェスティバルの「マオメットU」を選んだ。この演目も単に珍しいというだけではなく、ロッシーニの懐の深さを示す大作であることが、ROFの素晴らしい上演により、よくわかった。声の愉悦性では、世界の一方の先端を行く音楽祭の、圧倒的な魅力を伝えてくれた公演でもあった。M.レベカやF.メッリの、強い声も堪能した。

私の選定には、何がやりたいかが明確という視点もある。

4位の、ペーター・レーゼルの公演は、作品自体の希少性はないが、演奏の質が唯一無二のクオリティを示している。それをソナタ全曲演奏という形式とあわせ、聴衆にアピールしていくという挑戦的なものになっているのだが、レーゼルがその意図にはっきりとしたカタチで応えているのも凄い。今後のシリーズへの期待も含めて。

5位のホーネック&読響のモーツァルト・シリーズも、同様の方向性をもつ。1人の特別なスキルを使って、作品そのものをいま生まれたように新鮮なものにしようとする発想は興味ぶかいものである。

6位の小川典子は、プロ演奏家としてのけじめのつけ方を教えるものだろう。ドビュッシーの「エチュード」の圧倒的な名演を中心にして、リサイタル全体の味わいが濃厚であった。小川らしさを貫いたリサイタルでもあり、彼女のファンならずとも、ガツンとした感動を味わったことだろう。

7位のエリシュカは、私にとって思い出ぶかいものになる。名演は、必ずしも中央だけに生まれるものではない。エリシュカにとっては、東京よりも、大阪よりも、やはり札幌こそがホームなのだ。この真摯な才能に出会えたこともさることながら、本当に都合のいい、あまりにも便利すぎる東京の「クラシック・システム」から漏れているものをがあるのではないかと、強く感じた演奏会でもあった。

8位のゲルト・アルブレヒトの演奏会は、最近の読売日本交響楽団の力強い成長を示す名演だった。もしも、この名前を伏せて聴かせたとして、これは欧州の一流オケの演奏だといったときに、誰が疑うであろうか。特別賞にも読響が並ぶが、楽団に下野がいる重みを自ら証明した「わが祖国」の熱演や、「第九」演奏の極致をいったノイホルトによるこだわりの演奏は、ただ技巧的に良い/悪いというのを飛び越した、演奏する意義を考えさせた。

9位のオルランドも、この作品へのイメージを100%転換したに止まらず、ハイドンの優れた劇作法や先進性について、多くの観衆に訴えることができた上演となった。末席になったが、コンセール・スピリテュエルのコンサートは、当時の時代背景を加味しながら、音のロマンで現代と過去を繋いだ意欲的な演奏となる。苦労しながらの来日、大仰に言えば「奇跡の」来日は、それだけでも賞賛に値することだが、演奏水準の驚くべき高さは想像以上のもの。アリスさんのヴァイオリンだけで、お釣りが来る。

特別賞に止まったが、ビントレー時代の豊穣な実りを予言し、カンパニーとしての新国バレエの強さを感じさせた「アラディン」と、新しいシステムで室内楽演奏会のシリーズが組まれ、その初回として見事な成功を収めたボロメーオSQと、われらがエクの共演した衝撃のコラボについては、なんとしても触れておきたかった。ちなみに、後者の演奏はいま、下記のURLで無料配信されている。

 http://www.livingarchive.org/

個人的には、あまり良くないこともあった年だが、少なくとも、音楽的な経験だけは充実した1年だった。私がそういうものを選んでいるせいもあろうが、ただ漫然と演奏するのではなく、凝ったコンセプトに基づいた公演が増えたという印象もある。

【個人・個別部門賞】

○最優秀指揮者&MVP  ユベール・スダーン
○最優秀ソリスト  ライナー・ホーネック 
○最優秀室内楽・独奏 アルド・チッコリーニ
○同・新人賞 イド・バル=シャイ
○シンガー・オヴ・ザ・イヤー  マリーナ・レベカ
○優秀歌手  マリア・バーヨ、ルカ・ドルドーロ
○最優秀演出家  ペーター・コンヴィチュニー「オネーギン」
○優秀演出家  粟国淳「三部作」「オルランド」
○最優秀企画賞  ラ・フォル・ジュルネ(シューベルト)

【最悪のできごと オーパンヴェルト風に】

演奏以外のこと
○大阪センチュリー響  大阪府、大幅補助金削減

演奏のこと
○H.ウルフ/読響 ブラームス(3番)
○張明勲/N響  ブルックナー(7番)
0

2008/12/26

コンサート・ベスト10! 【ノミネート】  クラシック・トピックス

年末も押し詰まってきて、ブログでは、1年を振り返る記事も多い。私も、コンサートをベスト10方式で振り返ってみたい。順位はさほど重要ではないが、今年も相当な数を聴いてきたし、少しまとめておかないと、情報が多すぎて、記憶が曖昧になってしまうから、これは私としては意味があることなのだ。なお、「熱狂の日」公演は多すぎるので、除外する。まずは、ノミネートから・・・

【1月】

新春八王子音楽祭 弦楽五重奏曲(Shubert)
秋山/東響 家庭交響曲(R.Strauss)
R.ホーネック vn協奏曲 nr.2&3(Mozart)
M.バーヨ 声楽リサイタル
 
【2月】

小川典子 デビュー20周年リサイタル
トビリシ弦楽四重奏団 グルジアの響き

【3月】

M.パドモア&OAE ヨハネ受難曲(J.S.Bach)
A.ゼッダ/藤原歌劇団 どろぼうかささぎ(Rossini)
K.ブラッハー&KST 室内交響曲 op.110a(Shostakovich) 
A.チッコリーニ 詩的で宗教的な調べ(Listz)
下野/N響 白鳥の湖(抜粋)@NOMORI

【4月】

S.スクロヴァチェフスキ/読響 交響曲nr.2(Bruckner)
L.エリシュカ/札響 交響曲nr.6(Dovorak)
P.プティボン 声楽リサイタル

【5月】

若杉/新国 軍人たち(B.A.Zimmermann)
濱倫子 ピアノ・リサイタル
R.ホーネック&KST シューベルト・プロ
H.スダーン/東響 交響曲nr.1&4(Shubert)
下野/読響 芸劇マチネー100回記念ガラ
青いサカナ団 マーマレイドタウンとパールの森

【6月】

飯森/東響 ペトルーシュカ(Stravinsky)
A.ラザレフ/読響 ローマの祭り(Respigi)
ボロメーオSQ&Qエクセルシオ オクテット(Mendelssohn)

【7月】

G.アルブレヒト/読響 交響曲nr.8(Shubert)

【8月】

小森輝彦&服部容子デュオ・コンサート
小崎/プッチーニ生誕150年フェス 三部作
Suntory財団サマー・フェス S.ジェルヴァゾーニ(室内楽)
クラリネット・フェスティバル東京・多摩

【9月】

A.アニシモフ/二期会 オネーギン(コンヴィチュニー演出)
P.レーゼル ベートーベン・ソナタ全曲演奏会(初回)
S.スクロヴァチェフスキ/読響 交響曲nr.0(Bruckner)
H.スダーン/東響 交響曲nr.5&6(Shubert)

【10月】

J.M.ルイサダ マズルカ全曲演奏会(Chopin)
T.ソキエフ/N響 交響曲nr.5(Shostakovich)
北とぴあ国際音楽祭 オルランド(Hydn)
H.ニケ/コンセール・スピリテュエル ヘンデル・プロ

【11月】

H.スダーン/東響 交響曲nr.2&3(Shubert)
水戸室内管 スターバト・マテル(Vivardi)
  with C.ショルンスハイム&N.シュトュッツマン
下野/読響 わが祖国(Smetana)
P.マーフィー/新国バレエ アラディン by D.ビントレー
A.ゼッダ/ROF マオメットU(Rossini)
ザ・フレンチ・コネクション・イン・トウキョウ2
A.R.エル=バシャ エチュードop.25 @ショパンの音楽日記

【12月】

渡邊孝/HFJ タメルラーノ(Hendel) 
F.サイ&P.コパチンスカヤ デュオ・コンサート
G.ノイホルト/読響 第九(beethoven)
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ